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民法過去問(譲渡担保権:19年第12問)について
所有権を留保した売買契約に基づき売主から動産の引渡しを受けた買主が、当該所有権の留保について善意無過失である第三者に対し当該動産につき譲渡担保権を設定して占有改定を行った場合には、当該売主は、当該第三者に対し、当該動産の所有権を対抗することができない。 上記記した肢は誤りだということなのですが、文章の理解ができず困っています。詳しい方からのアドバイスをいただけますと幸いです。よろしくお願いします。
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まず結論を言うと、「占有改定」だからでしょうね。 そう指摘されて、「なるほど」と思われるようなら、以下、不要です。 ----- 問題の「動産」の、最初の売主をA、最初の買主をB、Bから善意無過失で譲渡担保としての「占有改定」で占有を取得した第三者をC、としての確認ですが、 > 所有権を留保した売買契約に基づき売主から動産の引渡しを受けた買主 その買主Bが売主Aから買ったものはなんでしょうか?。「動産の所有権」ではないですよね、動産の所有権は売主Aに「留保」されているんですから。 私の考えでは、『所有権を留保した(動産の)売買契約』というのはありません。所有権を留保しているなら、売買契約は偽装・無効です。(その売買契約を質権設定契約と読み替えられなければ)お金を貸してもらって、「動産を預けただけ」です。 動産の売買契約が有効なら、「動産の所有権を留保している」というのは、売主Aの勘違いです。 私には理解できない設問です(苦笑)。 Bが動産の所有権を買ったのならもちろん、Aの動産を預かっているだけだとしても、Bは善意無過失のCに譲渡担保に供したわけです。 ちょっともどって「譲渡担保」とはなんぞやという話(典型例)からしますと、譲渡担保とは、債務の担保とするために、債務者が持つ物の所有権・その他の権利を、債権者に「移転すること」です。 当事者の意思としてはあくまでも「債務の担保」なので、債務を履行すれば「所有権は戻る」ことになりますが、とにかく「譲渡担保」であるかぎりは、譲渡した時点で所有権は移動します。 Cは善意無過失で占有を取得したということ(らしい)ので、Cは動産の所有権を即時取得したことになりそうですので、その結果所有者でなくなったAはCに対し所有権を対抗できないことになります、本来は。 ところが、実際は、Cは「占有改定」で占有を得たのですよね。つまり、その動産はまだBの手元にある、という理解で良いのですよね? ところが即時取得の要件として、「占有改定では、即時取得の要件としての『占有を取得した』ことにならない」という最高裁の判決があります。 つまり、Cは、即時取得の要件を満たしていないので、「即時取得していない」ことになります。 そこで問題になるのが、今の所有者はABどっちなのか、ということです。ホントは最初に問題にすべきなのですが。 AB間の売買契約が成立しているなら、Bが所有者になったので、AはCに所有権を対抗できません! Bが所有者なら、Bが設定した譲渡担保も有効でしょう。Bの譲渡担保が有効なら、所有者はCですから、AがCに対抗できないのは当然のことです。 AB間の売買契約が偽装・無効で、所有権がAに留保されているのなら、現時点でも所有者はAですので、Aは、即時取得に失敗したCに所有権を対抗できることになります。 ということで、この選択肢は「失題(解答が複数ある失敗作)」でしょう。 > 上記記した肢は誤りだということなのですが ということなので題意へ逆算すると、設問を作った人はおそらく、売買契約は偽装・無効で、動産の所有権はAに留保されているのだ、というツモリでこの選択肢を作ったのだろうと、思われます。 そうであれば、上記で説明した通り、Cは即時取得をしていないので、AはCに対して所有権を対抗できることになります。 ということで、選択肢の結論は「誤り」となります。
お礼
ありがとうございました。問題としてはよくないものなのですね。ただ現に過去問として出題されているから面倒だなあと思いました。また質問をさせていただきますのでよろしければご回答いただけますと幸いです。