メチャクチャな回答ばっかりですね...
>> 好きな曲をダウンロードするのが違法だとして //
まずこの点ですが、「全てが違法」という訳でも、「全てが適法」という訳でもありません。(1)違法に配信されているものを、(2)そうだと知りつつ、(3)デジタル方式で録音・録画した場合には、その録音・録画した人も違法になります(著作権法21条、30条1項3号)。
(1)に関して、「アップロードが違法かどうか」は、あまり関係がありません。アップロードした人は無許諾でも、配信する人(たとえば動画投稿サイト)が権利者と包括許諾契約を結んでいる場合があるので、「違法にアップロードされたものでも適法に配信されている場合」があります。
(2)に関して、確定的には知らなくても、「普通の人の注意力で判断すれば違法だと思うはず」という場合は、民事責任(損害賠償)は免れない可能性があります(刑事責任は故意責任の原則から、少なくとも未必的に知っていることが必要です)。
>> その曲をスピーカーから出る音で録音するのは違法なのでしょうか? //
上記の(3)に関して、スピーカーから出る音をマイクを通して録音する行為は「デジタル方式」に当たりません(ICレコーダーを使う場合でも、いったんスピーカーから出た音をマイクで拾うときは当たりません)。
ただし、(a)個人的な使用を目的とすること、(b)使用する本人が行うこと、が条件です(著作権法30条1項柱書)。
なお、この「私的使用のための複製」は、「利用者に認められた権利」ではありません(「権利」と書いている回答がありますが、誤りです)。著作権の範囲外なので自由に使って良い、というだけです。
>> ダウンロードするのとどう違うのでしょうか? //
上述のように、著作権法の構造としては、
[原則]
複製することは、デジタルかアナログかを問わず、全て違法(21条)です。もともと著作権法は印刷技術の発展を前提にしているので、アナログでの複製も当然に含まれます。
[例外]
私的な使用を目的とする場合は、方法の如何を問わず著作権の範囲外となっています(30条1項柱書)。個人では印刷機などは買えず、少量しか複製されず、その質もオリジナルより劣るので、権利者に与える打撃よりも、いちいち規制することで文化の発展が阻害される、と判断されたためです。
[例外の例外]
もっともデジタル複製技術の進歩に伴って、誰でも簡単に、劣化なく、大量の複製物を作れるようになったため、権利者への打撃が無視できなくなりました。そこで、デジタル方式の複製に限って規制することになりました(30条1項3号)。
これが、「ダウンロードによる複製」と「スピーカーから出ている音の複製」の差です。
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以下、質問とは直接関係しませんが、明らかに誤った回答が多いので、訂正しておきます。
1. 有償か無償かは、関係ありません。
ちょっと考えれば分かる話ですが、たとえばCDをコピーして大量に、タダで配る人が出てきたら、レコード会社は大打撃を受けます。従って、「無償での配布」であっても違法です。有償の場合、他人の知的創作活動の成果物に「ただ乗り」しているので、より悪質だと言えますが、「違法か適法か」というレベルでは、どちらも違法です。
2. バレるかどうかは、関係ありません。
誰が見ていなくても、赤信号は渡ってはいけないし、覚醒剤を輸入してはいけません。「違法とされているからバレたら捕まる」のであって、「バレたから違法になる」のではありません。
3. 鼻歌は適法です。
(1)営利を目的とせず、(2)客から料金を取らず、(3)出演者に報酬を支払わない場合は、どれだけ演奏・上演しても適法です(著作権法38条1項)。
(1)について、たとえば喫茶店などで客に聞かせるためにCDを流すのは、「営利目的」に当たります。もちろん、カラオケ屋のように曲の演奏そのものが商品・サービスになっているときは、明らかに「営利目的」です。
(2)について、入場料やいわゆる「チャージ」を取る場合はもちろん、チャリティー名目でも「料金」に含まれます。
(3)について、いわゆる「足代」や「花代」も含まれます。
当たり前ですが、「鼻歌」はいずれにも該当しません。従って、鼻歌は自由に歌うことができます。
4. CDを購入したからといって、「聞く権利」を買った訳ではありません。
聞くことができるのは、著作物の性質上、当たり前です。絵や写真は鑑賞するために、小説は読むために、CDは聞くために買うものなので、その性質上、鑑賞したり、読んだり、聞いたりできるのは、当然の前提になっています。
従って、「視聴覚する権利」というものを観念すること自体、間違いです(憲法の次元で言う「知る権利」としては存在しますが、これは国家権力に対して「情報を出せ」と請求する権利であって、私人である著作権者に「お前の音楽を聞かせろ」というのとは、全く意味が違います)。
また、CDを買ったからといって、著作権法上、何かの権利を取得する訳でもありません。「CDという物体の所有権」は取得できますが、著作権とは何の関係もありません。
5. 著作権侵害には、民事責任も刑事責任もあります。
6. 「ダウンロード法」という法律はなく、著作権法の専門家の間でそのように通称されている法律もありません(ダウンロードが違法化されたのは著作権法の改正であって、「ダウンロード法」なる個別法が成立した訳ではありません)。