はじめましてとあいさつしているのは、人間ではありません。
言葉通り「明日」にあいさつしています。
少しだけわたしのことを愛せる人もいると思いたい
と書かれているように、この人は自分のことを愛せていないんです。
自分で自分を愛せてすらいないから、だれにも愛されなくても「しかたがない」と考えてしまう。
でも、本当はわたしだって終わったことはさっぱり忘れて、前だけを見て生きてみたい。
そう思っても、明日に「はじめまして」というくらい、この人は自分の人生に明日(未来)を感じられるときがなかったんです。
これって受け取りかたを変えてみると、だれも自分を気にしていない、だれにも求められていない、めちゃくちゃ孤独な人生と言い換えられると思います。
わたしにも明日があると感じてみたい。
また明日ねって笑ってあいさつできるような日々を生きてみたい。
また明日ねって言えるってことは、だれかと繋がっているということ。だれかと時間を共有しているということです。でも、この人にはそれがない。
いつもどこの輪にも入れず、ひとりでぽつんといるだけの日々。
考えれば考えるほど、寂しくて、切なくないですか。
そんな人が、ささやかに願ったことが「あんたと一度くらいつきあわせてよ」なんです。
ほんのちょっとでいいから、だれかに求められてみたい。
この寂しさから救われたい。
悲しく孤独な内容を「はじめまして」という前向きな言葉で歌っている。
それがこの歌のすごさだと思いますよ。