通信事業者で働いています。
送別会では必ずのように、谷山浩子「銀河通信」を歌います。見知らぬ友達と宇宙を超えて話をする長距離電話の歌で、勝手に長距離電話会社のテーマソングにしています。
まわりが技術者中心なので、文系人間の誇りを示したい時は、筋肉少女帯「イワンのばか」を歌います。ロックとは文学だと主張していた人たちがやっている歌ですから、原作(?)のロシア文学を超えて、ディープで衝撃的な歌詞が特徴です。なにしろ、あと3年の命と分かっているイワンが、子供を安い値段で次々と買取り、子供達は世をはかなみ毒を飲んで死んでいったというのに、イワンのばかだけは、短い命と知っていながら、死ぬことができなかったのだ、というのです。さらに、イワンのばか!ばか!と絶叫。ツンドラの大地に子供達を埋めていくと、死体が冷たい目でイワンを見ているというのです。ハチャメチャです。
大学の時、教授が学生運動を体験した世代だったのですが、ゼミでカラオケに行ったとき、THE ALFEEの「Rockdom~風に吹かれて」を歌ったら、ズバリ的中、教授が感動していました。この歌のテーマは、学生運動と同棲解消なのです。「ロックアウトされたキャパス、やりきれないほどに、灰色の毎日だった、あいつが死んだ夜も何も知らずに俺達は抱き合ってた、時の流れに追われる俺に、ふと懐かしくよみがえる、愛と呼ぶには幼すぎだ俺達の時代とその思い出すべてを、when I was young, 1969, 風に吹かれていただけさ」。学生運動を体験した大人の前で歌うには、向いています。
カラオケに収録されたのが遅かったので、実際には歌うことがなかったものがあります。CD収録直後にカラオケに入っていたら、きめの歌として、歌っていただろうなという歌です。谷山浩子「海の時間」で、これは壮大なラブソングにして、ホモ小説のイメージアルバムのトリをつとめる曲です。ホモ小説云々など、聞かされていなければ、分かりっこありません。とにかく、露骨にエロチックでかつ壮大な歌であり、2人の乗ったベッドが時を越えて滑り出し、太古の地球を見にいくという歌詞です。「ずっと君とこうしたかった寒い夜のベッドのなかで、ほほとほほをくっつけあって雨の音を聞いているよ、君の中指にキスをして君の髪に顔をうずめて、君をほんとにダイスキだよ、何度言っても言い足りない。」「水が命を生み出すように、森が息をするように、星が生まれ死んでいくように僕たちは恋をする」。ここまで露骨に歌って気がつかないような人は、少ないでしょう。