No.2のJagar39です。補足です。
パタゴニアのH2Noというのは「防水透湿性素材」です。つまりゴアテックスの代替素材ですから、これを使用したウエアは「ハードシェル」です。
ご質問のモデルは「ソフトシェル」なので防水性はありません。ただしパタゴニアのソフトシェルは私も数着持っていますが、耐水性はかなりのものです。小雨の中を1時間程度行動するくらいでしたらまったく問題ないです。
むろん、防水透湿性素材を使わないソフトシェルの方がハードシェルより透湿性が高いと言うことが前提です。でないとソフトシェルの意味がありませんから。
実際問題、日本でも厳冬期の高山帯ではまず雨など降りませんから、ソフトシェルの方が快適に行動できる場面は多いです。
考えてみれば、私の学生時代はゴアテックス製品はもちろん存在しましたが高くて買えなかったので、冬山はナイロンの「ダブルヤッケ」で登ってました。それには防水性はなかったので、言ってみれば昔はみんな「ソフトシェル」で冬山に行っていた、ということになりますね。
ソフトでも「シェル」ですから、もちろん行動時に使用することを前提に開発されているモデルです。非行動時、すなわち写真撮影のシャッターチャンス待ちとかテント内や避難小屋内、休憩時、ビレイ時などの「寒い中でじっとしている時の保温性の確保」には、それ用のウエアが別に用意されています。パタゴニアだと定番のDASパーカなどがそうですね。ダウンジャケットでも良いのですが。
実物を見ているわけではないので確実なことは言えませんが、このウエアは日本くんだりの山では「登山」に使うにはちょっと暑いでしょう。もっと寒い場所で使うためのウエアでしょうね。
ただ、行動時の体温の調節幅があまり大きくない行動には、ミドラーを省略できる分、動きやすくなるメリットが生きるので、使用する価値があるように思います。
普通の「登山」だと、激しい登行やラッセル、平坦で強風の稜線、樹林帯、下りなど、極端に暑くなったり寒くなったりします。それだと基本通り、ベースレイヤー+ミドラー+シェルという3層構造のレイヤリングの方が体温調節の幅が広く取れて都合が良いわけです。
ですが例えば冬季のクライミングでは、登攀中はどちらにしろ激しく運動しているわけで、それほど暑くなったり寒くなったりするわけではありません。それだとこのソフトシェル+その気温にマッチしたベースレイヤーという2層のレイヤリングで挑めば、3層のレイヤリングより動きやすくなるのでメリットがありそうです。
また、スノーシューでアップダウンの激しくないコースをスノーハイク、などという用途にも合いそうです。これも体温調節幅はそれほど広く取る必要はありませんから。
最近は冬の北八つなどでは薄手のダウンジャケットを着て行動している人が多いです。それよりは、このソフトシェルの方が風が出てきたり軽く吹雪いてきた時にも慌てる必要がないので潰しが利きそうです。
4オンス+6.3オンスというそこそこ厚手のシェル素材に中綿入りで720gという重量なので、休憩時や写真撮影のシャッターチャンス待ちに使えるほどの保温性はなさそうですよ。私が持っているパタゴニアのソフトシェルは、1枚地ですけど同じくらいの重量がありますから。
まあ、暖かい場所でなら、休憩やシャッターチャンス待ちにも使えるでしょうけど、それだったら薄手のダウンジャケットでも持って行った方が軽くてよほど良いでしょうし。
「ソフトシェル」なので行動時に着用することを前提に開発されてはいるのですが、用途は使用者の発想次第で面白い使い方ができそうです。
日本の山は高山帯以外は厳冬期でも雨が降ることがありますし、雨が降らなくても日本海側は湿雪ですし、ソフトシェルが使いやすい地域ではありません。
ただ、透湿性はゴアテックスなどの防水透湿性素材より段違いに良いので、ツボにはまれば非常に快適に行動することができます。猛吹雪や万一の雨などに対するオプションも考慮する必要があるので、ソフトシェルをウエアに加えるのはけっこう創意工夫が必要ではありますが。