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悪意の場合の不当利得(704条)については、損害賠償の記述がありますが

悪意の場合の不当利得(704条)については、損害賠償の記述がありますが、この場合には、一般の不法行為責任と異なって、悪意のみで、故意過失は必要ないのでしょうか?

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  • ted2010
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回答No.1

こんにちは どの程度深い話を聞いているのかわかりませんが、一般の人(民法を専門とする学者でない人)であれば、「故意又は過失」があれば704条で言う「悪意」として扱われると考えて差し支えないはずです(「過失」については、少し議論があるかもしれませんが) (京大の松岡先生がお書きになった資料の中でも、「故意・過失は返還義務の範囲に影響する 704条」とある位です。あえてそう書いたのか、単に間違ったのか、それともその違いに全く興味がないだけなのかは、わかりませんが。。。) 一応不当利得は原則を考えれば、「法律上の原因なしに、他人の財産又は労務により利益を受けているものがいる一方、他方でそれによって損失を被っている他人がいるとき、前者から後者に利得を返還させる制度」であって、受益者が、善意か悪意かによって、返還義務の範囲を分けたというのは、納得の行く話だと思います ただし、「不当利得法は財産法のごみ処理場だ」と呼ばれる位多様であって、財産法が本来の原則どおり機能しなくなった場合の、後始末をする制度、要は例外的なものを全てここで処理するために、「民法の用意した単純な条文だけでは、不当利得が問題となるさまざまな場面を処理するための指針を与えることが困難である」といわれているくらいであって、条文がきっちり整備されていないという指摘は多いです 不当利得を類型化した場合、(どのように類型化するかは議論のあるところですが)給付利得と侵害利得に分けることができますが、もしこれを条文上明確にしたのであれば、個人的な考えですが、後者については恐らく「悪意」ではなく、「故意または過失」となったのではないかと思います 少しでも参考になれば幸いです

a1b
質問者

お礼

いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 この質問を投稿した段階では、704条の損害賠償についての説明を見つけることが出来ませんでした。 (興味のないテーマなのでしょうか) ただ、不当利得に不法行為が紛れ込んでいることから特則であって、悪意で足りてしまうのかと思いまし た。 また、703条の解説には、「不法行為との競合」の可能性についても言及していましたので、それであ れば、704条でわざわざ、損害賠償に触れているのは、単なる「不法行為との競合」から1歩踏み込ん で、故意・過失を要件とせずに、悪意のみで足りるとする点でやはり特則なのかと思いました。 その後、色々と本を探したのですが、民法講義という本に、「故意・過失が求められるであろう」旨の記 述を見つけ、唖然としました。 それでは、703条と違って、704条でわざわざ損害賠償に触れているのはなんだったのうだろう思い ました。 しかし、「求められるであろう」ということですので、はっきりしていないのでしょうか? 本当に民法というのは、江戸っ子向きでない学問なのですね。

その他の回答 (2)

  • ted2010
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回答No.3

>しかし、「求められるであろう」ということですので、はっきりしていないのでしょうか? 「民法2 債権法」我妻、有泉、川井 勁草書房 によれば、 「(不当利得について)ここに悪意とは、法律上の原因のないことを知りながら利益を得ることである。過失を含まない。したがって、他人のものを自分のものと思って売却した場合に過失があれば不法行為になるが、悪意の不当利得者にはならない」 と過失を含まないことを明記しているもあれば、 「民法2 債権各論」内田貴著 東京大学出版会 によれば 「(ある具体的な事例において)もっとも、それほど価格差があれば、気づかなかったAに過失があるとして悪意扱いになるかもしれない」 と過失があれば、悪意扱いとされるとしている基本書もあります なので、学説に対立はあるようです >本当に民法というのは、江戸っ子向きでない学問なのですね。 大変失礼ですが、これの意味が少しわかりかねますが、学説に対立があるものに対して、「だから正解はどっちなの?」と結論だけを求めるのは、法律を学ぶ姿勢/適性に疑問を感じます (もちろん、法律との携わり方は人それぞれなので、一概に言えるものではないですが、恐らく何らかの法律家を目指す人だと思うので) 以下個人的な意見であって、大分偏っていますし、少し論理に飛躍があることも自覚しています そもそも民法は、何らかの民事紛争が起こったときの解決の基準となるべきものですが、紛争が生じた際に法律があるから、結論があるわけでなく、まず両当事者の利益をもっとも公平にする結論/落としどころを考えて、その後にそれを理論付けるための法律を探すのが正しい順序 前者が「価値判断」といわれ、後者が「法律構成」と言うのですが、結論の妥当性、バランスがあって先にあって(こっちの方がよっぽど重要)、それを正当化し、説得するための法技術として法律構成があるにすぎません 妥当な結論ないしは、自分にとって都合の良い結論(?)を導くために、民法を色々解釈する/出来ることは、法律家として自己の存在意義、喜び、満足を感じることであって、そもそもそのことに何らかの不満なりを感じる人がいたとすれば、その人は法律家には向いていないのではと思います (現実問題として、多くの法律の資格試験は、結論を覚えることに重きが置かれているので、時間に制約のある受験生であるならば、仕方ない側面もあるのかもしれませんが)

a1b
質問者

お礼

いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 >本当に民法というのは、江戸っ子向きでない学問なのですね。 これは、私の愚痴であって、適切な発言ではありませんでした。 もし、不快に感じられる方がいらっしゃったとすれば、訂正したいと思います。 また、ted2010様に喝をいれていただきたいということも潜在的にあったのかもしれません。 法律家を目指しているわけではありませんが、学ぶからには使えるようになりたいと思います。 また、法律を事後的に解決の手段とする場合には、妥当な結論ということが最重要ですが、事前に行動指 針とする場合には、法的安定性といいますか、法律的な是非をはっきりさせて欲しいということがありま す。(勿論、この場合にも妥当な結論というのが、判断指針になることと思います) 尚、今回のことと関連しまして、「善意・悪意」と「故意・過失」について、その関係をどのように整理 したらよいのか以前から疑問に思っておりました。 これについては、別に、質問を投稿させていただきたいと思います。 ご都合がよければ、ご回答の程、宜しくお願いいたします。

回答No.2

 民法704条後段の規定は,不法行為の特則ではなく、注意規定です。つまり、不法行為の要件を満たしていることが要求されます。

参考URL:
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38149&hanreiKbn=01
a1b
質問者

お礼

的確な回答有難うございます。 なるほど、判例で注意規定として、明示されているのですね。