Mozilla という名称は、Mosaic との確執の中から誕生したと言われています。Mozilla という言葉がMosaic + Godzilla (ゴジラ)の合成語で、Mosaic をうち倒す怪獣という意味が込められたのもこうした経緯があるようです。
WWWが爆発的に普及するきっかけとなったのが、"Mosaic"(モザイク) というWWW ブラウザでした。Mosaic は1993年、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校NCSA で当時学生だったMark Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏らによって開発されました。しかし、Mosaic の大成功を見たイリノイ大学は、Mosaic の権利を大学の管理下におきます。これに反発したAndreessen 氏らは大学を去った後に、Jim Clark(ジム・クラーク)氏らと共にベンチャー事業を興し、Mosaic を超えるブラウザの開発に着手しました。会社を興すにあたり、当初社名をMosaic Communications とする予定でしたが"Mosaic" の名称の使用にイリノイ大学からクレームがつき、一時Mozilla Communications という名前も検討しましたが、結局 Network + Landscape の造語からNetscape Communications という名前に決定されました。また、作られたブラウザも当初はMosaic Navigator でしたが、正式版として出荷されるときにNetscape Navigator という名前に変更されました。Mozilla という名前は正式名称ではなく、Navigator の開発コードネームとして生き残ることになりました。
表向きはNetscape という名前を使いながらも、本当の名前はMozilla であるというNetscape の立場は、実際にUNIX 版のNN のREADME にも、最終行にAnd remember, it's spelled N-e-t-s-c-a-p-e, but it's pronounced "Mozilla."(N-e-t-s-c-a-p-eと綴るが、モジラと発音する) と書かれていたことからもうかがえます。