確率における「場合の数」の考え方について
確率・統計のことをざっと知りたいと思って、石村園子氏の「すぐわかる確率・統計」を読み始めたのですが、この本では大昔高校で苦しんだ順列・組み合わせの解説が少ししかありません。しかもその演習問題があまりにも簡単なものばかりなので、少し心配になって高校数学の参考書に戻ることにしました(笑)。
高校数学の参考書には、1つの試行において事象 A の起こる確率を P(A) を
事象 A の起こり得る場合の数 事象 A の根元事象の個数
P(A) = ーーーーーーーーーーーーーーー = ーーーーーーーーーーーーーー
起こり得るすべての場合の数 全事象の根元事象の個数
で定義しています。私のように数学が苦手な者にとって、この定義にある「場合の数」とういう概念は、問題文の前後の文脈によってはとてもわかりにくい概念です。
とりあえず高校の参考書に載っていた基本問題を一通りやって、頭の中を整理するためにまとめたのが以下の記述です。おかしなところを添削していただけたら幸いです。
箱の中に赤玉が 3 個、白玉が 2 個、青玉が 1 個入っている。その赤玉 3 個、白玉 2 個、青玉 1 個を
R1, R2, R3, W1, W2, B
で表す。
【試行I】
箱から
玉を 1 個取り出しては元に戻すという操作を 5 回繰り返す試行
において、
赤玉が 3 回、白玉が 2 回取り出される事象 A
の確率を求める。
全事象は 6 個の玉から 1 個取り出しては元に戻す操作を 5 回繰り返すことだから、すべての場合の数(全事象の根元事象の個数)は
6*6*6*6*6 = 7776
赤玉を●、白玉を○で表したときの事象 A のパターンは
● ● ● ○ ○
であるから、「事象 A のパターン」の場合の数は
5C2 = 10.
つまり事象 A は 10 通りに分類でき、1 つの「事象 A」の場合の数は
3*3*3*2*2 = 108.
これが 10 通りあるのだから、事象 A の場合の数(事象 A の根元事象の個数)は全部で
10*108 = 1080.
求める確率は
1080/7776 = 5/36
確率では「区別のつかないものでも区別して考える」という格言が頭にこびりついて離れなかったので
・「事象 A のパターン」の場合の数を求めるときは赤玉同士、白玉同士を区別しない
のはなぜなのか悩みました(笑)。こういうところは、皆さんあまり苦労しないのでしょうか?
全事象の根元事象の例を挙げると
{ R1, R1, R1, R1, R1 }, { R1, R1, R1, R2, R3 }
{ R1, R2, R3, B, B }, { R1, R1, R1, B, B }
{ W1, W2, B, W2, W2 }, { W1, W1, B, W1, W1 } ………etc
事象 A の根元事象は
{ R1, R2, R3, W1, W2 }, { R1, R1, R1, W2, W2 }
{ W1, R1, R2, W2, R3 }, { W2, R2, R2, W2, R2 } ………etc
【試行II】
箱から
玉を 1 個ずつ取り出すという操作を 5 回繰り返す(ただし取り出した玉は戻さない)
試行において
赤玉が 3 回、白玉が 2 回取り出される事象 B
の確率を求める。
全事象は 6 個の玉から 1 個取り出す操作を 5 回繰り返すことだから、すべての場合の数(全事象の根元事象の個数)は
6*5*4*3*2 = 720
赤玉を●、白玉を○で表したときの事象 B のパターンは
● ● ● ○ ○
であるから、「事象 B のパターン」の場合の数は
5C2 = 10. (ここまでは試行Iと同じ)
事象 B は 10 通りに分類でき、1 つの「事象 B」の場合の数は
3*2*1*2*1 = 12
これが 10 通りあるのだから、事象 B の場合の数(事象 B の根元事象の個数)は全部で
10*12 = 120.
求める確率は
120/720 = 1/6
全事象の根元事象の例を挙げると
{ R1, R2, R3, W1, B }, { B, R2, R1, R3, W1 }
{ W1, W2, R1, R2, B }, { R2, R1, B, W1, W2 } ………etc
事象 B の根元事象は
{ R1, R2, R3, W1, W2 }, { R1, W2, R2, W1, R3 } ………etc
【試行III】
箱から
同時に玉を 5 個取り出す
という試行において
赤玉が 3 個、白玉が 2 個取り出される事象 C の確率を求める。
赤玉が 3 個、白玉が 2 個取り出される事象を C とする。
全事象は 6 個の玉から 5 個取り出すことだから、取り出し方の場合の数は
6C5 = 6
赤玉を●、白玉を○で表したときの事象 C のパターンは、
● ● ● ○ ○
だけである。つまり、赤玉 3 個から 3 個取り出し、白玉 2 個から残りの 2 個取り出すのだから
3C3*2C2 = 1.
よって求める確率は
1/6
全事象の根元事象は
{ R1, R2, R3, W1, W2 }, { R1, R2, R3, W1, B }, { R1, R2, R3, W2, B }
{ R1, R2, W1, W2, B }, { R2, R3, W1, W2, B }, { R1, R3, W1, W2, B }
事象 C の根元事象は
{ R1, R2, R3, W1, W2 }
補足
ありがとうございます。 例1の問題は、一応解答はあっています。 テキストにのっている解答は P(A⋀B)=P(A)×P A(B) の公式を使って解いた解答なのですが これと解答が同じなので この問題は「1回目に当たりを引いた場合に2回目も当たりを引く確率」を問う問題なのだと思います。 例2も条件付き確率について解説するページの問題なので 「「1回目に赤球を引いた場合に2回目も赤球である確率」を問う問題だと思います。