Windowsの場合は、より古い時代には、インストール方法や
設定の保持手法についても、ソフトごとに様々なものがあり、わかりにくいものでした。
それが1995年のWindows95から、レジストリーというバイナリーファイルとして
データベース化された設定が、標準の機能として設けられました。
(レジストリー自体は、もうちょっと前からあった機能でしたけどね)
反面、レジストリーには巨大なバイナリーファイルとして
専用のツールが無ければ管理できない。
OS自体の重要な設定と、一般アプリの些細な設定なども混在する。
データベースの検索にかかる時間が、動作速度低下を招くことがある。
といった弱みもあり、絶対的な標準の手法とはなりませんでした。
当時は、遅いHDDから、個別の設定ファイルを読み出すより効率的とも言われましたが
実際には、HDDの高速化やディスクキャッシュなどの働きで
必ずしもレジストリーに速度や効率における利点があるとも言えなくなっているようです。
それでもレジストリーは、主流となっているかもしれませんが
手法がひとつ増えて、古代のパソコンよりも
よけいにわかりにくくなったとも言えるわけです。
結果的に、現在もレジストリーを利用しないソフトがあります。
GOM PLAYERの場合は、インストール手法はともかく
アップデートの手法として、独自のソフトが
メーカーのサーバーと通信する仕組みで
それが、セキュリティホールとして問題になったりもしたんですが
アップデート自体もセキュリティホールを解消するために行われることがあるので
どこに実行ファイルを置いていても、正常にアップデートができるかどうかは
一度確認しておくべきでしょう。
アップデート機能が、レジストリーを参照して
更新すべきファイルの保存先を判断している場合、そこがうまくいかない可能性があります。
うまく行かないのであれば、ポータブル版としても配布されている
VLCメディアプレイヤーのようなソフトを使うのも良い選択肢です。
反面、ポータブル版も、インストール作業がいらないというだけで
セキュリティ上の問題が生じている場合は
インストールした場合と比べてリスクが小さいということはありません。
まめに、アップデートについてチェックし、随時更新する必要があります。
私自身は、そういうことを考えるのがめんどうくさいので
持ち歩くとしたら、USBメモリーにはアプリではなく
OS自体を入れて持ち歩くようにしています。
実際、出先で他人のPCを借りて作業することはほぼありませんが
管理が厳しい企業の場合は、USB接続自体が利用できなかったり
USB機器から、OSやアプリを起動できなかったりするんですが…
USBメモリーにOSを入れてあれば
OSや内蔵HDDが無い、普段使っていないパソコンに挿して
そこのLANやインターネット回線にも繋がないで
独立して、使いたいように使える場合があり、便利な場合があります。
Windowsでのポータブル版アプリケーションは
結局は、ソフトをインストールするだけで、OSが重くなるという迷信から
使いたいソフトを、インストール拒否されるような状況で
「OSを重くしない」という効能を挙げて利用できるというものです。
実際には、重くなる理由はレジストリーの肥大化にあるので
レジストリーを利用しないソフトは、理論上インストールしただけで
OSを重くするようなことは起きませんし
USBメモリーでも起動できるので、内蔵HDDにインストールしないで済みます。
でも、厳密にはUSBメモリーは内蔵HDDより遅いので
作業環境としては、レジストリーを使わないなら
「インストールして使えばいいのに、バカみたい…」というものでもあります。
こういったWindows特有の因習は、他のOSと比較すると滑稽な場合もあって
Linux系OSでは、USBメモリーへのOSの導入が自由に簡単にできるだけでなく
OSのパッケージ管理システムに、ほとんどのアプリケーションをゆだねて
OSのアップデート作業で、アプリケーションのアップデートもまとめて管理できるようになっています。
Linux系OSは、もともとはUNIXを模倣して来ましたが、UNIXは
Microsoft社やApple社が無かった1970年代から活躍してきたOSで
より新しいMS-DOSやWindowsなどとは、管理の概念が大きく違って
設定は、設定専用のディレクトリーがあって
そこに、テキストファイル形式で設定ファイルが大量に置かれています。
Windowsは大量のファイルを参照する仕組みを非効率としてレジストリーを開発しましたが
結果的には、古典的手法に対して、PCの性能向上が上回り
UNIX風の手法では、レジストリーの肥大化のような問題に悩むこともなく
設定をまとめてバックアップしておいたり
別のPCに同じ設定を施したりする作業も、効率的に行える仕組みが健在です。
GOM PLAYERにはLinux系OS向けのものは無く
VLCメディアプレイヤーにはLinux系OS向けのものがリリースされていますが
VLCのクロスプラットフォームのアプリケーションとしての性質は
むしろWindows特有の仕組みを前提とするよりも
古典的な仕組みを継承しつづけるほうが簡単なために、そうなっているのでしょう。
似たような都合で、Linux系OSにも対応しOSSとして開発されてきたソフトでは
VLCに限らず、LibreOffice,GIMP,Inkscape,MuseScoreなどなど
Windows向けとしてポータブル版も提供されているものが多々あります。
逆に、認証の仕組みを伴う市販ソフトなどではレジストリーを多用する傾向が強いようで
ポータブル版はあまり無いようです。
もし持ち歩いて使うポータブル版があるソフトが、全部Linux系OSに対応していれば
場合によっては、Linux系OS自体を持ち歩くほうが、管理性が良い場合があります。
必ずしも、Linux系OSが、すべてのPCで動くわけでもありませんし
USB起動ができないように設定されているPCもあります。
ただ、そういう設定が行われているPCの場合は
普通は、USBメモリーでポータブル版アプリを起動することも禁止されています。
管理がゆるいところや、そもそも管理外にある、使われていないPCの転用には
Linux系OSが、内蔵HDD無しでUSBメモリーで動くことができますし
適切な運用形態をとれば、OSを随時アップデートしていけば
持ち歩くVLCやLibreOfficeなども、まとめてアップデートを続けることができます。
そういった運用に慣れてしまうと、Windowsのように、OSと各種アプリを
個別にアップデート管理する仕組みは、ただただ煩雑なものに思えてきますよ。
まぁ、Linux系OS版が無いソフトは、市販ソフトのほとんどに及び
無料ソフトでも多々ありますから、使い方によってはぜんぜん役に立ちませんけどね。
お礼
回答ありがとうございます。レジストリを使用しないソフトならインストールしても 大丈夫なんですね、勉強になりました