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SEM-EDSと蛍光X線装置の測定方法と違いについて
- SEM-EDSと蛍光X線装置は共にエネルギー分散型の測定装置です。
- SEMでは電子線を、蛍光X線装置ではX線を検査体に当てて測定します。
- ビームの違いにより、軽元素や重元素の測定において、どちらがより適しているかに差が出ます。その他にもさまざまな違いが存在します。
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>重元素は蛍光X線のほうが測定しやすい 重元素だからというよりも、「Na以下の軽元素以外じは」蛍光X線装置の方が測定しやすい、ということですね。 蛍光X線装置の利点は 1.励起X線照射点近くに大面積のセンサーを設置できるので、発生した蛍光X線を捕集しやすく、好感度 (SEM-EDSはSEMのおまけなので、センサーが遠くて小さくなってしまう) また、試料の凹凸による定量分析への影響が少ない。 (SEM-EDSだと斜面から斜めに発生したX線がセンサーを外れるので誤差が大きくなる) 2.励起もX線を使うことで励起X線侵入深さ≒蛍光X線脱出深さとなり、バルク(塊)としての測定で表面状態を考慮しなくて良い (SEM-EDSは表面数μmから数十μmしか測れないので、バルクとして測りたいときは削って測ってを繰り返さなければならない) といった感じで空間分布測定以外では蛍光X線装置の方が圧倒的に使い勝手が良いのです。 なので、蛍光X線装置が使える元素は蛍光X線装置装置で、使えない軽元素はSEM-EDSでということになります。 尚、蛍光X線分光分析と似た測定にオージェ電子分光分析(AES)があります。 オージェ電子は軽元素の方が発生しやすいので、軽元素はオージェ電子分光、重元素は蛍光X線分光が適しているといわれます。
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- nowane4649
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大きな違いは2つ。 一つは励起源の違いによる侵入深さと、収束性能。 X線は透過能力が高く、測定対象の内部まで侵入、奥深くの原子まで励起します。また、収束を行うことは困難なので、照射面積は大きくならざるを得ません。 一方で電子線は、透過能力が低く、表面近傍の原子のみしか励起させることができません。しかし、電界や磁界で収束をすることができるので、微小領域に絞って照射をすることができます。 もう一つは測定雰囲気の違いです。 蛍光X線装置の方は励起源のX線が持つ透過能力の高さから、お手軽に大気雰囲気で測定ができます。 比較的大きな測定対象も対応しやすかったり、ハンディ型にしたりといったことも可能です。 しかし、大気雰囲気では軽元素の出す低エネルギー特性X線が雰囲気に吸収されてしまうデメリットも有します。 対策として、ヘリウム雰囲気に置換できたり、中真空程度まで排気を可能にして、軽元素側の測定範囲を拡大しているものもあります。 SEM-EDSの場合は、SEMとしてガスに吸収され易い低エネルギーの二次電子を捕集する必要があることから、測定雰囲気は高真空~超高真空を要します。 この結果、紫外線に近い波長の特性X線となる軽元素でも測定が可能です。 しかし、高真空排気のために、厳密な封止が必要となるため、装置サイズをあまり大きくできず、測定対象も小さなものに限られます。 また、高真空下では、水分が装置汚染の原因となってしまうので、湿潤資料の測定を行うことができません。
お礼
わかりやすいご説明ありがとうございます。 あれから調べていると、重元素は蛍光X線のほうが測定しやすいとの文面を確認したのですが、これはなぜでしょうか? またご回答いただけると助かります。
お礼
大変わかりやすいご説明ありがとうございます。 理解が深まりました。 また何かありましたら宜しくお願い致します。