他の方も回答していますが、「生ける屍が生きている人間に襲い掛かって噛みついて、噛みつかれた者は生ける屍になる」というゾンビの基本設定を作ったのが、ジョージ・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」です。今から見ると学生の自主製作映画のような安っぽいB級どころかC級といってもいいくらいの作品です。
実はこの作品、最初のゾンビ映画という以外にもエポックメイキングな一作でもあります。何がエポックメイキングなのかというと、当時は自主製作でも極めて珍しい「黒人が主演の映画」だったのです。この当時は「白人がカッコ良くて頭が良く、黒人は愚かで乱暴者」というのが映画のお約束でした。しかしロメロ監督は「主演が黒人でしかも周囲の白人より賢明な男」として作品を作りました。これは当時社会運動として盛り上がってた公民権運動の影響もありました。
おそらく映画を見ることはないでしょうからネタバレをしますと、主人公の黒人男性はゾンビと間違えられて白人の保安官に射殺されてしまいます。そこに黒人差別へのメッセージも込められていました。
その後同じロメロ監督によって作られた第二弾の「ゾンビ」によって「ゾンビ映画」というものが確立されます。ちなみに「生ける屍」に「ゾンビ」という名前がついたのは、この映画によってとなります。ついでにいうと、この映画も原題は「ドーン・オブ・ザ・デッド」で日本で公開されるにあたって「ゾンビ」という邦題がつけられました。
「ゾンビが襲い掛かってきたらショッピングセンターに逃げる」というお約束を作ったのもこの映画です。
「ゾンビ」が公開されたのが1978年。「エイリアン」が1979年。そして「遊星からの物体X」が公開されたのが1982年で、ここらへん辺りで現在のホラー映画やホラーゲームの「お約束」が確立した感じはありますね。
また同じ頃の1980年に「13日の金曜日」が公開されます。こちらはホラーではなくグロテスクな内容だったので「スプラッター映画」と呼ばれるようになります。
1985年に「バタリアン」というスプラッター映画がヒットして、80年代後半はスプラッタームービーブームが起きます。とにかくグロくて過激なのが次々に作られてヒットしました。
その過程で存在が地味な「ゾンビもの」は一度ほぼ絶滅状態となり、見向きもされなくなります。
そのゾンビを復活させたのが「バイオハザード」だったのです。はい、ここまで映画の話をダラダラとしたのは、バイオハザードに繋がるまでの前フリでございます。
バイオハザードの歴史的大ヒットによって、ゾンビがホラーのメインストリームとなります。その後、映画やドラマなどでも次々とゾンビものが作られるようになります。
ロックやポップスが元をたどればビートルズになるように、マンガは元をたどれば手塚治虫になるように、ホラーものはゾンビとエイリアンと遊星からの物体Xあたりに元ネタが集約されてしまうと思います。
和製ホラーに関しては、菅原道真公の昔からお菊さん、お岩さんから現代の貞子さんに至るまで、一貫して「同じ内容」になっています。
それは「強い怨みをもって死んだ人間が、呪い殺しにやってくる」というものです。「怨霊」を何より怖れるんですね、我々日本人は。
外国人は意外に怨霊を怖れません。イギリスではロンドン塔で多くの人々が処刑され、ロンドン塔に幽霊が出るという話は昔から有名ですがその幽霊が呪い殺しにやってくるという話はありません。
そしてそんな怖ろしい怨霊への対処法もあります。それは「神社を作って神様にしてお祀りし、御霊を鎮める」というものになります。菅原道真公には太宰府天満宮。平将門公には神田明神。崇徳天皇には安井金比羅宮。お岩さんやお菊さんもそれぞれ神社があります。貞子さんには神社がないので、まだ怨霊となって出てくるのです。
お礼
YouTubeでナイトオブ〜の4K予告映像を観てみました。 どこかで見た事あるなぁーと思っていたら、以前映画館で観た「屍人荘の殺人」というクソ映画に似ている。村中大量のゾンビに次々とやられ、家に閉じこもって皆で戦う。 その中で密室殺人が起きるのですが、なぜゾンビ?という感じでした。