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著作権について教えて下さい(自費出版予定の本を書いています)。
はじめまして。 他人の著作物などから引用する場合、出典を記して慣例にしたがって引用する場合は問題ないというのは知っているのですが、以下の場合どうなるのでしょう。 1 テレビメディア等から知った情報の場合。例えば「報道特集」等を見て知った情報の記載。「○月○日の○○テレビ○○(番組名)によると」等と記載すべきなのですか? 2 翻訳された著作物からの引用の場合、原典への言及も必要でしょうか? 3 他人の著作物により知った情報だが、引用ではなく知った情報を自分の言葉で書きなおす場合。 例:ある著作物に「最近のわが実験グループの実験の結果によると、これこれこういうことが言える」という記載があり、その実験の結果のみを自分の言葉で書きたい場合。 4 出典を全く覚えていない場合。「出典不明」という記載がある本も見かけますが、いいのですか? 5 他人の著作物で、その著者も引用して掲載している部分を引用したい場合。 また著作権のこのような細かい疑問に答えてくれるサイト等ありましたらそれもあわせて教えてもらえるとありがたいです。 よろしくお願いします。
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1: ポイントは報道の「内容」を利用するか、報道の「表現方法」を利用するかです。そもそも著作物とは思想や感情の創作的「表現」ですから、その表現に内在する「事実」は著作物ではありません(講学上は「表現・アイデアの二分法」などと呼ばれます)。 つまり、番組それ自体は著作物ですが、そこで伝えられる内容が著作物であるとは限りません。これは区別の難しいところではありますが、単に「どこそこで何があった」「誰それがどうした」という事実それ自体は著作物ではなく、「私の考えでは....」という例をはじめとして、人の思想・感情の現れが著作物となります。従って、事実のみを用いる場合は問題となりませんが、その番組中に表現されたキャストの感情やディレクターの思惑などは著作物であるといえます。これを引用する場合は、著作権法により適当な方法で引用する必要が生じます。 2: 翻訳・翻案による著作物は、それ自体が二次的著作物として独立して保護を受けます。また、原著作者は二次的著作者と同等の権利を二次的著作物に対して有しますので、原著作物を示す必要があります。例えば、「XX原作・YY訳」といった具合です。 3: 1に関するのと同様、「事実」そのものは著作物ではありませんから、ある研究成果をnighty-nightさんが自身の言葉で表現すれば、それが著作物となります。ただし、これも1で述べた通り、「表現」は著作物ですので、例えばあるアンケートの結果を用いる場合、その統計の取り方に人の思想・感情が表現されていると考えられますので、適切な方法によるべきです。 4: 覚えているかどうかはともかく、原著作物が不明の場合に「出典不明」とするべきです。原著作者が不明である場合には「著作者不明」などとします。この場合、単に忘れているだけで、調べればすぐに分かる場合は調べる必要があります。 とはいえ、ある特定の「表現」が同じ姿を保ったまま「出典不明」になることは理論上はともかく、実際には「著作者不明」を言い違えて用いられるケースが多いように思います。 5: 引用の引用の場合は、その双方の出典・著作者を示すべきです。原著作物に引用された部分は、その原著作者とは異なる者が著作権を有しているからです。また、その引用のされ方それ自体が著作物の一部分であるので、引用元が用いた方法そのままに、引用する必要があるという説明も可能です(ややこしい言い回しになりました...)。 ご質問のないよう全体を通して、「内容」と「表現」の境界線のような事例が多くて回答に困りますが、この部分の区別によって著作物性が判断されるところでもあるので、「事実・内容」を利用しようとしているのか、「表現方法」を利用しようとしているのか、その点をよくお考えになってください。
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意見のあっている部分を除き、一部のみ回答します。 >5 他人の著作物で、その著者も引用して掲載している部分を引用したい場合。 これを一言で言うと、孫引きと言います。 他人の著作物の中で、引用されている部分のみは、引用されている著作者に著作権があります。つまり、引用であるため、著作権の及ばない範囲(著作権法32条)に属しているにすぎず、引用により著作権が移転している訳でも、新たに創作された訳でもありません。 当然、その引用部分のみをさらに引用しても、孫引きされた出典記載のみが必要となり、引用された著者の出典記載は必要ありません。 著作権に関しては、下記の本が為になります。たぶん6版がもうそろそろ出るため、今は絶版となっています。初心者でも理解できます。 実務者ための 著作権ハンドブック〔第五版〕 出版社: 著作権情報センター 本格的に法律の勉強として利用したいのならば、下記の本だそうです。 著作権法逐条講義 出版社: 著作権情報センター
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ありがとうございます。大変よく分かりました。参考になります。また書籍のご紹介もありがとうございました。
- north073
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1,3については、番組での発言や元の論文の文章などによらず、情報自体を書くわけであれば、著作物の利用とはならない可能性もあります。(たとえば、抄録などは元の論文の翻案に当たらない場合が多い)そうであれば、出所の明示が法的に義務づけられているわけではありません。 ただ、信頼性や読者の便宜の面から、出典を書いた方がよいとは思いますが。 2については、翻訳者も著作者となりますので、原著者と翻訳者両方の名前を明示する必要はあると思います。 法的には、原典まで書くことが義務づけられているわけではありません。 4について、これではそもそも元の著作物と引用した内容との異同も比べようがありませんね。著作権法ではそのような事例が「引用」に該当するとは想定されていないと思います。 5について、やむを得ず行う場合については、現在参照している著作物と、その著作物が引用している著作物の両者を利用することになりますから、両者について出所の明示が必要になると思います。(多くの場合は現在参照している著作物中に出所の明示が行われていると思いますが) 余計なことですが、引用については、引用先と引用元の間に、 1.主従関係 2.明瞭区分性 がなければなりません。 今回の御質問は、出所明示に関するものでしたが、この点にも十分ご配慮ください。
お礼
回答ありがとうございます。大変参考になりました。しっかり最後のアドバイスも守って、他人の著作権を侵害しないよう気をつけます!
1について。 著作権は著作物に対してのものですから、放送された内容が事実を述べただけのものであればそれは著作物ではないので出展は不要です。ただし出演者の誰かがこのように述べていたというような発言の引用や、番組中の画面、あるいは世論調査など著作物である場合は出展を明らかにして引用します。 3について。 注意すべきは引用するときには「改変しないで」引用しなければなりません。 ただ他の学術論文の内容について簡単に触れるという場合は、その出展を明らかにして自分の言葉で触れることはかまいません。厳密には引用とは異なるかもしれませんが、習慣的にそのようにしています。 4について 全く引用の引用そのものであれば、本来は元の引用された著作物、オリジナルを確認して直接引用するのが望ましいです。通常は引用の引用は行いません。 オリジナルが入手困難な場合は「****によると、だれそれの****という本で++++という記載がある」などと間接的に入手したことがわかるように書くとよいでしょう。 なお引用に当たっては極力正確に記述する必要があるし、出展は極力明らかにする必要がありますが、不明なものは記載のしようがないので、できる範囲となります。 では。
お礼
ありがとうございます。大変参考になりました!
1.必然的にそうなると思います。 2.翻訳本と原典の著作者は同一人物じゃないでしょうか。この認識が正しければ、原典への言及の必要性を考えることに意味はないように思います。 3.引用元を記載したくない理由が分かりません。自分の言葉に直そうとも、引用は引用です。 4.いいんです。一生懸命調べて分からなければ、分かった時点で(出版物の場合は次版で)訂正することになります。 5.引用元と、引用の引用元の両方を記述すべきではないかと思います。
お礼
ありがとうございます。3については、誰も掲載したくないとは言っていません(失礼ですが質問文にそのようなことは書いていません)。ただ、自分の言葉に直した場合は議論があったと思ったので質問した次第です。 以上を踏まえて少し補足ですが・・・ 1に関しては、それを言っていたら、どこまでが「著作」の範囲なのか分からなくなると思いまして。例えば「○○さんはこれこれこう述べた」とか、そういう情報をNHKで知ったとして、いちいちそれを記述しないといけないのか?とか。例えばよく本や新聞などで「○○氏はかつてこのような事を語っている」と書いてある事がありますが、「どこで」と書いてないものもありますよね?3に関してはアカデミックな「実験の結果」それ自体が著作でなく、あくまでそれについての著者の「言及」が著作ではないのでしょうか?引用とは、そっくりそのまま使う場合であると聞いたことがあるので、それを確認したいのです。別に(引用元を)書いてもいいのですが、そうするとかなり煩雑になるので。
お礼
回答ありがとうございます。私は表現は自分のオリジナリティーあふれた著作物を作りたいので、「事実・内容」を主に利用したいのです。回答は大変参考になりました。重ねてお礼申し上げます。