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管理会計の原価差異の会計処理について
- 管理会計の原価差異の会計処理についての解説です。
- 原価差異の会計処理では、関係勘定の期末残高が実際の取得原価と一致するように行います。
- 売上原価と期末棚卸資産に追加配賦を行う理由について、比較的多額の場合に追加配賦を行うという基準があるためです。
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回答の前に、原価計算基準上の原価差異の処理方法について確認しておきます。 原価計算基準では、原価差異の原則的な処理について 「原価差異は,材料受入価格差異を除き,原則として当年度の売上原価に賦課する。」 とされています。 したがって、原則と例外(正常かつ比較的多額の場合)の処理の違いは 「期末棚卸資産に配賦されるか否か」この点にあるといえます。 -------------------------------------------------------------------------------- 「原価差異調整後の関係勘定の期末残高が、実際の取得原価をもって計算した実際原価に 一致するように」という指示があった場合に、なぜ例外法(正常かつ比較的多額)と同じ方法で 原価差異の処理を行うのか、というところが第一の問題だと思いますが これは「原価差異が比較的多額だったから『例外法』を採用した」のではなく 「実際の取得原価をもって計算した実際原価に一致するように計算するためには、『例外法と同じ計算方法』で 計算する必要があった」というだけだと思います。 原価計算基準上、「比較的多額」という条件がなければ例外法を採ることはできませんから この問題では、問題文の条件からたまたま「例外法と同じ計算方法」で計算することになっただけでしょう。 次に、なぜ「例外法と同じ計算方法」で計算すると、実際の取得原価による実際原価に一致するのか これが問題となりますが、何か簡単な例で考えてみるといいかと思います。 期首仕掛品なし、当期着手300個、当期完成・売上済200個、期末仕掛品100個 当期直接労働時間250h(当期完成品に対して200h、期末仕掛品に対して50h) 予定賃率100円/h、実際賃率120円/h こういうケースで、当期の賃率差異を例にしてみます。 当期発生した賃率差異は250h×(100-120)=5,000(不利差異)です。 原価差異の原則的な処理方法は、原価計算基準上「(材料受入価格差異を除き)当年度の売上原価に賦課」なので 原則法によれば、この5,000(不利差異)全額が売上原価に賦課されます。 一方、例外法(と同じ方法)によって計算した場合、5,000(不利差異)は 売上原価と期末仕掛品に追加配賦することになるわけですよね。 では、売上原価と期末仕掛品に、それぞれどれだけ追加配賦されるかを考えてみると 当期完成・売上品には200時間、期末仕掛品には50時間の直接労働時間を投入していますので これと同じ割合で追加配賦が行われます。 5,000×200h/250h=4,000の不利差異が当期完成・売上品に 5,000×50h/250h=1,000の不利差異が期末仕掛品に追加配賦されますが 例えば期末仕掛品に占めるトータルの直接労務費はいくらかを考えてみると 予定賃率による計算で100×50h=5,000、追加配賦によって1,000が上乗せされるので合計で6,000となりますが これって結局、初めから実際賃率で120×50hと計算するのと同じですよね。 ということは、例外法(と同じ方法)で計算すれば、この問題でいうところの「原価差異調整後の関係勘定の期末残高が 実際の取得原価をもって計算した実際原価に一致するように行うものとする」という条件を満たした計算ができます。 ちなみに、なぜ同じになるかといえば、予定賃率による配賦は当期完成・売上品と期末仕掛品に対して行われますが 追加配賦分も全く同じ割合で配賦されるためです。 原則法の場合、売上原価に全額配賦されるので、同じ割合ではありません。
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- minosennin
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『・・原価差異の会計処理については、原価差異調整後の関係勘定の期末残高が、実際の取得原価をもって計算した実際原価に一致するように行うものとする・・』 上記文章中の『実際の取得原価をもって計算した実際原価に一致』ということは、原価差異が当期売上原価と期末棚卸資産に適切に配賦されることを意味しているのではないでしょうか。 とくに、『実際原価に一致』というくだりは、原価差額の調整抜きには考えられないと思います。 なお、原価計算基準の『異常な状態に基づくと認められるもの』については、設問中にその旨の記述がない限り考慮する必要はないと思います。
お礼
なるほど、確かに『実際原価に一致』ということは、原価差額の調整をせよということですよね。 有難うございました。 ご返事が遅くなり、申し訳ありませんでした。
お礼
お返事が遅くなってしまいました。ごめんなさい。 回答ですが、大変詳しい内容で、疑問が晴れました。 「実際原価に一致するように」という指示を守る為には、どんな計算が必要かと考えるべきでした。 基準の例外法を使えばできる、と。例外法の計算の仕組みを、よく理解していなければ、発想ができないですね。 この問題は、重要性 A、正答可能性も高いと予想されていたのですが、これが基本とは、ハイレベルに感じてしまいます。なんとなく、例外法を使っても、正解は正解なんですが・・・。 有難うございました。