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2次体の整数環での既約剰余類群の有無
- 2次体の整数環での既約剰余類群は存在するかどうかについて調査しました。
- 既約剰余類群は、2次体の整数環Z[ω]においても存在するのか疑問があります。
- 一意分解環(UFD)では最大公約数があるため、既約剰余類群の対応物がある可能性があります。
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ANo.1 へのお礼について ************* 「Mというのは、2次体の整数環の元Mで生成される単項イデアル(M)ということでしょうか」 ************* 単項イデアルとは限りません。 ************* 「整数環の元α-βを(単項イデアルでない一般の)イデアルで割るという概念はあるのでしょうか」 ************* あります。 (イデアルの積) A と B を代数体の整数環Oのイデアルとするとき、 A の元と B の元の積、及びそのような積の和で表される数全体の集合は、またイデアルになります。このイデアルを、A と B の「積」と呼び、AB と表します。イデアルの積について、交換法則と結合法則が成立します。 (割り切れる) A = BC となるイデアルC が存在するとき、「 B は A で割り切れる」とか「A は B の因子である」とか言ったりします。とくに B が単項イデアル (β) であるとき、「 β は A で割り切れる」とか「A は β の因子である」とか言ったりします。 (素イデアル、素因子) 代数的整数環Oの任意のイデアルについて、自分自身と O は必ず因子になります。自分自身と O 以外に因子を持たないイデアルを「素イデアル」といいます。 (抽象代数学では一般の可換環において、「ab∈A ⇒a∈A or b∈A」が成立するイデアル A のことを「素イデアル」と定義するが、代数的整数環においては、この定義は上の定義と同値になる。) イデアル A の因子であるような素イデアルのことを、A の「素因子」と言います。 (一意的素因子分解) 次の定理は、整数論において基本的です。 定理 代数的整数環のイデアルは、素因子の積として一意的に表すことができる。 ************* 「イデアルが単項イデアルのときに限って既約剰余類群が定義されるのでしょうか」 ************* そんなことはありません。 O 以外の任意のイデアルに対して定義できます。 ************* (参考)イデアルについて ************* 今日、代数学においてイデアルは抽象的に定義されますが、その発端は整数論にあります。代数的整数環は、一般に UFD と限りません。そこでは、整数αが α=βγ、α=δε (β、γ、δ、εは単数以外に約数を持たない整数)と 2 通りに因数分解されたりします。 19世紀の数学者 Kummer は、この因数分解が完全でないと考え、理想数の存在を仮定し、α = ABCD (A, B, C, D は理想数)と一意的に分解されるはずだと考えました(β=AB、γ=CD、δ=AC、ε=BD)。原子が素粒子で構成されると考えるのと似ていますね。 その後、Dedekind により、この理想数が今日のイデアルで実現できることが示されました。これが上の定理です。「イデアル」の命名は、Dedekind によるもので、Kummer が考えた理想数(Ideal Number)に由来するものです。
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- ramayana
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2次体整数環でも、有理整数環と同じように既約剰余類群を定義できます。サイトは知りませんが、高木貞治「初等整数論講義」に説明があります。 M を2次体の整イデアルとし、αとβを 2 次体の整数とします。α-βが M で割り切れるとき同じ類に属することにして、剰余類を定義できます。とくに、M と共通因子を持たない αによって代表される剰余類を、「既約類」と言います。 αβが属する剰余類を、αが属する剰余類とβが属する剰余類の積と定義することができます。これは、同じ剰余類に属する別のα'、β' を持ってきてもα'β'が属する剰余類が変わらないことで確かめることができます。この定義により剰余類の積に関して結合法則が成立することが明らかです。また、既約類同士の積が既約類になることも明らかです。また、既約類に逆元が存在することが、後述の定理3から分かります。よって、既約類全体が群になります。 上記の文献に載っている定理をいくつか紹介します。 定理1(剰余類の個数) 剰余類の個数=N(M) である。ただし、N(M) は、M のノルム。 定理2(オイラーφ関数の拡張) 既約類の個数をΦ(M) とすると、 Φ(M) = N(M)Π(1 – 1/(N(p)) (Πは、M のすべての素因子 p に亘る積を表す) 定理3(フェルマーの定理の拡張) αと M が共通因子を持たないとき、α^Φ(M) - 1 は、 M で割り切れる
お礼
まことにありがとうございます。 〉M を2次体の整イデアルとし、・・・・・・・。α-βが M で割り切れるとき Mというのは、2次体の整数環の元Mで生成される単項イデアル(M)ということでしょうか。 整数環の元α-βを(単項イデアルでない一般の)イデアルで割るという概念はあるのでしょうか。 イデアルが単項イデアルのときに限って既約剰余類群が定義されるのでしょうか。 高木貞治「初等整数論講義」はいま手元にありませんが、今度調べてみたく思います。ありがとうございました。
お礼
よくわかりました。 誠にありがとうございます。