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民法110条の権限外行為の表見代理について

民法110条の権限外行為の表見代理についての質問です。 この要件には、何らかの基本権限が存在しなければなりませんが、以下の場合はその基本権限になりうるのでしょうか。 (1)「Aから実印、印鑑証明書および甲土地の権利書の保管を依頼されていた」Bが、Aに無断で委任状を作成しCに売買する契約を結んだ。 (2)「Aから甲土地の管理を委任されていた」Bが、Aに無断で委任状を作成しCに売買する契約を結んだ。 ご回答よろしくお願いします。

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  • fujic-1990
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回答No.1

(1)ならないと思います。  表見代理というのは、「代理人だと見えるようす・状態」が外に現れて「外観」になった場合に、それを信じた者を救おうというものです。  結果的に被代理人本人の利益を否定することになりますので、外観を信じた者の利益との利益衡量が必要です。  どちらの利益を優先するかという振り分け基準として、質問者さんの言われる「基本権限が必要だ」と裁判所が言うのは、言い換えると「単なる過失じゃダメだ」と裁判所が言うのは、被代理人にむかって「なんらかの権限を与えて、第三者が代理人だと信じるに足る外観を(一部であっても)作り出した・世間に広めたのはオマエ自身じゃないか」と言えるだけのものが備わっていて、初めて表見代理が成立するのだ、という意味です。  (1)の事情は、Bは預かった実印などを金庫にでもしまっておけばいいというか、しまって置くべきことで、Aはなんら代理人としての外観づくり(第三者が代理人だと誤解する状態を世間に広めること)に寄与していません。  単に実印などなどを持っていたというだけで表見代理が成立するとしたら、同様な物を盗んできたCにだって、表見代理が成立してしまいます。「被代理人になんらかの過失があれば基本的権限など不要だ」ということになってしまいます。  それでは、表見代理に「基本的権限」を要求する判例の趣旨とは異なりますし、実際、相手方と本人の利益衡量面でもバランスを欠くことになりますので、この事例は「基本権限」には当たらず、表見代理は成立しないものと考えます。 (2)基本権限に該当し、表見代理は成立すると考えます。  BはAから土地の管理を委任され、Aの代理人として管理していたのですから、代理権限を持っていることは疑いありません。  しかも、前問のように、こっそりと保管しておけば誰にもわからないという性質の行為を委任されたのとは異なり、第三者とかかわる、管理という行為をBは委任されているのです。Aはそういう行為を委任したのです。  第三者が、「Bは売却もできる」と考えてもなんら不思議でない状態をAは自ら作り出して世間に広めていると言えますので、本件は表見代理に問題とされる「基本権限がある」と考えて差し支えないと思われます。  最高裁は、基本権限はBがやった表見代理行為と無関係でも成立すると言っていますが、本件では不動産の管理権限を与えていますので、関係があります。したがって、判例上も問題なかろうと思います。

manafy0323
質問者

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