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履行不能による損害賠償請求
- 履行不能による損害賠償請求の条件として、履行期に給付することの不能が確実になった場合においても、給付の目的物が履行不能になった時点で損害賠償請求が可能となります。損害賠償額は、履行期ではなく、履行不能発生時点を基準に算定されます。
- 履行不能を理由とする解除においては、履行期前に生じた場合と履行期後に生じた場合で算定基準が異なります。履行期前の履行不能については、填補賠償であるため、履行不能発生時点を基準とするべきです。一方、履行期後に生じた場合は、履行期の時価を基準とします。ただし、解除をした場合は、契約自体が無効になるため、履行期の概念は存在しません。履行不能解除の場合においても、履行期前に生じた場合は履行期の時価が基準とされる理由については明確にされていません。
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質問者が選んだベストアンサー
>現場の人は、どうやって仕事をしているのでしょう? 何か専門家の人だけが扱う実務マニュアルのようなものがあるのでしょうか? 多くの事件は、事実関係が問題であって、理論的な問題点は少ないです。 理論的な問題点については、まずは判例を調査します。いまは、インターネットで判例検索できて便利です。有名なところでは、TKCや第一法規の判例検索があります(もちろん有料です)。 専門書の購入も欠かせません。事務所によって、どれだけ専門書籍を購入するかは異なるでしょうが、毎月かなりの金額をかけています。 実際の事件では、依頼者の立場になって、論理を立て、要件事実を検討します。そして訴状などを作っていくと、理論面でも自分なりの考え方の筋道が見えてきます。 もし、事件を深く検討しても自分なりの筋道がみえないのであれば、依頼者に説明して辞任することもあり得るでしょう。あるいは、個人事務所であれば他の先生と共同受任するとか、複数の先生がいる事務所ならば複数で事件を検討するとかします。 まずは一生懸命勉強して、事案の問題点がどこになるのか、結論の妥当性はあるのかのリーガルマインドを養成することです。リーガルマインド養成のためには、暗記しなければならないことは暗記する、考えるべきことは原理原則に基づいて考えることです。
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- tk-kubota
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履行不能か否かは契約がなければ、この問題は起こらないです。 そこで、契約の解除が必要です。 そうしないと、契約は維持されてままです。 履行不能ならば民法543条によって一方的に解除できます。 解除が確定すれば、その日から損害賠償請求できます。 解除の効力は、将来に向かって履行は免れるからです。 このことから、当初の履行日が何時であろうとも、解除の確定の日から損害賠償請求でき、その額は同法416条によります。 尤も、解除が確定すれば、双方で現状回復義務はありますが。
お礼
>このことから、当初の履行日が何時であろうとも、解除の確定の日から損害賠償請求でき、その額は同法416条によります。 理論的に説明して頂いて、ありがとうございました。 大変勉強になりました。 ご回答ありがとうございました!
- kgei
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>この場合は、例えば、4月1日が履行期である契約において、給付の目的物が3月1日に履行不能になったとしたら、3月1日の時点で履行不能による損害賠償請求が可能になるのでしょうか? そして、損害賠償額は、履行期である4月1日の時点でなく、3月1日を基準に416条によって算定されると考えてよいでしょうか? 期限の利益が4月1日までありますから、4月1日から損害賠償請求権の権利が行使できることになります。その理由は、損害賠償請求けは、本来の請求権が転化したものだからです。 >履行不能解除の場合、不能が履行期前に生じたときは、履行期の時価を基準にするというのはどのような考えによるものなのでしょうか? 判例は、損害賠償の基準時を統一しているわけではありません。 先き書いた「損害賠償請求けは、本来の請求権が転化したもの」という理論を前提にすると、履行不能がなければ履行されたはずである本来の給付の履行期における経済的利益を損害賠償させるべき、ということになります。 本来の給付請求権は、履行期における履行によって債権者に経済的利益をもたらすから、損害賠償請求権も履行期を基準とすべき、と考えるわけです。 もっとも、別の考え方も可能です。「損害賠償請求けは、本来の請求権が転化したもの」の「転化」に重点を置けば、履行不能の時点で金銭債権に転化するのだから、履行不能時を基準時にすべきだ、という考え方も成り立ちます。 ただし、この場合は、なぜ本来の履行期を考慮しないのかの説明と実質的公平が必要になります。 質問者さんが法学部・ロースクールであれば、上記をヒントに自分なりに理屈を考えて自説を立てることです。 資格試験の勉強であれば、判例の概観を暗記することです。判例は基準時について、必ずしも統一されているとは言い難いと思います。
お礼
ご回答ありがとうございました。 >質問者さんが法学部・ロースクールであれば、上記をヒントに自分なりに理屈を考えて自説を立てることです。 はい!ご指摘頂いた点をもとにして、考えてみたいと思います。 ただ、この件に限らず悩みがありまして、試験であれば、制度趣旨等を根拠として一応の結論を導ければ良いのだと思うのですが、実際に現場ではどのように動いているのだろう?と疑問に思うことが多々あります。 ある問題について、所轄官庁の見解や判例の見解が必ずしも明確ではない場合に、現場で法律を扱っている人は、どのように仕事をしているのでしょうか? 自分勝手に法規を解釈して済む問題ではないと思いますし、かといって、個別事案にあたる度に類似判例を探して、その射程を検討するということも、判例の見落としがあったり、判例の意味を間違えたりということを考えると、ミスが起こるような気がして怖くてなりません。。 現場の人は、どうやって仕事をしているのでしょう? 何か専門家の人だけが扱う実務マニュアルのようなものがあるのでしょうか?
お礼
ご丁寧に説明して頂いて、ありがとうございました。 本当に勉強になります。 仕事でやっていけるか不安だったので、現役の先生からのアドバイスを頂けて、感謝しています。 しっかり勉強したいと思います。 ご回答ありがとうございました。