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日本が中国に対して政府開発援助を継続する必要性について
- 日本が中国に対して政府開発援助を継続する必要性について、疑問が生じています。
- 中国が既に発展途上国に対して援助の立場にあることを考慮すると、日本の援助金が中国の援助に使われている可能性もあります。
- この観点から、日本の政府開発援助の継続について、意見をお聞かせください。
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日本の政府援助の実際について、誤解があるように思われます。 政府開発援助には、大きく分けて次の3つがあります。 1、無償援助 2、技術協力 3、有償援助(円借款) 1.無償援助 病院・学校などを建てて相手の国に贈与するもの。 工事は日本企業が請負い、日本政府からJICA(国際協力機構:http://www.jica.go.jp/)を通して日本企業が直接支払いを受ける。 2.技術協力 農業や鉱工業の基礎技術を日本人がその国で指導したり、共同研究したり、研究者を日本に招いて訓練したりする。それに要する費用も日本政府が負担。(一部、相手国が負担する場合もあります。) そのために使うパソコンなども日本が提供することがあります。(その場合は、もちろん日本製で、支払いは日本企業に直接支払われます。) 3.円借款 日本政府からの貸付金で、円で貸して円で返してもらう為、日本は為替リスクなし。 道路・発電所など経済の基盤となるような施設の建設費を別途会計を作って、低利・無担保で貸し付けます。(相手国政府の予算に組み込まれるわけではありません。) 相手国の経済悪化で利子の一部免除・全額免除・元本返済猶予・元本返済の一部免除など(全額免除はほとんどない。)が行なわれることがあります。 その国の政府にとって、そのプロジェクトの為のお金を、国家予算から支出しないで済むので、その分予算に余裕が生まれ、その余裕資金を閥の目的に使うことが出来ます。 <中国に対する援助の実際> 1、無償援助は、現在少数民族地域主体に、学校・病院建設や植林などが、わずかながら継続されている。 2、技術協力は、日本企業の海外事業支援の意味があり、かなり大規模に行われている。 他の先進国も、高速鉄道や下水処理その他、拡張や新規の期待できるプロジェクトの自国企業支援策として、実行しているので、止めてしまうと日本企業の海外展開が、他国に比べて一気に不利になってしまう。 3、円借款 2007年を最後に中止された。 累計貸出額は3兆円を超えますが、既に1兆円以上を返してもらっており、今後中国の経済崩壊などがなければ、累計元本返済額は4兆円以上となる。 2000年代に入って、新たな円借款プロジェクトが減少したために、2002年度以降、貸し出す金額よりも日本が元利返済を受ける金額の方が多くなっている。 外務省ODA対中国 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/gaiyou/odaproject/asia/china/index_01.html 国際協力機構ホームページ http://www.jica.go.jp/activities/schemes/grant_aid/summary.html 尚、外務省のホームページには、1年間に日本が返済を受ける金額と貸し出す金額およびその累計額 のグラフがあったのに、削除されてしまいました。(日本が儲かっているグラフを明記するのは、中国に対してODAを行っているということに対して、否定的な印象を与えるからか?)
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- sudacyu
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No.1、No.2です。 最初の投稿が、しばらくの間、全く表示されなかったので、バグと思い再度文章を作って投稿したところ、二重投稿になってしまいました。申し訳ありません。陳謝。
- sudacyu
- ベストアンサー率35% (687/1961)
日本の政府開発援助の実際の運営を良くご存じないのでは、と思います。 政府開発援助は、大きく分けて、1、無償援助・2、有償援助(円借款)・3、技術協力に分けられます。 1.日本の無償援助は、基本的に資金を相手国政府に手渡すことはありません。 (地震などの自然災害時の、緊急資金援助の場合には例外的に、数千万円~1億円程度の現金提供はあります。) 無償援助の大半は、病院・学校建設という形で行われますが、日本政府が、援助相手国で病院や学校を建設する日本の建設会社(日本の無償援助の場合、工事を受注するのは基本的に日本の会社です。)に、直接お金を支払い、相手国政府には建物を無償でプレゼントする形になります。 援助金という形では、相手国政府に入りません。 2、有償援助(円借款)=有償とは、相手にお金を貸して金利を取るということです。 相手国の特定建設プロジェクトに対して、相手国の財政とは別の会計を作って、それに対してお金を貸し出します。 相手国は、その時は国家財政が楽になり、別のことにその分の自国資金を使えますが、いずれ返済しなければなりません。 日本政府が日本国内でお金を借りて、他国政府にお金を貸す形を取ります。 昔、郵政省が郵便貯金を運営していた時は、郵便貯金のお金を外国に貸していました。(当然ながら、郵貯の利息よりも高い金利で貸していました。) 開発途上国の場合、たとえ国に対してであっても、政変などで借金踏み倒しなどの危険性もあり、民間の銀行は20年といった長期にお金を貸すことを嫌います。そこで政府が政府に対してお金を貸すことで、「援助」します。 尚、有償援助を行った国が経済崩壊して、利子の一部・全額免除や元本の贈与が行われることが、たまにあり、無償援助になってしまう可能性がないとはいえません。 3、技術協力 日本企業の新しいシステムや設備を、外国が大規模に導入した時に、順調に運営が出来るように手伝います。 具体的には、日本人技術者が現地に1年程度常駐して、機械の操作やメンテナンスの手順などを現地技術者が覚えるまで、指導したりする時の、ホテル代や日本人技術者の給料がこれに当たります。 外国人技術者を日本に来させて、日本で既に使われているシステムを体験し、操作できるようにする場合もあります。 この場合、日本での滞在費や交通費、研修受け入れ側の日本施設に支払うお金が、「技術協力」の金額となります。 ですから、無償援助・技術協力では相手国政府にお金が入ることはありません。 円借款プロジェクトでは、プロジェクトとしての会計で行われるので、その国が当座は国家財政を使わなくてよくなって、相手国政府の財政に余裕が生まれ、自国財政で自国の好きなことが出来る効果はありますが、資金運用が不透明ということは基本的にありません。 <中国に対する援助の実際> 基本的に無償援助は相当前に終了し、現在行われているのは少数民族居住地に対する学校・病院建設や植林などです。有償援助も2007年が最終契約で、2008年以後実施されていません。有償援助の累計額は3兆円以上ですが、利子も含めた返済額は4兆円以上になります。これは、無償援助+有償援助の金額をはるかに超えます。 現在、契約済みのプロジェクトに対して、資金の貸し出しが継続されていますが、既に古い契約は返済期になっており、日本に対する元利返済が、新規貸出額よりもはるかに大きくなっています。 技術協力は、援助ということになっていますが、実際は先進国各国政府による「自国企業の海外進出バックアップ」の性格も多分に持っています。 下水処理システムや高速鉄道導入といった、一度導入してしまえば他国のシステムに変えにくく、その後のメンテナンス部品や施設拡張・新規設置などが期待できるプロジェクトに対しては、日本だけでなくどの国も政府による技術協力をセットにして売り込みを図っています。 ですから、技術協力は、対中無償援助や有償援助が終了した後も、続いています。 外務省ODA中国 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/gaiyou/odaproject/asia/china/index_01.html
お礼
回答ありがとうございます。 このような構図になっていたのですね。とてもわかりやすかったです。 「中国の資金運用は不透明」というのは、根拠のない主観(推測)です。(反省) 補足していただき、ありがとうございます。 ODAは、海外に展開している日本の建設業、生産拠点を中心として、その地域を開発するんですね。 また、中国におけるODAの現状も、参考になりました。