小野小町の歌に
「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを」
という和歌があります。「あの人のことを思いながら寝たので夢に現れたのだわ、夢だと知っていたら覚めなかったものなのに」
夢のない解説をします。
恋は成就していても辛いものです。ましてやあなたは、おそらく愛しながら彼の心が離れ、分かれざるを得なかった。
だからあなたの状況や願望がそのまま夢にあらわれたのです。今の貴方の状態を、この夢は如実に表しています。
あなたは、お相手が結婚したことで現実の世界で今までと違った絶対的距離感を感じています。きっと、結婚ということを知るまではまだあなたは完全に彼を諦められなかったのでしょう。心のどこかで、彼が自分のもとへ帰ってくることを期待していた。でも結婚を知り、諦めようと決意したはずです。分かれなくてはならないという決意、それで夢の中でも距離感を持っているのです。
貴方は数ヶ月は我慢していた。強い心でふたをしていたのです。でも、やはり完全に自分の心を抑え切れなかった。距離感を持ちながらも、彼がいやがっていないのは、彼にいつまでも自分の方を向いていてほしいといった願望の現われです。
フロイトの『夢判断』的に解説すればこういったことです。
すなわち、現実世界では諦めた恋を、前意識が「もうやめなさい」とブレーキをかけたのだが、さらに奥深くにある潜在意識が、道徳観や理性の壁を破って、就寝中にあなたの意識に「夢」というカタチを取って現れたのでしょう。ここまでは精神分析的解釈です。
さて、小野小町の歌は、当時としては異色でした。何故かというと、平安時代は多くは「願望が夢となる」という考え方ではなかったからです。基本的に相手が自分を慕ってくれるから自分の夢に現れるものだったのです。
どちらが正しいか?どちらに夢があるか?
あなたが判断してください。
一つだけ言えることは、あなたは素晴らしい恋をしました。苦しくて仕方ない恋をしました。生きている実感をお持ちでした。きっと素晴らしい方なのだと思います。
だから、これからも素晴らしい対処の仕方がお出来になることと思います。新しい恋を見つけるのも○。心の中で忘れられるまで相手への気持ちを持ち続けるのも○。忘れられなくて携帯で連絡してしまうのも○。どれにしても、結末は貴方が責任を持ってお取りになれるでしょう。
頑張ってください。
もし、忘れたくないなら 小野小町
「いとせめて恋しき時はうばたまの夜の衣を返してぞ着る」
「たいそう切羽詰っていとおしく思う時は、夜の着物(寝間着)を裏返して着る。そうすれば夢の中で恋しい人に会える」そういうおまじないがありました。
お礼
今日も早速、再び出てきたので、見てみます。 ありがとうございます。