戦車が出てくる映画を大雑把に分けると、「第二次世界大戦モノ」か「現代モノ」に分けられます。
第二次世界大戦モノの場合は、本物が出てくる場合がよくあります。そもそも80年代以前はしーじーなんてもんがありませんでしたからね。
というのも、第二次世界大戦で使われていたアメリカのM4シャーマンやソ連のT-34なんかは大量に作られましたから、特に昔なら動くやつは探せばどこかにあったのです。アメリカ軍やソ連軍が登場する映画ならそれをそのまま出せばいいのです。「遠すぎた橋」なんかは、あっちこっちから動くやつを探してきたそうです。ドイツものも、車なんかは探してきたみたいですよ。
また昔はハリウッドといえど大らかでしたから、「バルジ大作戦」のようにアメリカ製のM47戦車に鉄十字のマークを書いただけで「見たまえ、これがキングタイガーだ」なんてガバガバなこともやってました。
まあなにしろあの「トップガン」でも、F-5戦闘機をソ連製の「Mig-21(見た目からして子供でも分かるほど違う)」だというテイにしましたからね。当時のミリタリーマニアはそんなんでも我慢して見ていたのです。
しかしさすがにドイツ軍戦車は手に入りませんので、多くの場合はベニヤ板をつけたりして外見をそれっぽくしていました。M4シャーマンは台車の形が独特過ぎていくら外見をそれっぽくさせようとしても無理があるので、よく使われたのがT-34です。
「プライベートライアン」で登場したタイガー戦車は、T-34を改造したものだったそうです。びっくりするほどよくできていましたよ。もちろん細かいところはCG使ったのでしょうけどね。
そのタイガー戦車の本物が出てきたことで話題となった「フューリー」は、本物が出てきたのは登場してきた一場面だけで、あとは一部を作ったものとCGを重ね合わせていたそうです。
また、アメリカ軍側のM4戦車はどっかから本物を何台か借り上げてきたそうです。中には、マニアが個人所有しているものも借りたそうですよ・笑。
一方の現代モノですが、これは現代の軍隊の協力が期待できます。軍隊にとっては撮影に協力することで軍のイメージアップに繋がりますし、借りる側からすれば相手は国なのでレンタル料金がかからない・笑。いちいちCGで作るより、本物をちょっと借りて撮影させてもらったほうが安上がりです。
しかし一応兵器ですから、あんま細かいところをアップで撮られるのは軍隊も困ります。だからそこはCGでフォローすることになりますね。「シンゴジラ」なんかがそうです。本物の映像とCGを組み合わせているそうですが、私にはどの映像がCGでどれが本物なのか分かりません。
また「作ってしまう」というパターンもあります。「戦国自衛隊」には61式戦車が出てきますが、当初自衛隊から借りるつもりが、「日本人同士が戦う映画には貸せない」と断られてしまいました。で、当時の角川は元気があったんですね。じゃあ作っちまえとなった。角川は「8000万円かけて作りました!」と宣伝しましたが、実際は3000万円くらいだったらしいです。
中には建設機械のエンジンが入っていて、ちゃんと走るモデルでした(もちろん公道は走れません)。撮影中に俳優さんが動かして遊んだというエピソードも残っているそうです。採寸はなんとタミヤのプラモデルからとったそうです。
この戦車は保管されていて、後に「ぼくらの7日間戦争」で再度その姿を現しました。なんでも、今でもちゃんとどこかに保管されているそうですよ。