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民法の問題について解説します
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- Aが見つけた古い壺の売買契約についての意思表示論と同期の錯誤について説明します
- 同期の錯誤に関する学説とBの錯誤の主張について考察します
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問1 Aの行為について言えば 動機が 「壺は江戸時代の有名な陶芸家の作品だから時価100万円の価値があるだろう」と考えること 効果意思が「この壺を100万円で売ろう」と考えること 表示意思が「この壺を(100万円で)買わないか」とBに持ちかけようと考えること 表示行為が、実際にBに売却を持ちかける行為 Bの行為について言えば 動機が 「壺が江戸時代の有名な陶芸家の作品なら時価100万円の価値はあるだろう」と考えること 効果意思が「この壺を100万円で買おう」と考えること 表示意思が(Aの申し出に対して)「100万円でなら買おう」と応えようと考えること 表示行為が(Aの申し出に対して)実際に、100万円で購入すると応える行為 ABの表示行為の合致で売買契約が締結されたと考えることができます。 問2 動機の錯誤についての判例は、大判大正3年12月15日(民録20.1101)があります。 判例においては、動機の錯誤は原則として要素の錯誤になりません(民法95条が適用されない)。 しかし、動機が(明示又は黙示に)表示されて意思表示の内容となった場合には、法律行為の要素として民法95条の適用があるとされています。 本事例においては、AB間の売買において、AがBに壺が江戸時代の有名な陶芸家の作品で時価100万円の価値があるとの事情を話しており、この動機が明示されていたと考えられます。よって、民法95条の適用があり錯誤無効となり得ると思われます。 問3 動機の錯誤については、判例と同様に考える学説も存在します。つまり民法95条は原則として動機の錯誤を保護しないが、動機が表示されれば保護されうるとする立場があります。 また、さらに徹底して動機の錯誤は一切民法95条で保護されないとする立場もあります。これらの立場では民法95条で保護されない場合には、他の諸制度(条件・保証・契約責任・瑕疵担保等)で保護すべきと考えるようです。 これに対して動機の表示を要しないとする学説もあります。 まず、表意者が錯誤に陥っていることについて相手方の認識可能性を要求する立場があります。これは相手方が錯誤について認識しているか、認識できた場合には、保護すべき相手方の信頼が存在しないので法律行為を無効としてもよいとする考え方です。ただし、この考え方だと相手方も同様の錯誤に陥っていた場合(いわゆる共通錯誤)に錯誤無効とすることができません。 そこで、表意者の錯誤内容が、表意者にとって重要であることを相手方が認識しえた場合には(たとえ錯誤であると認識しなくとも)、相手方の信頼は保護されず、錯誤無効としてもよいとする考え方が出てきます。 この場合には共通錯誤の場合でも、その錯誤が重要事項であることを認識しうる限り無効とすることができます。 どの立場をとるかは自由だと思いますが、 判例を支持するのであれば、動機の錯誤と表示の錯誤の違いを強調することになります (動機の錯誤は事実認識の誤りのリスク処理、表示の錯誤は意思表示の外形についての責任問題) そのうえで、表示を要求することで表意者保護と取引の安全の調和が図れることを指摘します。 学説を支持するのであれば、 動機の錯誤と、その他の錯誤の区別は困難(主観的・心理的なものだから) 他の錯誤も取引の安全を害する点で違いはなく、動機の錯誤だけ表示を要求するのは不当などを指摘すべきです。
お礼
ありがとうございます 参考にさせていただきます