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真空ポンプの選定における安全率について
- ポンプ選定の場合、基本的にはポンプ排気速度を求めるための排気速度の計算式を使用します。
- ポンプ選定では、配管やバルブ等のコンダクタンス、リーク、タンク材料からの気体放出などを考慮して安全率を見越したポンプを選ぶ必要があります。
- ポンプ選定においては実際の使用状況や経験に基づいて適切な安全率を設定することが重要です。
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要は真空容器内に毎回新たに装着する試料からの発生ガス量をどれくらいに 見積もるかということだと思います。実際の装置においては配管のインダク タンス等の方が大きいので,あまり神経質に考えることはない様に思いま す。大筋の見積りを立てて考え方を整理したのち,ポンプメーカーに相談さ れるのが良いと思います。高圧ポンプに関しては低圧ポンプとの相性等もあ ります。ノウハウを持ったメーカー技術者が相談に乗ってくれると思いま す。ご覧になられたポンプ選定の資料では余裕を持って選定することを推奨していたとのことですが,素人が選定する場合は見落としがあるので,結果として装置が反古にならない様にという意味ではないのでしょうか? 漏れのない様に見積り条件を洗い出しておけば大丈夫だと思います。
追加コメントします。 確かに容器内の内部ガスの発生量は予測しがたく,多少は余裕があったほうがよいと思われます。しかし一般的には容器内の表面積に対し,毎回処理・充填する試料の表面積の比は小さく,容器内のベーキング処理等に気をつけておけば,それほど余裕を取って設計する必要はないと考えます。必要以上に設備にコストを掛けても,期待した効果は得られないということもありますので,ある程度的が絞れた段階で真空ポンプメーカーに相談してみてください。あえて必要裕度を算定するなら,処理・充填する試料の表面積からのガス発生量(付着水分量を仮定すれば,分子量からガス量を推算できます)を想定してみてください。
補足
色々コメントを頂き、誠にありがとうございます。 確かに要素奇知さんがおっしゃられるとおり、必要以上のスペックを持たせたポンプを選定したとしても、実際に期待した真空度を得られるとは限りませんですよね。 そうであれば、今まで教えていただいたコンダクタンスや排気の数式、ポンプの排気曲線などで算出した情報、並びにベーキング処理により予想される水分の排気量などの条件を考えて、 1.低真空の場合は、算出されるポンプの排気速度に近いポンプを選定する。 2.高真空の場合は、ポンプの組み合わせを検討するという考え方の方が良いのでしょうか。 頂いた資料を拝見したのですが、必ず”安全率”を見越してポンプを選定する・・・様な内容が書かれておりましたので、何か経験的なところで安全率を 見越しているのかと思っていましたが、上記のように考えた方がよろしいのでしょうか。 誠に申し訳ありませんが、お教えいただければと存じます。
回答(1)に追加します。 真空容器容量V(m3)から排気速度S(m3/s)で排気の考え方を下記します。 容器内圧力がp(Pa),dt秒後にp+dp(Pa)になるとすると -VdP=Sp dt t=0のときp0として上式を解くと p=p0 exp(-S t/V) が得られます。Sはポンプメーカーカタログに記載されていますので,排気曲線(p-t曲線)は時間tをパラメータに描くことができます。すなわち実際のポンプ系の有効排気速度は時間とともに急激に低下して行き,ある時点で真空度は飽和します。これが到達真空度になります。実際には内部ガス放出により,到達真空度は徐々に上がります。ベーキングを行って予め内部ガスを強制的に放出させるのが一般的です。 ターボ分子ポンプなどは低圧側のポンプを有しますが,真空到達時間は高真空側のポンプ排気速度が支配的になります。ポンプ組み合わせについてはメーカーの推奨しているものがありますので,真空ポンプメーカーに相談ください。
- 参考URL:
- http://www.ulvac-kiko.com/faq/pdf_faq/shiori_01.pdf http://www.ulvac-kiko.com/faq/faq_q10.html
補足
追加のご回答ありがとうございます。 ということは、真空ポンプの選定に対してはあくまで今まで出てきた式やポンプのカタログにある排気曲線からポンプ系の実効排気速度や到達時間等を求め、それらの値に近いスペックを持つポンプを選定するだけでよろしいのでしょうか。 私の知っている限りでは、内部ガス放出については予測が非常に難しいので、これらのことも考慮に入れて、排気系の設計時を行い、特にポンプ選定に関しては算出されるコンダクタンスや内部ガス放出などを考慮し、これらの安全率を見越した形でポンプ選定を行うものだと思っておりました。 そのために必要な安全率をチャンバーを含めた排気系のシステム設計時に実際どの位に設定されているのかが知りたかったのです。 もし、このような考え方で設計をされているのであれば、参考としてお教えいただけますでしょうか。
低圧の場合は概ね提示の計算で良いと思います。ただし,配管の抵抗については考慮する必要があります。以下に計算式を示します。 Q=C(P1-P2) Q=気体流量(Pa・L/min) C=配管のコンダクタンス(L/min) P1=入口圧力(Pa) P2=出口圧力(Pa) 1/S=1/C + 1/S0 S=実効排気速度 S0=ポンプ排気速度
補足
御連絡ありがとうございます。 要素奇知さんがおっしゃられるように、ポンプの選定を行う場合は配管のコンダクタンスも考慮に入れる必要があること、また私が書いた式が低圧(粗引きポンプ)の場合についての考えであることも理解できました。 しかしながら、高真空の場合(例:ターボポンプ領域(1E-3Pa~1E-6Pa)領域では、ポンプ選定の考え方はまるで違うのでしょうか。 この領域になってくると、配管抵抗(コンダクタンス)以外にもタンク内部の材料表面からの気体(ほとんどがH2Oだと思いますが)放出、O-ringからのガス放出等を考える必要があると思うのです。 そこで装置として例えば50Lのタンクで所定の圧力(例えば1E-6Pa)を所定時間(例えば5-6時間位)の間に得たいとする場合、このときのポンプの選定の仕方として、何か決まった計算式等があるのでしょうか。 そして、もしその計算式でポンプの排気速度が求められた場合、その数字に近い排気速度で少し能力の高いポンプを選定されているのでしょうか。 その辺のところがもし教えていただけるのであれば是非知りたいです。 以上、よろしくお願いいたします。
お礼
どうもありがとうございます。 自分は、以前とある真空装置の機械(構造)設計を行っていた経験はあるのですが、実際に真空ポンプを含めた排気系のシステム設計を自分自身で行った経験が無いので色々質問させていただきました。 どうも自分の場合、チャンバー容積、配管口径も含めた排気系のシステムを大筋で立ててみて、最終的にポンプメーカーの技術者と相談をしながらポンプを決めていった方が良さそうですね。 最後に色々とお教えいただきましてどうもありがとうございました。