- ベストアンサー
溶接と金属疲労についてご指導ください。
- 鋼管同士をCO2溶接している際に、繰り返し荷重がかかることで数年で鋼管に割れが入る現象が起きています。
- 溶接ビードの周囲から割れが発生しているようです。
- 溶接条件や溶接ワイヤーの適切さ、設計変更などを検討しており、アドバイスを頂きたいです。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
繰返し応力がかかる溶接熱影響部が割れる事例は多々あります。これは、基本的には溶接入熱により、熱影響部の硬度が上がり繰返し応力に対して弱くなっているからです。 溶接後熱処理が不可能と言うことですが、対策としては後熱処理が最も良いのですが、溶接条件を変えて極力硬度が上がらない方法を使用すれば、効果は有り得ます。 硬度上昇を抑える方法としては、予熱を行い、溶接による温度勾配のつきかたを少なくする方法、多層盛りに変更し、2層目以降の溶接により焼きならし効果を得ようとする方法、低入熱条件の溶接条件を採用する方法等が考えられます。 ただし、本件の場合には、管径も小さく、肉厚も薄いので、難しいものが有ります。 形状の変更により、応力のかかり方を変化させた方が効果は高いと思います。 肉厚を変えても、溶接熱影響部が起点であればあまり効果はありません。 とにかく、破断部の疲労破壊断面を良く観察し、破壊の起点を特定し、その方向の繰返し応力が軽減できる形状に設計変更することが最も効果が高いのではないかと考えます。 事故発生が、納入後数年ということであれば、低サイクル疲労と思われますので、形状変更による解決が必要でしょう。 応力の分散と、溶接部の熱硬化の低減のどちらも対策をとる必要が有ると思われます。 当然、その部分だけではなく全体の強度も見直す必要が有ると思われます。
その他の回答 (2)
金属疲労の起点が溶接ビートの周辺からとのことなので、溶接の2番部と呼ばれる溶接熱影響部での問題と判断されます。 前述の諸氏が回答されているように再焼入、脆化、軟化(強度低下)等も起きているので、金属疲労が起きやすいのだと思います。質問の件は鋼管同士直接接合する様に読み取れますが、継ぎ手が使えるのであれば、継ぎ手をかませて、応力を継ぎ手に負担させて、溶接部に応力がかからないようにするのが望ましいのだと思います。またコスト面で焼きなましするほどじゃないということですが、後熱までしなくても溶接後の冷却速度を抑える様に溶接部をすぐにグラスウールで覆ったり、軽くヒーター加熱したりしてするだけでも効果があるかもしれません。 溶接に特に詳しいわけでないので的外れかもしれませんが、普通に考えられそうなことを付け加えさせて頂きました。
溶接近傍の疲労強度は、母材の疲労強度に比べて低下します。低下の要因は、(1)ビードの凸凹によって局部応力が生じやすいこと(2)溶接後の熱収縮によって残留応力があること(3)熱処理の観点からみて不適切であり脆化してしまうこと、と考えられます。これらは租材の成分要因でもばらつきますので、n数の少ない製品ベースの疲労試験では要因判別がつきにくいものです。 さらに鋼管の継手部の強度ですので、たとえ総削り出しをしても(4)設計的に応力集中していると予想されます。 溶接工程での改善を低コストで進めようとされているようですが、量産性はないとはいえ、焼き鈍しして(2)(3)を改善した部品や、さらにはビードを手作業で研磨除去して(1)をも多少改善した部品の疲労試験を行い、目処を確認された方がよいと思います。 溶接方法のアドバイスでなくてすみません。
お礼
早速の解答ありがとう御座います。現在溶接の部所を変更したりして繰り返し荷重試験を始めています。溶材メーカーや鋼管メーカーとも相談しています。 フラックス入りのワイヤーで、ロボット溶接という安定した条件になってきていますが、原因を特定したいと考えています。ご提案の2層溶接ではないのですが、片面溶接してから対象面の溶接を行うとどうかなども検討したいと思います。量産製品で、数年後に起きた金属疲労での問題で頭を痛めています。