良い質問ですねぇ…というのを、このサイトで初めて使ったと思うけど。
GOMプレーヤーは、パソコンのソフトウェアに詳しい人の一部に
LGPL違反の恥ずかしいソフトと認識しています。
GOMプレーヤーは競合するVLCに比べて、UIなどの違いに評価があるようですが
実際には、二つのソフトは、デコードエンジンとして、基本的に同じものを使っています。
LGPLのものをとりこむことで、対応データ形式を充実させているわけです。
しかし、安易な流用は、一方をLGPL違反として糾弾されることになりました。
(これはもう何年も放置されている問題で、開発元の人間性が疑われています)
コンピューターソフトウェアやサービスの分野であれば
現在、ライセンスのことを学ばないで済むことはあり得ないでしょう。
いわゆるフリーソフトは、単に無償で使えるソフトの総称となっています。
対して、無償で動くものの、機能や使用期間の制限があり
有償で通常版になるものをシェアウェアと呼んだりしますし…
市販品に、試用目的の体験版が無償で配布されるようなこともあります。
ところが、この星にはオープンソースライセンスと総称されるライセンスがあり
それに基づく、オープンソースソフトウェア(OSS)と呼ばれるソフトがあります。
Androidスマフォの根幹には、GPLというオープンソースライセンスのものが使われていますし
MacOSXの根幹も、BSDライセンスなどのオープンソースライセンスとなっています。
非常に多くのインターネットサイトのサーバーもOSSを中心に構築されていますし
日本最速の京を含め、スーパーコンピューターのほとんども、OSSの技術無しに成立していません。
HDDレコーダーなどの説明書を見ても、末尾にOSSの使用を示唆するライセンス条項が記載されています。
フリーソフトと区別されていないことが多い、GIMP,LibreOffice,Firefox,AudaCityなど
エンドユーザーが選び使っているソフトにも、OSSはめずらしくありません。
そして、それらの特徴は、ソースコードが公開されていて、再配布や改修が自由といったものです。
前述のLGPLは、GPLというライセンスの制限を
若干軽減したもので、GOMプレーヤーが違反しているのは
LGPLのソースコードを使った部分について、その配布元を明記していないというものです。
それでも、ライセンスの違反というものは、その被害を問わずすべて悪いことです。
ですからこの質問で、例にGOMプレーヤーが出てくるのは良い質問なんです。
オープンソースのソースコードをとりこんで開発すれば
強力なツールを、小さなコストで作ることができるとも言えます。
しかし、オープンソースライセンスの中には、非常に採用例の多いGPLのように
「GPLのソースコードを含むソフトは、同じGPLライセンスで公開する義務が生じる」ものもあります。
ですから、安易に流用できるというわけではありません。
たとえばELECOM社は自社製品に組み込んだGPLのソフトウェアについて
変更点のソースコード公開要求に応えず、GPL違反で糾弾され
最終的に、「金輪際GPLを使わない宣言」をして評判を落としています。
GOMプレーヤーやVLCが使っているのはLGPLのlibavなので
ソースコード公開の義務は生じませんが、開発元を明記しているVLCに対して
明記していないGOMプレーヤーでは、評判が違ってきたりもします。
(GOMプレーヤーの本国公式サイトには一切ffmpegやlibavの文言が無いようです)
自作をオープンソースライセンスで公開することを避けたい場合は
GPLのFFMPEGを呼び出して処理するフロントエンドとして成功している
携帯動画変換君のようなアプローチもあります。
ですが、こういったものを、完全に自前で作ろうとすれば
MPEG2やh.264などの構造を調べ、実際に流通するデータの実勢を検証し
それに沿った、独自のエンコード/デコードのエンジンを作る必要があります。
それは、高速性の問題も含めて、非常に困難なことだと言えるでしょう。
お礼
vaiduryaさん丁寧な回答ありがとうございました。とても感謝しています。 素晴らしいフリーソフトを作れるように頑張っていきます。