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半導体のキャリアを複数にできるか?

キャリアは シリコンにホウ素をドーピングした場合、正孔一つ シリコンにヒ素をドーピングした場合、電子一つ となりますが、半導体の不純物原子によるキャリアを複数にすることはできるのでしょうか?

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  • ベストアンサー
  • semikuma
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回答No.2

ああ、そういうことですか。 文脈から、電子と正孔の両方を利用してキャリアを倍にできないかという質問かと思いました。 私も長年半導体の研究開発に携わりましたが、そういうことはあまり聞いたことがないですね。 ちなみに、GaAsやInPのようなIII-V族化合物半導体では、p型を作るときにはZnやBeなどのII族の、n型を作るときにはSnやSなどのVI族原子をドープします。 SiのようなIV族不純物原子は、両性不純物といって、条件によりp型になったりn型になったりします。 つまり、SiがIII族サイトに入れば電子が1個余るのでドナーとなり、V族サイトに入れば電子が足りなくなるのでアクセプタとなります。 ZnSeのようなII-VI族化合物半導体では、p型にはI族の不純物、n型にはVII族の不純物をドープするそうですが、私は扱ったことがないので詳しくは知りません。 さて本題です。 ご存知と思いますが、半導体に限らず物質は最外郭電子が8個になったときに最も安定します。 もっというと、sp3混成軌道の4本の腕を全て2個ずつの電子が埋めたときに最も安定します。 SiのようなIV族原子は、単独では4本のsp3混成軌道に1個ずつの不対電子が存在しますが、これは非常に不安定な状態なので、隣り合うSi原子同士で1本の軌道につき2個の電子を共有することで、安定して結合します。 これらの電子は、バンド構造では価電子帯電子に相当し、伝導に寄与しません。 ここにV族原子をドープすると、余った電子は熱的に励起されて伝導帯に遷移し、自由電子となります。 ドープしたV族原子は、電子が1個足りなくなるので正に帯電し、自由電子を引きつけようとします。 もしVI族原子をドープして2個の自由電子を発生したすると、自由電子に対する引力も2倍となります。 そもそも価電子数が多いということは原子核の電荷も大きいということで、電子を励起するためにはより大きなエネルギーが必要です。 従って、VI族原子からキャリアはV族原子ほどには発生しません。 同様に、SiにIII族原子をドープしたときも、価電子帯電子が熱的に励起されてIII族原子の電子軌道を埋め、後には正孔が発生しますが、III族原子は負に帯電して正孔を引き付けます。 (つまり、電子が元の軌道に戻ろうとする力が働く。) II族原子はIII族原子よりも原子核の正電荷が小さいので、電子に対する斥力も大きく働くため、正孔を発生するためにはより大きなエネルギーが必要となり、キャリアはあまり発生しません。 よって、2価以上の差のある不純物ドーピングはあまり使われません。

kotiya
質問者

補足

なるほど。よくわかりました。 ということは高温にすれば一応はp型、あるいはn型半導体として機能はするということでしょうか? あと、半導体として動作する温度上限(出払い領域)が上がるということになるんでしょうか?

その他の回答 (1)

  • semikuma
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回答No.1

残念ながらできません。 正孔は正の、電子は負の電荷を持っているので、お互いに引き合い、再結合して消滅します。 実際、例えばn型の半導体内にp型の不純物を同量入れれば、その領域はi型になるし、もっと入れればp型になって、PN接合が形成されます。 フォトダイオードや太陽電池では、空乏層内で光を吸収して電子ー正孔対が発生しますが、電界がかかっているのですぐに分かれて、電子はn型層へ、正孔はp型層へ流れていきます。 (一部は空乏層内で再結合する。) 電子デバイスで両方のキャリアを利用したいなら、例えば細長いp型の領域とn型の領域を交互に並べればできますが、キャリア濃度が倍になる訳ではないので、多分あなたが期待しているような効果はなさそうですね。

kotiya
質問者

補足

すいません。 よくわからないのですが、例えば、ヒ素は五価の原子ですが、六価の原子をドープしたらキャリア電子が2個にならないか? ということです。

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