ちょっと前の週刊新潮にも、吹き飛ばされそうになっている
観光客の写真が載っていましたね。さて結論を言うと、現代の
ジェットエンジンは噴出する空気の温度がさほど高くないので、
じゅうぶんに離れていれば熱の問題はありません。
現代の旅客機では「 ターボファンエンジン 」を採用しています。
エンジン前部から吸入された空気のうち、燃焼に使われる空気は
1割ほどにすぎず、残りは巨大なファンで後方に噴出することで
効率を上げています。この空気はバイパスエアと呼ばれます。
バイパスエアはエンジンの効率を高める効果のほか、ジェット
噴流を包み込んで騒音を下げる効果や、ジェット噴流の温度を下
げる役割も果たしています。
高効率のジェットエンジンは 1000 度以上で燃焼していますが、
この温度だと周辺の素材を溶かしてしまいます。それをバイパス
エアで冷却することにより、数百度まで下げ、機体を守ります。
もちろん数百度でも十分に熱いのですが、エンジンから噴出し
圧力の下がった空気は、一段と温度を下げます。さらに周りの
空気も巻き込みながら風が飛んでいくので、滑走路の外まで届く
ときには、人間が耐えられる温度に下がっているのです。
似たような現象はドライヤーでも発生します。熱源のヒーターは
200度ほどありますが、噴出口では70度ほどに低下しています。
数十センチ離れたところでは、せいぜい40度ほどでしょう。
1m離れたら、風は来るものの温度は感じないはずです。
> 数百メートルまで温度が高すぎて人はいられないのではなかったのでは
旧世代のターボジェットエンジンでは、そうだったかもしれません。
吸入した空気のすべてを燃焼に使うので、ジェット噴流を冷やす
仕組みがないのと、噴流速度がマッハを超えるので、かなり後ろ
まで高温の空気が飛んでいくのです。
それゆえ、旧・羽田空港では展望デッキに「 ジェットエンジン
から高温の空気やオイルが飛散する危険があります 」との注意書きが
貼ってあったのを覚えています。これは決して脅しではなく、旧世代の
ターボジェットエンジンでは、実際にそのようなことがあったからです。
DC-8 全盛期には、ジェット機の後ろには怖くて立てなかったでしょう。
お礼
そうだったんですか!! 納得です。ありがとうございました。