>ヘッドフォンの再生音と逆位相の信号を合わせているのでしたか.
「ヘッドフォンの外部から聞こえてくる雑音」(たとえば自動車やバイクの騒音とか人のざわめきの音など)とは逆の位相の音を作り出し、それを本来の音楽などの音声信号と合成することで打ち消しています。
>逆にノイズが増幅されてしまったりしないのでしょうか?
ノイズが増幅されるには、逆位相であった音声信号が、聞く位置がずれることによって正位相に変わる必要があります。
たとえば、1kHzの音(一秒間に空気が1,000回振動して聞こえる音)の波長は、音の伝わる速度が毎秒およそ330メートル(温度によって若干変化します)であることから、33センチメートルであることがわかります。この場合には、聞く位置が16センチメートルくらいずれると、正位相になって雑音がかえって増幅されてしまうことになります。
でも、ヘッドフォンで、聞く位置が16センチメートルもずれることはあり得ないでしょう。
ところで、高い周波数の音になるほど波長は短くなりますから、その場合には聞く位置のずれによって逆位相の音が正位相の音になってノイズが増幅される可能性はあるのでしょうか? ちょっと計算してみましょう。
人間の可聴周波数の上限はおよそ20kHz(一秒間に空気が20,000回振動して聞こえる音)だとされています。先ほどと同じように波長を計算してみます。すると、およそ1.65センチメートルになります。これは、8ミリメートルくらい聞く位置がずれると逆位相だった音が正位相になって、ノイズが増幅されてしまう可能性があることを示しています。
ただし、一般に「ボンボン」とか「ゴーゴー」といった低い周波数の音は、障害物(たとえばヘッドフォンのケース)を通過して耳に届きやすい特性がありますが、「キンキン」とか「ピーピー」といった高い周波数の音は、障害物を通り抜ける力が弱いので、ヘッドフォンの内部までは聞こえて来ないことがほとんどです。
ですから、現実的な対応としては、ノイズキャンセラー自体の周波数特性を低音域で強く、高音域で弱くしておけば、逆位相が正位相になってノイズが増幅されてしまう可能性を実用上回避する事ができると思われます。
お礼
詳しい解説ありがとうございます. 確かに16センチもずれてしまうということはありえないですね.