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地震のP波の継続理由と収束までの時間
- 地震のP波はなぜS波の到着時間まで同じような振幅で継続するのでしょうか。
- S波到着時刻以降も、P波が継続している理由とその継続時間を決めている要素はどのようなものでしょうか。
- S波もある時間継続してから収束します。これは震源での一回の振動が観測値ではこういう波形として現れるのでしょうか。
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再回答します。 2. P波は絶対に7km/secを超えないと言った覚えはありません。都道府県くらいの範囲で議論する場合は、だいたい7km/sec程度に収まるというだけです。 P波速度は媒質の密度等に依存します。地球内部であれば当然密度は高くなりますから、P波速度も大きくなります。遠地地震では、マントルを伝わってくる間にP波速度が10km/secを超えてもなんら不思議ではありません。 また震央距離と震源距離は異なっていて、ローカルな議論では一般に震源距離のほうが大きくなりますが、遠地の場合は地球が球形であることからも明らかなとおり、震源距離のほうが圧倒的に小さいですから、震央距離から計算する見かけのP波速度はさらに大きくなる場合もあります。 3. 地震計の特性があるから注意して下さいと申し上げたはずです。 サンフランシスコ地震の波形は、短周期の地震波が完全に捉えられていません。おそらく短周期の波はかなり減衰していますが、長周期の波しか見えていないので、あまり減衰していないように見えるだけです。 また、第一波に比べて周期が長く速度が遅いP波は、その後もどんどん遅れていきますから、ローカルでは数秒の遅れだったものが結果として遠方で数分の遅れになります。 さらに、PP波、PPP波というのは反射波の一例を挙げただけで、ほかにもSKS波のほか、ローカルな反射波など相当たくさんの反射波が含まれています。 なお、800/1000というのは分かりやすいたとえとして出しただけです。実際の減衰率は場所によっても異なりますし、そもそも当時は広帯域地震計もないことから、どの周波数帯域での減衰率かによっても全く違ってくるでしょうから、減衰率など計算できるはずがありません。 なお、論文を持ち出して揚げ足取りをされるようなら、これ以上はご自身でお調べください。一応有用な文献を挙げておきます。 宇津徳治「地震活動総説」(東京大学出版会) C. M. R. Fowler "The Solid Earth: An Introduction to Global Geophysics", Cambridge University Press Aki and Richards "Quantitative Seismology", University Science Books
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- kabo-cha
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1.について補足でご質問を頂きましたのでお答えします。 280kmも離れると、地震波の伝播経路はものすごく複雑になります。プレートで跳ね返って来たもの、プレート境界をしばらく伝わってきたもの、火山のマグマを通ってきたもの、火山帯で何度も反射と屈折を繰り返したもの、地表で3回くらい反射したもの、ずっと深い場所を通ってきたもの、……。 そういういろいろな波があとからあとからやってくるわけです。 反射や屈折を繰り返し、長い経路を通ってきた波は当然減衰もします。波の強さ(振幅)は直達波(ダイレクトで伝わってきた波)の1000分の1くらいかもしれません。でも経路が800くらいあるかもしれません。結果として、波の強さは800/1000、ほとんど弱まりません。散乱というのはそういうものです。 やや話が脱線しますが、地震学にはコーダQという考え方があります。地震計で観測された地震波はゆっくりゆっくり減衰していくわけですが、その減衰の仕方と地球の内部構造の複雑さには相関があるというものです。そこで減衰具合から地球の内部を知ろうというものです。 また、今回は280kmということでしたが、仮にプレート境界からも火山からも遠い場所でM1という非常に小さな地震が発生し、その地震波を28km離れた場所で観測したとします。この場合、P波とS波がポンポンと見えるだけで、P波とS波の間はほとんど振幅がありません。地下構造が複雑でないので、散乱が起こらないからです。 サンフランシスコ地震の波形について これは横軸のひと目盛が100秒ですから、P-S時間は600秒、つまり10分です。震源から9100kmも離れた場所の記録のようです。 このようにP-S時間が長くなっても散乱の影響は存在します。マントルで反射してきた波、地球の核で反射してきた波、マントルを何度か通過した後に1回地表で反射した波、などなどいろいろな経路が考えられるからです。 ただ、特徴的な経路があって、とくに地表で1回反射した波(PP波)や2回反射した波(PPP波)は振幅が大きくなりやすいことが知られています。ご質問にある図も、PP波、PPP波のところに線が入れてありますね(思ったほどはっきり見えないと思われるでしょうが)。 あと、P-S時間が長いということは、それだけ震源から遠いということです。波が遠い場所まで届くのは大きな地震です。すると5.の効果もかなり効いてきます。 最後になりますが、地震計には得意不得意があって、近い地震のP波を見るのが得意なものとか、S波よりももっと後からやってくる表面波を見るのに適しているものとか、いろいろな地震計があります。また、フィルタをかけたりもします。サンフランシスコ地震の波形もそういった影響があります。 同じ地震を同じ場所で観測したとしても、地震計やフィルタによってとんでもなく違うように見えたりしますので、その点はよく注意してください。
補足
追加回答をありがとうございます。 1 地震計には仕様があって同じ地震を記録させても、いろいろに見える波形になる場合があるということ、考えて見れば当然だと思いますが、まったく気付いていませんでした。ありがとうございます。 2『地震波も地球内部構造も自然のものですから、P波は絶対に7.000km/sで伝わるということはありえません。6.9km/sの波、6.8km/sの波も含まれます』とのことです。下記のURLに10km/sクラスの記載があります。http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/mantle-core.htm 8km/sをP波の伝搬速度とする問題も見かけます。http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/jishin2.html P波の上面伝搬速度の実測を2.1km/s~4.8km/sとしているデータもあります。http://www.j-shis.bosai.go.jp/j-map/result/tn_261/html/html/3-4-3.html http://www.hp1039.jishin.go.jp/kozo/Kanagawa7/figures/f3-2-3-5-1.jpg 学校の教科書などでは、地表付近の岩石中を伝わるP波の速度は5~7km/s、震央距離が100~600km程度の地震に対しては,初期微動継続時間T〔s〕と震源までの距離d〔km〕の間には,d=kT (ただし,k は比例定数で,いっぱんに k=6~8km/s)の関係があるとの説明があるようです。 http://rika-kyozai.blogspot.com/2010/02/blog-post.html しかし、深さや岩石の種類によって変化するがP波は6~13km/秒という説明をしているところもあります。http://www.stm-systems.co.jp/solution/security/reic/2.htm 7.000km/sをP波は絶対に越えないというのは、どうしてでしょうか。大気圧常温下の鉄やアルミ、岩石の音波計測値では自然環境の地殻中の伝搬速度推定はできないことはわかりました。 http://staff.aist.go.jp/osamu-nishizawa/tohoku/p921-948.pdf しかし、実測のP波伝搬速度の分布1シグマぐらいでの上限はどの程度なのでしょう。 3 サンフランシスコ地震波形で、P-Sの600秒=10分間に振幅の減衰が見えないということは、S時点以降も同じ振幅が続いているのでしょう。ほぼ同じ振幅はPの時点から11分、15分、30分、、、いつまで続くのでしょう。 (兵庫県南部地震をパキスタンで観測した記録)http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/jishin-01.htm [マグニチュード(M)が6を超える様な地震では、地震(断層破壊)は一瞬では起こりません。M6で2~5秒程度、M7で10~20秒程度、M8で 40~80秒程度、M9を超えると5分くらいかかる場合もあります。地震(断層破壊)自体が5分もかかっているわけですから、揺れが5分続いてもおかしくありません] サンアンドレアス断層で生じた1906年サンフランシスコ地震がM7.8であると、地震(断層破壊)自体は90秒間以下で終わったと考えて良いのでしょうか。(天文学者ジョージ・デイヴィッドソンの記録によると、激しい震動が約1分間続き、いったん弱まったが再び強い震動が起こり、最初の震動が始まってから2分30秒ほどで収まったという。)というのもありましたので、最長150秒以内で終わった震源の振動は終わっているはずです。サンフランシスコの波形ではP-PPは150秒間に見えます。P-PPの150秒間で振幅が消えていないのは、150秒間は振動が続いたのでしょうか。各種の物質で反射屈折を繰り返した反射波がPP到着以前に観測地に到達したためでしょうか。[地表で1回反射した波(PP波)や2回反射した波(PPP波)は振幅が大きくなりやすい][反射や屈折を繰り返し、長い経路を通ってきた波は当然減衰もします。波の強さ(振幅)は直達波(ダイレクトで伝わってきた波)の1000分の1位かもしれません。でも経路が800位あるかもしれません。結果として、波の強さは800/1000、ほとんど弱まりません。散乱というのはそういうもの]とのことですが、そうすると10秒間の震源の振動を、100km点で観測した場合、1000km地点で観測した場合、10000km地点で観測した場合に、【5秒間の平均振幅が最高値から30%に減衰するまでの振動継続時間】のような時間はどの程度続くのでしょうか。
- kabo-cha
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P波とS波がパルスにならないのはなぜかというご質問ですね。 1.(最大の理由) 地球の中は完全に均一ではなく、地殻とマントルの境界があったり、プレートの境界があったりします。もう少し微視的に見れば、地層とか、火山岩の貫入とか、それ以外にも多くの構造があります。 地震波はこうした構造で反射、屈折、回折を繰り返します。つまり散乱するということです。P波の最初の立ち上がりは、震源から最短距離で伝わってくる波です。その後に続く波は散乱波ということです。遠回りをして伝わってくるので、後からやってきます。 2. 地震波は散乱の途中で変換することがあります。最初はP波だったのに、途中でS波に変わったり、逆もあります。すると平均の速さは、P波とS波の中間的な速さということになります。 3. 地球内部では、深い場所ほど密度が高く、地震波も早く伝わると言われています。S波は地下浅い場所では2~3km/sくらいですが、深い場所では5~6km/sになったりします。ですので、震源から遠い場所には、地下深くを経由してきた波のほうが早く到達します。遅れてやや浅い場所を通ってきた波が、さらに遅れてもっと浅い場所を通ってきた波が……とやってきます。 たとえるなら高速道路です。海沿いの二都市を行き来する場合、海岸沿いの一般道のほうが距離は近いですが、二都市がある程度遠い場合には、山沿いの高速道路を利用する車のほうが早くやってきます。そのあとで一般道を通ってきた車がやってくるというわけです。 4. 地震波も地球内部構造も自然のものですから、P波は絶対に7.000km/sで伝わるということはありえません。6.9km/sの波、6.8km/sの波も含まれます。当然あとから伝わってきます。 5. マグニチュード(M)が6を超える様な地震では、地震(断層破壊)は一瞬では起こりません。M6で2~5秒程度、M7で10~20秒程度、M8で40~80秒程度、M9を超えると5分くらいかかる場合もあります。地震(断層破壊)自体が5分もかかっているわけですから、揺れが5分続いてもおかしくありません。 また、断層破壊が観測点から遠ざかって進行した場合、見かけ上はさらに長い時間揺れが続くことになります。
補足
ありがとうございます。 まだ私がわかっていないので、お教えください。 M6クラスを280km離れた観測地で観測するとしてください。 仮にP波の先頭が7km/s S波の先頭が4km/sで到着し、震源地の地震が5s継続したとして、観測地では最初の地震から40s~45sにP波の先頭が通過し、70s~75sにS波の先頭が通過します。地震波は経路が異なり屈折や反射してくるものがあり、散乱の途中で振動の種類も変換してくるものがあるので、最初の地震から40s以降は全地震波が通過し終わるまで何かしらの地震波が観測地で計測できるのはわかります。 それにしても、40s~70sまでの間に観測値で計測される地震波の大きさがあまり変わらないようになるものかどうかが非常に不思議に思うのです。 感覚的な思いですが、P波の観測地での観測は45s~50sのあたりが、最短できた振動波といろいろな経路で到達してきた振動波が重畳して最大振幅(あるいは消しあう?)ような気がします。そして60s付近では全体に振動が減衰してしまうのではないかと思ってしまいます。減衰しないのであると、迂回してくる振動が時間的に十分にばらけ、エネルギーもかなり持っているということなのでしょうか。 このサンフランシスコの観測波形はP-Sが0.013sなのでしょうか。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1906_San_Francisco_earthquake_seismograph.gif これくらい短いと最初の地震そのものが同じ大きさで継続していたこともあるだろうと思うのですが、10秒以上のP-S時間があるような場合でも、その間『震幅が同じようになることが一般的によくあるのか』、そのような時間であれば、地震波の経路がいろいろあるので震動そのものは続いたとしても、観測地で計測できる『震幅はかなり不定型になるのが一般的なのか』を知りたいと思います。 ☆☆ 申し訳ありませんが、追加でお教えいただきたいと思います ☆☆ 観測地と震源を結ぶ方向で遠くなる方向に非常に長い距離で断層破壊がゆっくりと進行した場合には、観測地での震動記録が延長するのはわかります。そういう条件が重なるケースも少ないように思います。
お礼
何度も お手を煩わせ、その上、失礼をしました。 申し訳ありませんでした。 また、丁寧に最後までお教えいただきありがとうございました。
補足
ごめんなさい。 揚げ足取りをするつもりは全くありません。 2 P波の速度の件、わかりました。 3 P波の継続の件、周波数が長い波は遅く伝搬するということを知りませんでした。震源から遠くなるほど時間延長したような振動が記録されることになるということでしたか。少し理解が進んだ気持ちがします。 地震計の特性がどう関わるのか、周波数帯域による減衰率の違いがどう影響するのかなど、わかりませんけれど、自分で少しは調べるようにします。 宇津徳治「地震活動総説」(東京大学出版会)は難しそうですが、図書館などで探してみます。他にも図書館には私レベルで参考になる本はあるでしょうから、探してみます。 大変に失礼しました。