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統計の分析方法について
- 統計の分析方法にはどのようなものがあるのかについて調査し、質問紙を実施する際に適切な方法を選びたい。
- 状態不安尺度の実施と不安喚起条件・安心喚起条件の実験を行い、変化する状態不安を分析したい。
- さらに、不安喚起・安心喚起によって状態不安が変動する人・しない人を個人特定するために、MPI質問紙も実施したいが、どの分析方法が適しているか知りたい。
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質問者が選んだベストアンサー
臨床心理士で、元・大学教員です。 事前に分析方法まで検討して実験を行うというのは、当然のことなのですが、得てしてそこまで考えずにやってしまうことが多いようで、このサイトでも、後になって、「どういう統計を使えば良いか」という質問が多々見られます。 その意味では、質問者様は、きちんとお考えですね。 授業で行うということは、心理学の「初級実験」クラスの授業なのでしょうね。 基本的な実験デザインは、問題はないと思われます。 ただし、事前の状態不安尺度で2つのグループに分けるところでは、2群のメンバーを均一化しておくことが必要となります。 普通は、ランダムに2群に割り当てるでしょうが、その際、状態不安尺度の得点(平均点と、標準偏差などデータの分散)に違いがないことを確認しておいてください。 状態不安尺度の差を検定するには、おっしゃるように2要因II水準の分散分析で良いと思います。 ただし、状態不安尺度測定時期(前・後)の要因は、同一被験者ですので、「被験者内要因」であるのに対して、出来事(不安・安心)の要因は、被験者を2群に分けていますので、「被験者間要因」になります。 統計分析には、おそらくSPSSなどの統計パッケージソフトを使うと思いますが、具体的な検定方法を選択するときに間違いのないようにしてください。 MPIは、モーズレイの性格検査のことかと思います。 MPIでは、「 外向性 (extraversion)- 内向性 (introversion)」と、「神経症的傾向 (neuroticism)」との2つの特性が測定できます。 一つは、これら2つの特性に相違が出る可能性があるとお考え、あるいは、そういう文献がすでにあるということかを再度ご確認ください。 また、MPIは良い検査だと思いますが、いささか標準化が古いのが気になります。 その意味では、もっと新しく、きちんと標準化された検査を使った方が良いような気がします。 三点目には、MPIは、採点が煩雑ですが、その点は大丈夫でしょうか。 MPIを用いるにしろ、他の心理検査に変えるにしろ、被験者の状態不安尺度の得点が変動した群と、変動しなかった群に分けて、それらの群の間で検定をする必要があります。 ただし変動とはいっても、得点が上昇した群と、下降した群とを考える必要があるでしょうから、仮にこのように群分けするとして、3群間の得点の差異を調べることになりますので、基本的には、1要因3水準の分散分析をつかうことになります。 「被験者の状態不安尺度の得点が変動した群と、変動しなかった群に分け」るときに、どのような方法あるいは、基準を用いるかについても、あらかじめ考えておかれる方が良いでしょう。 平均値と標準偏差を用い、3つの群に含まれる対象者の人数も極端にアンバランスにならないようにした方が良いでしょう。 たとえば、(1)平均±1/2標準偏差内の得点者、(2)平均+1/2標準偏差以上の得点者、(3)平均-1/2標準偏差以下の得点者などの3つの群に分けるという方法が考えられます。 それから、実験があまり煩雑になってはいけませんが、状態不安とともによく検討される特性に「特性不安」があります。 特性不安は、ご存じかと思いますが、「元々不安が高まりやすい傾向があるかどうかをいう概念です。場合によっては、この特性不安も測定しておくと良いかも知れません。 ただし、あまり煩雑になるようでしたら、また、今回の実験目的から外れるようでしたら、その必要はありません。 統計学は、数字がたくさん出てきますし、計算式、公式も多いですから、文化系で受験してきた方には、苦手意識を持たれることが多いと思います(私もそうでした)。 しかし、計算そのものは、パソコン&統計パッケージソフトが代行してくれますから、どういうときにどういう分析方法が使えるか、逆に、どういう場合にはある方法は使えないand/or使ってはいけないかということや、どのような仕組みで検定しているのかについて、その考え方を理解しておく、ということで、統計はクリアできると思います。 また、実験も面倒な研究技法と思われるかも知れませんが、論理的に結果を解釈するためのスキルです。 統計、実験、そして、仮説を立ててそれを検討するという考え方は、心理学全般に関係する基本スキルです。 これから先、どのような領域を専攻されるか分かりませんが、この際、その基本をしっかりと習得なさることをお勧めします。 私自身、臨床の分野に進みましたが、これらのスキルは、相談に当たっても有用なものだと考えています。
お礼
とても詳しい回答ありがとうございます。 こんなに詳しい回答をしてくださるとは思っていなかったので、とてもうれしいです。 特性不安という概念の存在、モーズレイ人格目録を選んだ理由などなど、細かいところまで指摘してくださってありがとうございます。特性不安やMPIを選んだ理由なども、きちんと考えた上でのことでしたが、もう一度再考してみます。 私としては、MPIと変動した群・変動しない群(安心体験によって不安は喚起されないとしました)の2群と、MPIはE、N、L尺度の3群のみの(E+などの類型に分けません)分析を考えていますので、被験者を2群にわけた(変動群・変動しない群)、両群によるMPIの差をt検定にて検討、という分析方法を考えていました…が、統計をまだ習いたてなので、これで正しいか分かりません…。この分析方法は間違っているでしょうか?