プリンタの修理屋です。
プリンタに限らず、電気は熱に変える物が大量に消費します。
レーザープリンタは静電気の力で紙にトナー(粉インク)を付着させ、それを加熱したローラーでプレスしていき、紙に密着させます。
トナーはインクと言ってもプラスチック的な成分ですので、熱をかけると溶けます。
大体、180~220℃位の温度まで上げます。
通常は、直径3cmくらいのアルミの中空ローラーの中にガラス管のハロゲンヒーターを仕込み、その輻射熱でローラーを加熱します。
定着前のトナーは紙にのっかっているだけですので、加熱したヒーターで直接こすると画像が崩れてしまいます。
そのため、紙の速度と同じ速度で回転するローラー越しに加熱する必要があります。
ヒーターは大きな電力を要求しますので、接点はキチンと固定する必要があり、ヒーターが回転させることが出来ません。
ローラーとヒーターの間には1cm程度の空間が出来てしまいますので、そのため大きなヒーターが必要でした。昔の機械では1000W近いヒーターが常識でした。現在でも大型機、低コスト機ではこの方式のものがあります。
キヤノンで採用しているオンデマンド方式は(昔はSURF方式といってました)アルミのローラーの変わりに特殊な薄い筒状のフィルムを使い、フィルムが紙に引きずられて画像がずれずに定着されます。
ヒーターはセラミック製のものに変わり、フィルム越しに紙に密着したような形になります。
そのため、余熱する必要もなく、距離によるロスも少なくなり小さいヒーターで定着できるようになりました。
それでも半分程度ですので、他の制御回路やモーターに比べれば大きな電力を消費してしまいます。
余談ですが、ヒーターを使わずに定着する方法もあります。大昔にはそういったコピーもありましたが、現在では絶滅状態です。15年くらい前ですが、バッテリーで動作するコピーがあり、警察向けに結構出ていたようです。(パトカーの車内で違反者の免許のコピーを取るため)
小型化が難しいことと、印字速度の問題で消えていったと思われます。