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管理会計論の原価計算基準と原価計算制度について
管理会計論の原価計算基準と原価計算制度の違いが良く分かりません。 制度と基準はどのように違うのでしょうか? よろしくお願いします。
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私も公認会計士試験を勉強しているときに、短答式用に勉強しました。 結論からいいますと、 原価計算基準は原価計算制度を規定するためのルール(強い拘束力をもった実務規範)であり、原価計算制度とは外部報告用に制度化された原価計算をそう呼んでいるのです。 ・原価計算基準は、財務報告制度における棚卸原価を算定するための、強い拘束力をもった実務規範である。 ・原価計算制度は、フィーリングで決めてよい内部原価計算ではなく、財務報告制度とリンクしている制度としての原価計算のことである。 (それについて、基準は「原価会計」という呼び名で呼び直している。要するに外部報告用の原価計算を「原価会計」ってよぶよ!って言ってるだけ。) となります。基準は、原価計算制度(外部会計用の原価計算)のルールを定めています。 原価計算制度は監査の対象となるので、きちんとしたルールが必要になります。そういうルールを制度と呼んでいるのです。かなり乱暴に言うと制度とは、内部用原価計算と分けるための言い回しのことです。 以下手順を踏んで説明します。 まず、原価計算基準とは、こんな感じのものです。読み飛ばしても結構です。 「原価計算基準(げんかけいさんきじゅん)とは、1962年に大蔵省企業会計審議会が中間報告として公表した会計基準であり、原価計算に関する実践規範となっている。費目、部門別原価計算がベースになっているこの原価計算基準は、今日まで一度も改定が加えられていないため、サービス部門の割合が増大している今日の企業ニーズに必ずしも一致していないという問題もある。」wikiより つまり、1962年に、財務会計に計算する棚卸原価などを計算する方法をまとめるために、大蔵省が作った実践規範である、ということです。 財務会計では財務報告をしなくてはならない。そのためには売上原価を集計する必要がある。そのためには棚卸原価を計算しなければならない。そのためには棚卸原価を計算する実務指針を出す必要がある。だから大蔵省は実務規範を作ろう。という発想です。 より正確な理解をしようとすれば、基準における定義をみることになります。 ・原価計算基準は、基準によれば、 「原価計算基準は,かかる実践規範として,わが国現在の企業における原価計算の慣行のうちから,一般に公正妥当と認められるところを要約して設定されたものである。~この基準は,企業会計原則の一環を成し,そのうちとくに原価に関して規定したものである。」 とあります。つまり、 「企業会計原則の一環を成し,そのうちとくに原価に関して規定したものである。」 ということが本質であるということです。 そして同時に、企業会計原則の一環というのが、原価計算制度のポイントです。 ここで財務報告と絡んでますよ~。というわけです。 財務報告の一環である、、言っている意味はわかるよね?という話です。要するに監査しないといけないから制度化するよって言っているわけです。 このことをわざわざ第1章で言っています。 論理展開としては以下のようになります。 財務会計では、財務報告をしなくてはならない。 財務報告では、棚卸原価を計算する必要があるから、原価計算をきちっと定めないと、監査できない。監査できないと、信用がないと思われてとてもやばい。 なので、規範という形で、原価計算に関する基準を作らなければならない。 ここまでが、原価計算基準の出現要因です。 ・次に、原価計算制度なのですが、原価計算基準の1章に定義されています。 以下のように一章は書かれています。読み飛ばしても結構です。 第一章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準 に「この基準において原価計算とは、制度としての原価計算をいう。原価計算制度は財務諸表の作成、原価管理、予算統制等の異なる目的が、重点の相違はあるが相ともに達成されるべき一定の計算秩序である。かかるものとして原価計算制度は、財務会計機構のらち外において随時断片的に行なわれる原価の統計的、技術的計算ないし調査ではなくて、財務会計機構と有機的に結びつき常時継続的に行なわれる計算体系である。原価計算制度は、この意味で原価会計にほかならない。」 ここでは、「この基準において原価計算とは、制度としての原価計算をいう。」という文章が重要になります。 さて、原価計算は、外部報告用だけではなく、もちろん内部管理にも使います。 内部管理用の原価計算は、自由ですので、最悪フィーリングやコックリさんにきいても決めてもいいわけです。 原価計算基準は、そもそも財務報告用の棚卸原価を計算するためにあります。 財務報告用の原価計算と内部報告用の原価計算を混同されては非常に困るわけです。 だから、「原価計算制度」という話が出てきます。 つまり、「原価計算は制度だから基準にする必要があるんだ。」と言いたいのです。 基準で取り扱うのは、フィーリングで決めてよい内部用の原価計算ではなく、監査もある外部報告用の原価計算なんだよ。制度としてきちんと手順をきめてんだよ。ということを1章でいいたかったのです。 つまり、最後にもう一回言うと、 原価計算基準は原価計算制度を規定するためのルール(強い拘束力をもった実務規範)であり、原価計算制度とは外部報告用に制度化された原価計算のことです。 という風な理解を私はしています。目的適合的であったでしょうか? すみません、少し長くなりました。 受験頑張ってください!応援しています。
お礼
かなり詳しく教えていただきありがとうございました。 とても勉強になりました。