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相対加速度の問題について
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- 問題の解法と結果について説明します。
- 状況や方程式から得られる結論をまとめます。
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慣性力を考慮すると良い好例です。 地上にいる静止した観察者から観察すると、Cの運動は極めて複雑になってしまいます。斜面が動きますから、Cの運動方向は、図の 60°の方向とはなりません。しかし、台と一緒に動いている観察者Oから見ると、各物体の運動は極めて単純なものとして把握することが可能になります。 Cの運動は、斜面に沿って下りますが、Oから見ると台は止まっていますから、Cの運動方向は斜面に沿った方向そのものとなりますし、Bの加速度と同じ大きさで下っています。ただ、αと正反対向きに慣性力が働くので、それを考慮しなければなりません。 以下、台と一緒に運動している観察者Oから見た状況を、数式化してみましょう。 Bが受ける加速度は、台の加速度αの分だけ変化しますから、相対速度と同じ公式で 相対加速度=相手の加速度ー自分(観察者)の加速度 より Aに対するBの加速度=β-(-α)=α+β です。 左向きを正としました。 Cも全く同じ大きさの加速度を受けています。B,Cは糸で繋がっていて、向きこそ違え、同じ運動をしているのですから当然のことです。Cの加速度の向きは、斜面に沿って下向きです。それぞれ、右向き,下向きを正として 水平方向の成分は、 大きさが (α+β)・cos60° で左向き ∴ -(α+β)/2 鉛直方向の成分は 大きさが (α+β)・sin60° で鉛直下向き ∴ ((√3)/2)(α+β) 次にそれぞれの物体について、Oから見たときの運動方程式を立てます。添付図を参考にして各物体に作用している力を、向きを含めてきちんと評価します。 Aに対する、Cからの垂直抗力は、右下向きに。そして、滑車を経由して糸の張力の合力が右下向きに掛かってきます。その合力の大きさは T になるようです。Aにはこの2力と慣性力が左向きに働いています。AはOから見ると静止したままですから、Aについて水平方向の運動方程式は、右向きを正として m・0=N・cos30°+T・cos60°-m・α これを、外部の観察者から見ると、慣性力は無く、加速度もαとなりますから m・α=N・cos30°+T・cos60° 式(ア) となります。2つの式は見る立場が違うだけで、変形すると同じものであることがわかります。 Bに対する運動方程式は、張力と慣性力が働いて α+β の加速度を受けるのですから、左向きを正として m・(α+β)=T+m・α 外部の観察者から見ると、慣性力が見えず、加速度がβですから m・β=T 式(イ) Cに対しては、 水平方向の力は、糸の張力の水平方向成分+台からの垂直抗力の水平方向成分+慣性力 ですから 水平方向の運動方程式は、左向きを正として m・{(α+β)/2}=-T・cos60°+N・cos30°+m・α 外部の観察者からは、慣性力が見えず、 Cの、Aに対する相対加速度=Cの加速度-Aの加速度 ですから m・{(α+β)/2-α}=N・cos30°-T・cos60° ∴m・{(β-α)/2}=N・cos30°-T・cos60° 式(ウ) となります。 鉛直方向に受ける力は 糸の張力の鉛直方向成分+台からの垂直抗力の鉛直方向成分+重力 ですから 鉛直方向の運動方程式は、下向きを正として m・{((√3)/2)(α+β)}=m・g-T・sin60°-N・sin30° 式(エ) こちらは、左右方向の慣性力が働きませんから、外部の観察者から見ても全く同じ方程式になります。 未知数 T,N,α,β の4つに対して、方程式は(ア)~(エ)までの4本有りますから、解けて α=β=… T=… N=… 外部の観察者にとって、Cは初速度0で動きだしたのですから、Cの加速度の方向がCの運動方向そのものです。 (ウ)を再評価すると、加速度は0ですから、Cの加速度は鉛直下向き成分だけとなり、Cは垂直に落下していたことがわかります。