アンプなどのオーディオ製品を構成している部品の一つ一つは水に濡れても完全に乾燥させれば動作に影響を受けるものではありません。ただし水は純水である必要があります。また洗った後完全に水を撤去できるかというと難しいと思います。
例えば水でいったん濡らしたアンプの部品を完全に乾燥させたあと基盤に取り付けるなどして組み立てれば問題なく動くでしょう。しかしすでに組み立てられたアンプ内部には複雑な形の構造があり、その細部に入り込んだ水を完全に排除するのはむずかしいでしょう。水の乾燥の速さは水の体積と空気に触れている部分の表面積によります。例えばペットボトルの水をコンクリートの床にぶちまければ、ペットボトルの中に入れたままの状態よりずっと速く乾燥します。同じようにアンプの中に入り込んだ水滴の空気に触れている面積と水の体積の関係は、想像するに非常に多岐にわたり表面上完全に乾燥させたと思っても、その感覚が正しいかどうかは誰にもわからないことになります。よく言われるようにアンプ全体を冷蔵庫に入れても特に湿度の高い今の時期そこから出すときに空気中の湿気が結露して水滴がつく恐れがあるでしょう。構造の中のどこにどんな風に水が残りやすいのか感覚的に知っていないとセット全体から完全に水分を排除するのは難しいと思います。
さらにいったん水が入るといくら純水であったも接触した物体に付着したり含まれている様々な物質を溶かし込んで簡単に電気を通すような状態に変わってしまいます。いったん電気の通り道ができればどこにどういう影響が表れるか全く予測不能です。
また、水洗いでアンプの不具合が解決するかどうかはわかりません。コンデンサーの容量抜けや可変抵抗器の回転子接触面の酸化膜形成、コネクター類の接触面金属の酸化による接触不良、ICやトランジスタなどの素子の動作不良、抵抗器の損傷などいろいろ考えられます。
私ならまず内部のほこりを撤去し、発熱による変質している部品がないか調べ、できるならコンデンサーを交換し、内部の断線がないか目視で点検し、危ないところは線を交換し、コネクターを磨き、トランスがあれば断線がないかあたり、ボリュームを交換し、シグナルインジェクターとトレーサーで左右の違いがどこで起こっているか調べると思います。シグナルインジェクターとは微弱な出力の発信器でトレーサはパソコンショップで売っている300円くらいのアンプ付きスピーカーの入力にアッテネーターをつけたもので十分だと思います。