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為替予約と直物レートによる損益の求め方
- 為替予約と直物レートによる損益の求め方を解説します。
- 為替予約を行った場合、為替先物予約による損益と物による損益を合わせたネットの損益を求めることができます。
- 直物レートとは、現在の為替レートのことであり、3ヶ月後の直物レートが90円となる場合、ドルを90円で買うことができます。
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こんにちは。またまた頑張っておられますね。 >とにかくこの流れの関係がわかりません。恐れ入りますが、詳細な解説をお願いいたします。// 先ず、基本的な認識として必要なことは、 ・記帳はすべて円で行ないます。したがってレートが変更するとたとえ外貨のまま保有していたとしても為替差損益が発生します。 ・現物の売買と先物取引とは分けて考えましょう。それぞれで取引開始と決済を考えます。 その上で、本問の取引を記帳し、為替による損益を見てみましょう。 ご質問への回答は後にいたします。尚、単位は10,000円とします。 先ずは現物の売買を見ていきましょう。 販売日(1ドル=95円): 売掛金 9,500/売上 9,500 3か月後の決済日にはレートが1ドル90円(本問にある「3ヶ月後の直物レート」)となってしまいますので、計上した売掛金は邦貨では全額回収することができません。為替差損が発生してしまうのです。決済時には、 現金預金 9,000/売掛金 9,500 為替差損 500/ となる訳です。この為替差損500が本問で言う「物による損益」です。 こうした為替による回収額の変動をできるだけ回避するために用いられるのが為替予約です。将来売る外貨の価格を現時点で決めておき、決済時になってから、約定した売ることになっている外貨を調達するのです。この取引を売建てといいます(逆パターンである円売りドル買いの買建てももちろん存在します)。 本問では、 >1ドル=92円の為替先物予約(ドル売り、円買い)を締結する。// とありますので、将来(現物売買の決済時である3か月後)に100万ドルを@92円で売る約定です。買値(調達価格)は、本問ではすでに@90円と分かっていますが実際には、決済時にならないと分かりません。 約定時: この時には記帳しません 決済時: 為替予約の取引相手へ販売するドルの調達と実際に取引相手への販売を記帳する 売るべきドルの調達;(調達価格 1ドル=90円) 外貨$100万 9,000/現金預金 9,000 便宜上、「外貨$100万」という為替予約決済用のパッケージを購入したと考え, 勘定科目もそのように記載しておきます。決済時に調達したので適用されるレートは本問で言う、「3ヶ月後の直物レート」です。 取引相手への販売;(販売価格 1ドル=92円) 現金預金 9,200/外貨$100万 9,000 /為替差益 200 「外貨$100万」という為替予約決済用のパッケージは為替予約締結時に約定したとおり1ドル=92円で販売することになりますので、高く売れたことになり200円の為替差益を計上することが出来ます。 実際には為替予約は差額決済と考え、調達の記帳と販売の記帳を一緒にして、 外貨$100万 9,000/現金預金 9,000 現金預金 9,200/外貨$100万 9,000 /為替差益 200 相殺して 現金預金 200/為替差益 200 としてしまいます。これが、本問で言う「為替先物予約による損益」になります。すると求めるべき、「ネットの損益」は、 -500(現物売買による為替差損)+200(為替予約による為替差益)=-300 となり300の損ということになりました。 もし為替予約をしていなければ500の損ですから、全額とは言えなくとも多少は為替変動による損失を回避することが出来た訳です。 ここまで、説明したうえで、ご質問に沿って回答します。 >(1)直物レート1ドル=95円でドルを購入しているのでしょうか?// 違います。為替予約決済用のドルを買うのは3か月後です。このレートが必要なのは、売上計上と売掛金の計上のためです。ドルで売っても円で記帳します。 ところで、次のご質問、 >決裁時には、100万ドル受け取るのに、ドルを購入するのはなぜですか?// これは(2)の質問ということですよね。つまり、本来は、 >(2)決裁時には、100万ドル受け取るのに、ドルを購入するのはなぜですか? 解説には、「1ドル92円で売る約束をしたがD社はドルを保有していない」とありますが、決済で100万ドル入ってくるので、ドルは保有ということになりませんか?// というご質問であると認識します。 さて、回答ですが、解説にある「D社はドルを保有していない」とは現物売買の部分と為替予約の部分を分けて考えているからだと思います。企業内では現物売買の入金と為替予約処理の出入金を扱う部署が違うことが想像されますし。 ただ、現物売買と為替予約取引を一連の取引と考えると、ご質問のとおりに、現物決済のドルがあるから購入の必要はないとお考えになるのももっともなことだと思います。 今まで解説してきた現物売買と為替予約取引の記帳を全部並べてみると、 売掛金 9,500/売上 9,500 現金預金 9,000/売掛金 9,500 為替差損 500/ 外貨$100万 9,000/現金預金 9,000 現金預金 9,200/外貨$100万 9,000 /為替差益 200 となりますが、この2段目の借方にある、「現金預金 9,000」は実は外貨です。「外貨$100万」という為替予約決済用のパッケージとまさに同じく100万ドルです。ならばこの「現金預金 9,000」を「外貨$100万 9,000」と置きかえれば、上記記帳の4段目の取引、つまり、 外貨$100万 9,000/現金預金 9,000 という、「外貨$100万」という為替予約決済用のパッケージ購入の取引は不要になります。そう、わざわざ改めて100万ドルを購入しなくても手元にあるのです。つまり上記一連の記帳は、 売掛金 9,500/売上 9,500 外貨$100万 9,000/売掛金 9,500 為替差損 500/ 現金預金 9,200/外貨$100万 9,000 /為替差益 200 と考えることができます。 ただ、現物売買の取引と為替予約の取引を分けて考えることと、為替予約の決済は主として差額決済で記帳することを考えると、解説のような考え方になってしまうのかもしれません。実際、分けて考える方が理解しやすいと思います。 尚、参考までに付け加えておくと、本問と解くにあたり取引の記帳法の1つである「独立処理」と言う方法を用いて記帳しましたが、もう1つの方法である「振当処理」を用いた場合には、為替先物予約による損益と物による損益のそれぞれの金額が独立処理の場合とは変わることになります。ただ、ネットの損益は同額なので、気にする必要はありません。
お礼
またまたMajor123さん、お世話になりました。 たくさん解説いただきありがとうございます。 プリントして読み直して理解したいと思います。Major123さんは、こういった方面がご専門なのでしょうね。 なんとも羨ましい限りです。 本当見ず知らずの私にいつもご丁寧に教えてくださり、感謝しています。 次に進むことができます!