「山開き」というのはどこの山でも夏山シーズンの始まりを宣言するイベントのことですから、富士山では今年は7/1に終わっています。どこの山でも一般的に誰でも登れる時期より少し早めに山開きをしますから、山開き前後にその山に登るのはそれなりに経験を積んだ人でないと難しいことが多いです。
富士山では夏山最盛期は過ぎていますが、山小屋も9月半ばくらいまではどこも営業していますし(小屋閉めが最も早い御来光館で9/6)、気候は多少寒くなりますが本質的には夏山と変わりありません。
気温も今日(9/1)の最低気温が4.1℃、最高気温が12.5℃ということなので、まあこの標高の山としてはごく普通の気温です。
今年は例年より52日も早い8/9に初冠雪があったということですが、だからといって今年が特別寒いというわけではありません。季節変化も一直線に秋から冬になるわけではなく、夏と秋と冬を繰り返しながら少しずつ秋~冬になっていくのがこの季節です。ですので、天候が良ければ夏と変わりありません。ま、悪ければ一気に冬になるのがこの季節の難しいところではありますが、ガイド登山であればそのあたりの判断はガイドがしてくれるでしょう。
ということで本題ですが、日帰り~山小屋1泊登山で28Lのザックは、同じ容量表示でもモデルによって実容量に差があるので一概には言えませんが、まあ一般的には十分でしょう。
このザックに荷物が入らない、というのは「荷物の持ちすぎ」が理由です。
厚手の服を4着、スポーツタオル4枚ということですが、これは明らかに持ちすぎです。両方とも1つで十分です。
登山スタイルとしては、行動時に着ているものが半袖または長袖のTシャツ1枚、朝寒い時や休憩時に寒い時に重ねる中間着が1枚、夜等の防寒着が1着、アウターとしてレインウエア1着、これで十分です。
着替えはアンダー(Tシャツ)が1枚あれば良いでしょう。基本的にそれ以上は持ちすぎです。
厚手の服4枚といっても、それを全て重ねられるモノでなければ、寒い時に1枚を出して着ても他の3枚はザックの中、というのではムダになります。登山のウエアは「重ね着で温度調節をする」のが基本です。
これらが全て「登山用」の製品であれば28Lのザックでも持て余すくらいですが、特に防寒着は登山用でないものは嵩張るのでザックの容量にも多少の余裕が必要でしょう。それでも28Lだとお釣りが来ますが。
防寒に最も重要なのは実はアンダー(肌着)です。
どの季節でも綿のシャツは御法度なのは同じですが、真夏ならルーズなTシャツで歩いても、秋は身体にぴたりとフィットする専用のアンダーの方が安心です。それだけだと体型によっては(私も)みっともないので、アンダーの上にTシャツを着たりしますが。
中間着は、これもやはり綿は御法度なのですが、ある程度の厚みがあって目が積んでいる(ある程度の防風性がある)シャツが使い勝手が良いでしょう。表地がナイロンやポリエステル系の生地で防風性と小雨程度なら弾く撥水性があり、ある程度余裕があるフィットのいわゆる「ソフトシェル」系のウエアは便利です。
アウターは当然ゴアテックスなどの防水透湿性素材を使用した上下セパレートのレインウエアが鉄則です。
防寒具は薄手のダウンジャケットも良いのですが(特に山小屋やテント場では絶大な威力を発揮します)、ダウンは行動中には着にくいので薄手のフリースが最も汎用性があって使い勝手が良いでしょう。これも登山用の製品には、驚くほど軽くて暖かいものがあります。その分値段も張りますが。
ということで、この4着でだいたいどのような状況にも対応できます。もっとも条件が悪い時には着替えを除いて持ってきた全ての衣類を着ている、という組み合わせを考えるのが基本です。そこで余る衣類は基本的に「ムダ」というわけです。
登山の装備というのは単純な足し算引き算ではなく、「もしもの時を考えて」あれもこれも持っていくと荷物が重くなり、荷物が重いとバテて動けなくなったり行動速度が遅くなる(歩くスピードが遅くなる)ために悪天候から逃げ切れずに捕まってしまったりしてしまいます。
つまり「もしもの時のことを考えて」持っていった道具や衣類のために「もしもの時を招いてしまう」結果になりかねません。
ですから「軽い荷物も安全のため」なのです。登山のパッキングとは、この「軽さ」と「念のため」のせめぎ合いというわけです。だからこそ高いお金を出しても軽くてコンパクトなモノを買うのですが。
ま、上記の衣類で-5℃くらいまで下がった山で日が暮れて野宿する羽目になったとしても、まず死にゃしません。身体さえ濡らさなければ、ですが。それともうひとつ、パニックにさえならなければ、もですが。
ともあれ、どんなに着込んでいてもアンダーが濡れていればほとんど無意味ですので、アンダーは保水する綿は厳禁です。登山用の素材なら雨でずぶ濡れにでもならない限り危険な状態になることはないでしょうが、「念のため」に着替えを1枚持っていけば良いでしょう。
特に衣類は雨で濡らすと危険なので、登山用具店で売られている防水性のスタッフバッグが数枚あると良いです。サイズと「口の閉じ方」の方式によって値段が違いますが、1000円もあればお釣りが来ます。
ただ、このクラスのドローコードで口を縛るだけのスタッフバッグは、これだけでは完全に防水できません(口から浸水する)ので、口の縛り方を工夫したり2重にしたりといった工夫は必要です。
ビニール袋でも良いのですが、破れやすいのでお奨めはしません。
私はスタッフバッグに入れたモノをいくつかまとめてビニール袋に入れる、というように2重にしています。
それとザックのパッキングは「重いモノを上に入れる」のが基本です。上であれば良いというものでもなく、あまり上だとバランスが崩れるのですが、それは大型ザックの話で28Lくらいのザックだと最上部に最も重いモノを入れてもちょうどでしょう。
それと現在のまともなザックには背面にパッドがあるので、背中側にクッションになるものを入れるなどの工夫は不要です。
それと、ザックの中身ではおそらく水が最も重量物になるでしょう。
水筒の形状にもよるのですが、一般的には水筒はザックの最上段に横にして入れます。端に縦に入れたりするとバランスがそちらに寄ってしまいますので、非常に担ぎにくく疲れやすくなります。
レインウエアと食糧は上部、火器類は中部、着替えや防寒具は下部ということになるでしょう。
軽い荷物で軽快に登山されることをお奨めします。もちろん必要最低限のものは全て持って、の話ですが。
お礼
ありがとうございます。 バスツアーなので、現地の登山ガイドの方が同伴してくださいます。 ザックは専門店で28リットルの物を買いました。 寒さ対策の為と思い、厚手の服を4着、汗対策のスポーツタオルを4枚んあどが場所をとっているのかと思います。 心配性なもので、持てるだけ持っていこうとしていました。 もう一度、チェックしてみます。