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監査論の監査基準委員会報告書31号14項について

監査論の短答問題で、 「公認会計士は、財務諸表に全体として重要な虚偽の表示がないかどうかに関して常に客観的な証拠に基づいて、監査意見を表明しなければならない。」 という問題があり、回答は×で、解説は、 「監査人は、通常、絶対的というよりは心証的な監査証拠に依拠する事になる。」 と書いてあるのですが、これが良く分かりません。 心証的な監査証拠とはどういう意味なのでしょうか? 客観的な証拠に基づいて監査意見とは表明されないのでしょうか? よろしくお願いします。

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回答No.1

2010年合格者です。 監査証拠には絶対的な証拠と、心証的な証拠の二つがあります。監査基準委員会報告書31号14項にある通りです。 絶対的な証拠とは、誰が見ても明らか、変化しない証拠です。たとえば、現金実査で現金の実在性のチェックができたとか、棚卸立会で企業の棚卸の正確さをチェックできたなどです。 他方、心証的な証拠とは、かなりの確率で監査要点が正しいだろうなあと感じられる証拠です。たとえば、期中に 売掛金 100/売上 100の取引が行われたとします。あなたは売掛金100が本当に存在するのか(実在性)、売上100が本当に発生(監査基準の監査要点例では実在性、委員会報告書の例では発生)し、当期に計上していいのか(期間帰属の適切性)チェックしなければなりません。そこで、総勘定元帳・試算表・得意先元帳の間で矛盾がないかチェックしたり(突合)、相手から送られてくる注文書・物品受領書と当社の売上伝票の金額・日付に間違いないかチェックします。よし、金額が全部同じだ、日付も当期中だ、めでたし、めでたし。絶対的な証拠GETだ。 ちょっと待ってください。 ここで質問です。あなたは本当に売掛金と売上が100ずつ当期に計上されていてOKと言い切れますか?相手と共謀しているかもしれませんよ。 これが絶対ではなく心証にとどまる例です。仮に、この取引で絶対的な証拠を得ようとすると、取引が行われるときに相手先(得意先)と当社(出荷元)の担当者に張り付いてる必要があります(笑)。実際問題不可能です。会計士何人要るかわからないし、監査報酬めっちゃかかります。 イメージとしては、フロー項目に対する証拠は心証的なものが多く、ストック項目に対する証拠は絶対的なものが多いです。もちろん、引当金のように例外はあります。見積りが必要な勘定はストックであろうと心証的証拠しか得られないことが多いです。経営者の主観だらけの勘定に対して絶対的な証拠は入手できません。

sinkocyo
質問者

お礼

回答ありがとうございました。 とても説明も詳しく、例も分かりやすく、勉強になりました。 ありがとうございました。

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