フランクフルト空港のATM(Geldautomat)ですが、ターミナル1のピアB到着フロアと、同じくピアAの出発フロアにPLUS提携のものが少なくともあります。日本からの便はANA、ルフトハンザならターミナル1ピアBに着きますし、またイタリア向け便の出発は基本的にピアAからですから、どちらも便利のよい場所です。
JALはターミナル2に到着しますので一度ターミナル1に移動して、その後は同様にターミナル1のピアAから出発することになります。その際に立ち寄ればよいわけです。
ただ「バス代やチップなど身の回り費用として使う程度のユーロ現金」であれば、フランクフルト空港でATMで引出すよりは最初から日本で両替していくことをお勧めします。国際キャッシュカードは簡単に現地通貨が引き出せて便利ですが、レートは必ずしもよくないからです。
代表的な国際キャッシュカードのレートの計算法を以下に記します。
・新生銀行
VISAインターナショナルが定めるレートに4%の手数料を加算
・三井住友銀行
VISAインターナショナルが定めるレートに3%の手数料と、引出し1回ごとに200円の手数料を加算
・シティバンク銀行
現地通貨額を所定のレートで米ドルに換算、その米ドルの額を米ドル電信売レート(公示仲値+1円)で日本円に換算、さらに手数料3%を加算(現在のレートで計3.9%)
「VISAインターナショナルが定めるレート」や「公示仲値」は外国為替市場での「銀行間取引レート」にほぼ一致すると考えて頂いて結構です。ここからいくら手数料が上乗せされているかで損得の比較ができます。
どの銀行のカードを使うか、一回にどのくらいの額を引出すかにもよりますが、国際キャッシュカードではだいたい4%程度の手数料が目安とお考えください。
一方、日本でユーロ現金に両替した場合です。ユーロ現金への両替レートは公示仲値+6~7円(今のレートで4.1~4.8%)というのが一般的ですが、三井住友銀行だけはユーロに関して特異的によいレートを出しており、公示仲値からの上乗せ幅は4円(同2.7%)です。また関西空港からの出発の場合、泉州銀行がこれより僅かによいレートを出しているようです。
いま、銀行間取引レート=VISAインターナショナルが定めるレート=銀行の公示仲値で、1ユーロ=146円00銭だとしましょう。全部で200ユーロの現金を用意する場合に必要な日本円の額ですが
●国際キャッシュカード
新生銀行 146.00×1.04×200 = 30,368円
三井住友銀行 146.00×1.03×200+200 = 30,276円
シティバンク銀行*1 (146.00÷115.00)×(115.00+1.00)×1.03×200 = 30,337円
●日本でユーロ現金に両替
三井住友銀行 (146.00+4.00)×200 = 30,000円
他行の一例 (146.00+6.00)×200 = 30,400円
となってユーロの場合、現地で国際キャッシュカードで引出すより、銀行をよく選んだ上で日本で両替した方が有利であることがお分かりいただけると思います。英語や現地語でATMを操作する不安もありません。
ヨーロッパで日本円から両替するのは基本的に避けたい方法です。レートが日本でのそれより悪い上、多くの場合両替1回ごとに手数料がかかるからです。
トラベラーズチェックも換金1回ごとに手数料がかかります。換金手数料を回避する方法をご存じなら有利な両替法ともなり得るのですが、身の回り費用程度なら無理にトラベラーズチェックにする必要はないでしょう。
国際キャッシュカードに似た方法としては、現地ATMでクレジットカードを使ってキャッシングする方法もあります。レートはクレジットカード会社が定めるレート(銀行間レートとほぼ同じ)、年利が25~30%程度、利用日から引き落とし日までは25~55日くらいですから、ひっくるめると手数料は2~4%程度です。
参考までにクレジットカードの決済レートは、クレジットカード会社が定めるレート(銀行間レートとほぼ同じ)に1.6%加算が目安です。ですからクレジットカードで払えるものはそれで払ってしまうのが、概ね有利で手軽です。
【結論】
フランクフルト空港にPLUS提携のATMはありますがわざわざ利用するほどのことはありません。身の回り費用程度なら、銀行をよく選んだ上で日本でユーロ現金に両替するのが、レート的にも有利でかつ簡単です。
*1 米ドルの公示仲値を1ドル=115円00銭と仮定して計算しています
お礼
大変わかりやすい解説ありがとうございました。 ヨーロッパで円の両替が不利なことがよくわかりました。 日本の銀行でユーロに両替していきたいと思います。クレジットカードでのキャッシングという方法も悪くなさそうなのですが、ちょっと抵抗があるので、国際キャッシュカードは緊急用として携帯していこうと思っています。 本当にありがとうございました。