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日本企業の米国での賠償や訴訟裁判について
- 日本企業の米国での賠償や訴訟裁判について
- 日本企業が米国で特許侵害やダンピング、価格カルテルからセクハラ等の訴訟で多額の賠償金を支払いを命じられたり敗訴している
- 日本企業バッシングではなく、米国社会・ビジネスでは当たり前・常態なのか、訴訟の理由&背景を教えてほしい
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ご指摘のようにアメリカは訴訟社会です。日本企業のバッシングはかつてはあったかも知れませんが、今は少なくとも日本だけと言うことは無いと思います。必ずしも法律違反や損害に対して一律公平化と言うと、敵対する企業を陥れたりとか、大金をむしり取ろうとか言うことを考える人たちは多いと思いますが、日本だけが特別に対象になっているわけではありません。 アメリカに住んだり仕事をしていないとわからないことをいくつか書きます。 ・集団訴訟が多い。私のところにもしょっちゅう集団訴訟に原告として参加するかどうかのお手紙が来ました。ある家電商品を私が買って、その家電商品か、その商品に含まれるある部品に欠陥があったような場合、消費者が原告団として集まって訴訟を起こすのですが、企業は顧客リストを提出しないといけないので、原告団はそこからユーザー登録をしている人に参加を呼びかけます。 ・同じく集団訴訟で原告団と和解に達したとき、今度はメーカー側からお手紙が来ます。原告団に同意して同等の補てんを受け入れるか、和解に参加せず、別に訴訟を起こす権利を担保するか。 ・企業や政府への請願・陳情(Petition)をするために、署名を集めるサイトがあります。このサイトでは例えばある製品に不具合があるので企業にクレームしたいと言うようなこともあり、メーカーはそう言うのの動きも見て、同一クレームの数が上がってコメントが過激化し始めたら、対処をしておかないといきなり集団訴訟を起こされる可能性があります。実はこのPetitionのサイトは弁護士も見ていて、もうけらると思ったら集団訴訟を呼びかけます。 ・アメリカ国内をレンタカーで旅行中に、もらい事故にあいました。こちらには落ち度もなく、人心も無く、車の被害は全部レンタカー会社が処理してくれるので、警察の調書に協力だけして、さよならしました。ところが、1か月くらいしてから突然、弁護士を名乗る男から自宅に電話があり、”もし訴えるんだったら、手伝う。もうけられると思う。”と言ってきました。断りましたが、前から聞いていた、何か事故があると弁護士が群がってくると言うのが本当だと言うのを体感しました。 ・会社でも法務担当(実際の弁護士資格を持った人たち)が力を持っています。商品を扱う企業では、集団訴訟を起こされる可能性を常に気にしているので、彼らのアドバイスが重要です。判断も、訴えられ案件かどうかだけではなく、裁判になったときに勝てるかどうか。 ユーザーからクレームがあった場合、迅速かつ丁寧に扱います(もちろん会社によって違いますが)。実はクレームには後で狂言とわかることもあります。トヨタ・プリウスで高速走行中ブレーキが利かなくなり泣きながら携帯で警察に電話してきた人が、あとで狂言と判断されました。ただそう言う疑わしいケースでも明確な証拠が無い限り最大限にお客さんのために対応します。そうしないと、社会的に問題になるリスクが高いし、万が一狂言でないことがあとでわかると、賠償金が跳ね上がります。これは、陪審員裁判であること(つまり、判決が心象に左右されやすい)にもよります。 有名な裁判でマクドナルド・コーヒー事件があります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E4%BA%8B%E4%BB%B6 簡単には、マクドナルドでコーヒーを買ったおばあさんがこぼしてやけどをして、裁判で3億円勝ち取ったと言う話ですが、経緯や金額は誤解があるのでURLを見てください。ただいずれにしてもコーヒーでやけどをしただけで、大変な損害額になっています。これはPL法的な解釈では注意を怠った企業への懲罰を含め、実際に訴えた被害者の被害に、それまでに顧客に迷惑をかけた分も累積で考慮すると言うルールによるもの。アメリカでも日本でもこの事件は、注意をしないといけない事例として有名です。 ただ、最近ではなんぼ何でも行き過ぎだろうと言うことと、裁判のための裁判を避けるためここまでの判決は出さないようになってきているようです。 他にも知的財産権の侵害などありとあらゆる裁判があり、私は幸いにして出廷まではしなかったのですが、同僚の多くが裁判に参加していました。アメリカでも経済の健全性のために、この訴訟社会は良くないと言う認識・議論があります。 日本企業が絡んだ大きな訴訟では、ブリヂストンの子会社のファイヤストンの訴訟がありました。ファイヤストンはアメリカ企業ですが、ブリヂストンが日本人の社長を派遣していました。裁判では一方的に負け巨額の賠償を払わなければいけなかったのですが、そうなった要因に日本人の社長が英語を正しく理解せず証言をしてしまったことや、日本人としての申し訳ないと言う姿勢が不利に働いたと言われています。アメリカでは、やたら謝らずに自分の主張をきちんと言うべきと言われています。おおむねその通りなのですが、もし正直さや顧客に対する誠意と思いやりにかけると思われたら不利になります。タカタのケースが良い例と思いますが、私から見て上院公聴会でのタカタの現地SVPは非常に気の毒な立場に追い込まれたと思います。日本の本社が十分な検証が必要で時間がかかると言っていることを勝手に変るわけにはいかない。しかしながら本社のコメントをそれだけ言っていたらアメリカのユーザーに対する誠意が無いと批判される。上院議員は当然人気取りのために企業(特に日本企業)を悪者にして、ユーザーの立場に立つ。 このケースの場合は、多少なりとも日本バッシングに意味合いはあるかも知れません。ただ公聴会の話で、実際の裁判はまた別。でも陪審員裁判となればバッシングされている側を悪人と思う傾向はあるでしょうね。
お礼
詳細かつ分かりやすく解説と考察をお教えいただき誠にありがとうございます。