●まず最初に、大阪は首都に適しているかを考える…
細長い日本、東京はほぼその中間点に位置しています。良い例がJRの在来線では東京からだと青森と岡山がほぼ等距離です。かりに…大阪が首都となっていたら…、まずこのバランスが崩れます。そうでなくても東北、北陸、北海道などへの関心度が低く、具体的な知識も理解も、ともすれば遅れがちな関西以西の意識傾向が作用して、西に厚く東に薄い国家行政が目に見えるような気がします。
大阪はまた、大阪城がありはするものの、元々が商業中心の街です、それゆえの自由闊達な物の考え方や文化が見られます。それ自体はとても良いことだと思います。しかし、こと国政ということになると、自由闊達は逆に望ましくない傾向となりやすい性質を持っています。ごく平均的で冷徹、重厚で知的、こうした自由闊達とはある意味対極的ともいえる性格を持ちえた東京ほどには、首都大阪は安定した国政を貫くことは難しそうに思います。
首都としての条件は、古くは皇室の存在と切っても切れない関係にありました。いえ、今日でさえ、大臣就任の承認、国会の開会などと、皇室の関わりが国政には欠かせないのです。皇室が東京に居を構えている限り、大阪では首都の機能を果たすことが出来ません。皇室ともども首都を大阪に移し替えるぐらいなら、近い将来かならず襲ってくると言われている大地震や津波など大災害を避けて、東京や大阪などではなく、いつそのこと那須の御用邸などより安全な土地にそっくり移転したほうが国のためだと思います。
●そして本論、大阪が首都だったら東京はどの程度栄えていたか…
大規模企業にとって関係諸官公庁と密接な土地ほど望ましい立地条件はほかにありません。その意味では首都が大阪であれば大阪とその周辺は魅力があります。しかし、物流、情報、こうした面から見て行けば、現実には企業の拠点がどこにあったとしても、今日ではさほどの影響はないはずです。もし、どうしても諸官庁と顔を合わせての協議などが必要であれば、たかが一時間半ほどで移動できる新高速鉄道を利用すればいいだけのことです。
東京とその周辺は広大な平野であり、大阪とその周辺よりも土地の活用度が高いものです。ましてや主要な官公庁が、あるいは皇居までが大阪に移転してしまえば、都心部の土地の価格も幾分下がり、かえってオフィスなど民間の活性化が望めることにもなります。また、冒頭にも書いたように、東京はほぼ日本の中心部に位置していて、多少なりともすべての活動をより効率的に行えるメリットがあります。
といったわけで、首都ではなくなった東京は、ニューヨークに見られるように、今よりも伸び伸びとした一大商工業圏としてさらに経済面での大発展を遂げることになると思います。
でもねぇ、首都となった大阪、ほんとに長続きしますかねぇ。そのうち、首都を東京に返したいなどと言い出さなきゃいいけど。