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平行金属平板をすり抜ける電波のエネルギー消滅
- 平行金属平板に垂直な偏波を持つ直流電磁波(平面波)を投入した場合、電磁波は通過し、電極間のエネルギーは磁場エネルギーのみであり電気エネルギーは存在しない。
- 金属板を薄くすれば、完全導体であれば電磁波は全く何事も無くすり抜けることができる。
- 磁場は平行板の隙間に平行に流れるため、内側と外側の電流が繋がり、金属を進行方向に取り巻いた電流を形成する。
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#1にいただいたコメントに関しまして、次のように考えております。 >厚み方向への電荷移動はあまり考えたくありません。 ごもっともです。本論と関係なさそうです。しかし、ご質問文中に、 >電極の外側に回り込んで・・・内側に電気力線は存在しませんから電荷も存在しない とありましたので、通常金属における電荷の移動方向を示したまでです。 >>金属表面に進行方向の電流は生じません。 >このことはあまり重要ではありません 十分薄くても導電率が確保できる完全導体だと仮定すれば横方向磁界が縦方向の電流を作ることは明らかです。電流が裏表でキャンセルするモデルはこの場合問題を複雑にするため考えなくてもよいシステムを設定しています。また電流は磁界が持つ金属表面との境界条件で考えたほうが確実だと思っています。電界は金属境界で電荷密度を決定すると考えたほうが電磁界のバランスがとれていいのではないかと思っています。 進行方向の電流の要、不要、つまり進行方向の電流は生じないことに同意されているのか、異議を唱えられいるのか、読み取れませんでした。表皮厚より導体が厚ければ波頭近傍の導体断面内で電流が弓なり凹みを作るであろう事は想像できます。完全導体で有限の厚みであれば、たとえ波頭通過後の直流部分においてさえ、裏表で総和が零の二つの逆方向電流が存在できるかもしれません。しかし、そこまで積極的に、あなたの金属中へ、直流磁界の侵入を阻止しなければならない理由は何でしょうか。 ご質問文中に、 >内側、外側の電流が金属板の端部で繋がり、金属を進行方向に取り巻いた電流を見ることができる。 とありましたので、通常金属において、波頭通過後直流部分の電流描写が、そのようになるとは思えず、それで「金属表面に進行方向の電流は生じない」とさせていただきました。そもそも5番目6番目が主題であるなら、「導体は必要無い」のではありませんか。「ピン止めした電荷」で良いように思うのです。進行方向の電流は生じないとは、電荷の拘束を示唆したものでもあります。 5番目の問題の説明のため、図を添付しました。問題の平行平板は、この装置の中央にあります(断面図を示しています)。外側の大きな導体板で直流電磁波が作れます。磁界は紙面(画面?)方向、電界は上下方向の平面波が内部を伝搬します。波頭の部分に大きな右矢印を書き入れてあります。赤い線は電流です。波頭のみに変位電流があります。この電流は中央の平行平板を貫いて流れます。導体の薄い極限を考えれば、導体存在の意義は無くなります。 問題の平行平板はあらかじめ、Edc にチャージされていますが、この時外側(h1およびh2の空間)には、そのα倍、(d/h)Edc の電界が生じています。ここでh=(h1+h2)です。波頭通過後は、それが Edc (d/h) + Eac に変化します。エネルギを計算してみましょう。(1/2)εは省略して書きます。全空間は h です。 波頭通過後外部空間電界エネルギ: h ( (d/h) Edc + Eac )^2 = h (((d/h)Edc)^2 + 2 (d/h) Edc Eac + Eac^2 ) h>>d の極限において、 = 2 d Edc Eac + h Eac^2 Eac=Edcの場合を考えましょう。エネルギは次のようになります。 ( 2 d + h )Edc^2 前の部分、2 d Edc^2 が波頭通過によって外部に現れる項です。元からd中にあった Edc^2 のエネルギと、バイアスが無ければ d 中に本来生じる筈の Eac^2 の合計として、2 Edc^2 が外部に移行しています。 >このケースでは薄い金属板を電磁波がすり抜けるという表現を用いていますが・・・ 誤解かと。入射電磁界によって電荷が動かない以上、入射エネルギと電荷の静電界エネルギには相互作用が生じません。二つの合計電界値のエネルギにどれだけ意味があるのでしょう。しかし、少なくとも計算は可能です。電界のエネルギ消滅のパラドクスは電極外部空間のエネルギを含める事によって解消できるようです。ポインティングベクトルは実態でしょうが、電界磁界は計算の道具にすぎません。重ね合わせの理によって、電界の計算エネルギが場所をかえたのを「導体をすり抜けた」と心配するには及びません。 この思考実験からは、電磁波伝搬のポインティングベクトルは、電荷による静電界とは無関係としか見えません。
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- veryyoung
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以下のように推察いたします。 1.外面対無限遠容量を省略してしまうと、5番のエネルギ計算で、パラドクスが生じます。 2.チャージされた電界に逆極性の電磁波ステップが入射した場合、内部の電界は消滅するでしょう。 3.波頭部分において金属板の厚さ方向への電荷移動があるでしょう。それはチャージされているか否かに関わらずに生じる事です。 4.平面波の中に置かれた・・・という当該条件では金属表面に進行方向の電流は生じません。内部と外部の電磁波で相殺されています。平行平板に直流ステップ電圧を入力すれば電源から金属板を通じ、波頭部分の変位電流を介して閉路を形成する電流が生じます。しかし当問題設定においては、外部にも同一の変位電流が生じ、金属板から外部空間に抜けるので、金属板に平行な電流は生じないと思います。電荷は位置を変えません。波頭において厚み方向に動くのみです。 5.反射、散乱を引き起こすことなく通過するでしょう。電磁波の誘導電界と静電電界の合計のエネルギにどれだけ意味があるかわかりませんが、それでも電界のエネルギの消滅は無いようです。内部空間の電界のエネルギは、金属板の外部空間に移行しています。内部空間では (Edc - Eac)、外部は、( α Edc + Eac ) となります。 α微小。 一見外部のエネルギ増加は僅かであり補えないように感じられると思います。 しかし二乗により ( Edc Eac )という積の項が生じること、および、α は外部空間の大きさに反比例しいくらでも小さく選べる一方で、積分する空間はそれにつれて大きくなる事に留意して計算すると、定量的一致が確認できるようです。 6.元の静電界を含めて、電磁波の磁界との間でポインティングベクトルを構成する事は出来ない筈ですが。
補足
さっそくご回答ありがとうございました。私には難問です。正確を期するため補足させていただきます。 1.全空間に広がった電磁界に対して無限遠容量という概念は一般には使われていませんので定義が良く解りません。この場合場の量を基準に考えています。 回路論的議論に持ちこむには無限に広がった場の量の積分が必要で今の場合あまり有効な方策ではないため敢えて等価回路は用いていません。場の量を使ってパラドックスを解決したいと考えています。 2.2番は同じ見解を示して頂き嬉しく思います。やはり電場は消滅しますね。 3.>金属板の厚さ方向への電荷移動があるでしょう。 モデルとしては完全導体も考えることができるので厚み方向への電荷移動はあまり考えたくありません。表皮深さはきわめて浅くなるからです。片方の金属板にガウスの定理を適用すればそこから飛び出す電束は津波の前後で一定に保たれると言いたかっただけです。とにかく電極から飛び出せないので外側へ移動できれば良いと考えています。 4.>金属表面に進行方向の電流は生じません。 このことはあまり重要ではありません十分薄くても導電率が確保できる完全導体だと仮定すれば横方向磁界が縦方向の電流を作ることは明らかです。電流が裏表でキャンセルするモデルはこの場合問題を複雑にするため考えなくてもよいシステムを設定しています。また電流は磁界が持つ金属表面との境界条件で考えたほうが確実だと思っています。電界は金属境界で電荷密度を決定すると考えたほうが電磁界のバランスがとれていいのではないかと思っています。 >電荷は位置を変えません。波頭において厚み方向に動くのみです。 電荷は金属界面の電界で動くと思います。津波の前後では電界が異なりますから。また厚み方向に仮に動いたとしても電荷は境界条件を満足するために反対方向に現れると考えています。 5.>α は外部空間の大きさに反比例し いくらでも小さく選べる一方で、積分する空間はそれにつれて大きくなる事に留意して計算すると、定量的一致が確認できるようです。 この議論は飛躍があり理解に苦しみます。このケースでは薄い金属板を電磁波がすり抜けるという表現を用いていますがこのことは多くのケースで理論的実験的に確認されています。つまり完全導体の究極ごく薄電極モデルでは電磁界に全く摂動を与えないことも可能だと理解しています。定常状態で場の量が平板セットがないときに比べて強くなることはないと考えています。 6.ここは一番重要なところです。マクスウエル方程式から導くことができる良く知られた電磁界のエネルギー保存の式(連続の式)があります。この式に現れる流れベクトルがポインティングベクトルでありそれを構成する電磁界の起源は一切不問にしているところが特徴です。従って全電場、全磁場が解ればエネルギーの流れは定義できると私は考えています。この意見は多少専門家の間でも議論があるようですが非常に複雑な解析が必要です。私はむしろそのようなことが この事例から一つの見解を出せればと思っています。 ご議論ありがとうございます。よろしくご検討お願いいたします。
お礼
丁寧に御指導いただき感謝いたします。非常に変わった問題だっと思いますが、電磁界と電荷、電流をエネルギー、エネルギーの流れや反射、散乱の観点からどう考えるかの教育的な問題提供につながると思います。特に重ね合わせの有効性を再度感じました。私も随分勉強させていただきました。ありがとうございました。
補足
返信が遅れました。お詫びいたします。図面を書いていただき感謝いたします。 再度眺めて見ましたがいいモデル化をお示しいただいたと思います。 遠くの金属境界を仮定することは思いつきませんでした。これによって解析が容易になることも理解できました。このモデルによると通過するときの電磁界金属の境界条件を満たすため、そのままで解の成分となり、さらに電荷分布が作り出す解との重ねあわせになっていることが理解できます。先端部のフリンジング効果も考慮されることが解ります。電力流は金属板のセットを避けるように後ろ側へ接続されていることも理解できます。ほっとしました。 >入射エネルギと電荷の静電界エネルギには相互作用が生じません。 この考え方は十分理解しているつもりです。 >二つの合計電界値のエネルギにどれだけ意味があるのでしょう。 これは簡単です。観測できる量はこれしかないからです。物理的な場の概念はこれしかありません。後は人工的なものだと思っています。 >重ね合わせの理によって、電界の計算エネルギが場所をかえたのを「導体をすり抜けた」と心配するには及びません。 結果として上手くすり抜けたことに変わりはありません。散乱、吸収がないという意味ですが、議論するほどの事でもありません。 >この思考実験からは、電磁波伝搬のポインティングベクトルは、電荷による静電界とは無関係としか見えません。 これは言葉の問題かも知れませんがエネルギーが外部へ移行している以上 電力流は外側を流れることとおなじ意味です。つまり電荷の持つ電界でエネルギー流が歪められています。でないとエネルギーが後ろへ反射無く伝わることが説明できません。ご異論はないと思います。 >裏表で総和が零の二つの逆方向電流が存在できるかもしれません。しかし、そこまで積極的に、あなたの金属中へ、直流磁界の侵入を阻止しなければならない理由は何でしょうか。 多分、お互いに経験してきた専門領域の常識の違いから生じた問題かも知れません。電磁界の問題を考えるときにはあまり直流の効果は考えません。従って金属境界の考え方は極めて単純です。電界が垂直であることと磁界が接線方向に平行であることです。つまり完全電気壁を仮定した解析を行い、磁場侵入長や表皮こ効果はあとからくっ付けます。同時に考えるととても計算できないからです。直流が高周波に同居したときや直流だけの問題を扱うときの金属をモデル化することにあまり慣れていません。また今の場合電荷の働きがとても重要ですが完全動態で電界は入らず電荷電流は表面に集中するという過程で問題を簡略化しようとしています。ここのモデル化については専門領域ごとに異なるのではないかと想像します。私が特別にこだわっているわけではありません。仮定を上手く説明しないために誤解を招いたと思います。失礼しました。 >そもそも5番目6番目が主題であるなら、「導体は必要無い」のではありませんか。「ピン止めした電荷」で良いように思うのです。 この文章を読ませていただくとまさにモデル化の基盤にある経験が浮かび上がります。ご異論はないと思います。 veryyoungさんのお陰でエンルギー消滅の問題は移行に置き換わり消滅しました。ありがとうございました。正直電極外側の電荷の効果がエネルギー密度を実効的に変更し、電力流の経路をこんなに上手く曲げるとは思いませんでした。まさにすり抜けです。後方では何事も無いように伝搬するわけですから・・・(笑) この問題はさらに考察を加え、電磁界シミュレーションを行って何らかの方法で紹介したいと思っています。御了承下さい。御議論ありがとうございました。