「鉄路の白薔薇」1922年 監督.アベル・ガンス 冒頭の機関車の脱線・転覆事故のシーンの機関車の躍動的な捉え方をはじめとして映像的な切れ味の良さが随所にうかがえます。草創期の作品にもかかわらず、いや、だからこそというべきか、大変実験的な作品です。
「自由を我等に」1931年 監督.ルネ・クレール 刑務所で囚人仲間だった二人の男が、友情を保ちつつ自由気ままに生きる姿を描くトーキー初期の傑作。チャップリンの「モダン・タイムス」に大きな影響を与えましたが、クレール自身が以前のチャップリン映画から多くの影響を受けた、と語っています。
「最後の億万長者」1934年 監督.ルネ・クレール カジナリオという仮想国を舞台に、億万長者の独裁者が発狂して、滅茶苦茶な法令を濫発したり、銀行が破産して億万長者が一文なしになったりします。マルクス兄弟の「我輩はカモである」の影響を受けています。当時の世界情勢を諷刺的に描いた理知的なコメディで、ヒットラーはこの映画の国内上映を禁止しました。
「悪魔が夜来る」1942年 監督.マルセル・カルネ 15世紀のフランス、悪魔によって石にされてしまう恋人たちの変わらぬ愛を描いています。
「恐怖の報酬 」1952年 監督.アンリ・ジョルジュ・クルーゾー 粘着力のあるサスペンス描写は、ヒッチコックとはひと味違う魅力です。戦後アメリカの資本によって牛耳られた世界の構造が南米からかいま見えるといった趣で、ヨーロッパの中心フランスならではの感覚かもしれません。
「太陽がいっぱい」1960年 監督.ルネ・クレマン 貧乏ゆえに根深い劣等感を持つ内気な青年が犯した犯罪を描いて、ラスト・シーンのどんでん返しも実に鮮烈です。
「柔らかい肌」1964年 監督.フランソワ・トリュフォー 冒頭のアパートでの一家三人での食事から躍動感のある引き締まった映像でぐんぐん引き付けて行きます。
「トリュフォーの思春期」1976年 監督.フランソワ・トリュフォー フランス中央部の小都市ティエールを舞台に、リセの子供たちの日常を、スケッチ風に描写しています。いつまでも子供の心を見失わなかったトリュフォーの面目躍如といった感じの作品で、まさに名人芸といっていいリズムを持った作品です。
「白夜」1977年 監督.ロベール・ブレッソン ドストエフスキー原作です。非常に美しい映画です。
「隣の女」1981年 監督.フランソワ・トリュフォー かつて愛し合い、今は別れてしまった男女が、偶然隣人同士になってしまいます。激しく狂おしい大人の恋を見事に描いています。
「日曜日が待ち遠しい!」1982年 監督.フランソワ・トリュフォー 南仏の小さな町の不動産屋で働く女秘書が、殺人事件に巻き込まれて行きます。尊敬するヒッチコックの影響を受けたと思われる白黒作品ですが、残念ながらこれが遺作となってしまいました。
「海辺のポーリーヌ」1983年 監督.エリック・ロメール 人間関係の巧みなつながりによって、話がどこに転がって行くか予想がつかないという、ロメール監督得意の手法による傑作。しかも主な登場人物は僅か五人だから、練りに練られた推理劇でもここまで見事な作品にはなかなかお目にかかれません。
「マルセイユの恋」1996年 監督.ロベール・ゲディギャン 労働者階級を力まず絶妙の呼吸で描いた傑作。貧しい労働者たちを描きながら、じめじめせず、未来を明るく見据えようとしている映画です。
「恋の秋〈四季の物語〉」1998年 監督.エリック・ロメール ロメール78歳の作品。その瑞々しい感覚には驚嘆します。南フランス、ローヌ川沿いの、高級ではなく大衆的なワインの産地を舞台にした中高年のラブ・ストーリーです。
「奇人たちの晩餐会」1998年 監督.フランシス・ヴェベール わずか1時間20分の上映時間で、舞台も編集者のマンションに限定されているにも関わらず、こんなにも豊かな笑いに包まれた批評精神の旺盛な映画にはなかなかお目にかかれるものではありません。
「親密すぎるうちあけ話」2004年 監督.パトリス・ルコント 寂しい人妻アンナに精神科医と間違えられて、夫婦関係の相談事をされてしまった堅物の税理士・ウィリアムが次第にアンナにのめり込んで行く様子が興味深く描かれます。全く裸は出て来なくても、ディテールの描き方の巧みさで、実にエロティックなお話になっています。
お礼
丁寧に回答してくださりありがとうございます!早速見てみますね!