詳しく回答しましょう。
まず、GHzはクロック周波数(以下周波数とします)と言います。
そして、Gは10億を表す単位(ギガ)です。Hzはヘルツ(電気記号)です。
1Hzは電気1回の振幅を表します。1GHzは毎秒10億回の振幅があるのです。
CPUで1GHzが2GHzになると、1クロック(Hz)で1回データの受け渡しができるのと同等の作業が行われるため、1GHzで10億回、2GHzなら2倍の20億回のデータ受け渡しができるようになります。そのため、性能が上がると考えることができます。ただし、条件があります。それは、比較対象が同じ製品でなければいけないというものです。
PentiumDとAthlonは全く別物です。
Pentium Dは元々Pentium42つを一つのパッケージに収めたものです。
そして、Pentium4というプロセッサの元はNetBurst Micro-Architecture(以下NetBurstMA)と呼ばれる物です。
NetBurstMAでは高い周波数で動かすことを想定して、処理の細分化を進めました。簡単に言えばデータの内容をより細かく解析し専用の処理回路を増やすようにしたのです。何故周波数をあげるのに、細分化が必要なのか?
周波数を向上させるという方法は、ベルトコンベアで流れてくる「みかん」を選別する工程に似ています。ベルトがゆっくり動けば、選別する人の数は少なくとも的確に大きさや形、善し悪しを判断できます。
ベルトコンベアが早ければ、一人二人では見落としや選別ミスが発生する可能性があります。そのため、その分人を増やして作業をします。それでも、コンベアの速度が速ければミスが増え、もう一度選別し直すこともあります。さらに、人を増やしすぎると人件費が増えるこれも問題となる。
Pentium4では、Net-Burstで周波数を一気に1,3GHz→3,8GHzまで向上しました。そのために、処理回路を10個のパイプ構造から20個そして31個のハイパーパイプラインと呼ばれる方式に変更したのです。この結果、周波数は3倍程度に向上しましたが回路も3倍にそして、効率は1/2以下に低下しました。特に、整数演算の精度は壊滅し2つの演算装置をコアの2倍のクロック(3,8GHzの2倍の周波数)で動作させてAthlonの同じモデルナンバーに惨敗するという結果になりました。
そして、PentiumDでは、それを単純に2つ実装したのです。コンベアが2つあれば効率が2倍になるが、その2つの連携はそれほど想定されていません。本来一方のコンベアでしかできないミカンを他方でしてしまい、やり直しという場合にロスが大きいという欠点もPentiumDではあるのです。
これを投入した理由はAthlon64X2対策といえます。非効率なプロセッサを2つ搭載しただけですから、結局のところ勝ち目はありませんが、低価格と2つのコアを一つにする作業は絶対必須でした。そうしなければならない窮地に立った状況だったのです。
尚、NetBurstMAにはさらに大きな問題があり、周波数を上げるほど発熱が上昇し非効率になる傾向もありました。その結果、これ以上の周波数向上は断念し、MAを新しい世代Coreに移行し開発はほぼ終了しています。
Athlonはその逆に周波数を抑えつつ効率を高める。さらには、最初から2つのCPUを一つにするDualCoreを設計思想に盛り込んだプロセッサです。開発名はK8。このプロセッサでは、データ選別を的確に行いコンベアの速度をあまり上げないという方針を取りました。効率化のために2つのコンベアを上手に運転する手法も最初から入れられるようにしたのです。
その結果、1/2のコンベア速度で欠陥率は半分以下を達成し、生産効率は逆転しました。これが、Athlonの効率です。
尚、インテル社はPentiumDの後継としてCore2を発表しています。このプロセッサでは方向を180度転換し、Athlon64を超える効率を達成していますが、怪しい点も見られる。今後普及するであろう、高精度演算である64bit処理に対して、いくつかのCore特有の効率を高める機能が十分に機能しないらしいということ。それでも、現行ではトップクラスの性能のようですが・・・
昔は、周波数で買っていたであろうプロセッサですが、Pentium4の登場でがらっと変わりました。それまでは、他社でも横並びに近かったですからね。今はその結果として、プロセッサの種類から判別する自体になったと言えます。尚、今後はさらにGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)の性能もコンピュータの快適さを決める要素になるでしょう。