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友人を殴打し隣家への逃走中に死亡させた場合、犯罪は何か?
- 今回の事例では、友人を殴打したXの行為が原因で隣家への逃走中に友人が死亡した。そのため、Xには殺人既遂罪が成立する可能性がある。
- Xが友人を殴打し、その後友人が隣家への逃走中に死亡した場合、Xには殺人既遂罪が成立すると考えられる。
- 友人を殴打したXの行為が友人の死亡に直接的な原因となったため、Xには殺人既遂罪が成立する可能性がある。
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採点は基準がないからできないのですが、少なくとも合格点はつかないというのは間違いないです。 なぜなら、主観面の検討をしていないせいで結論が間違っているのですが、これは致命的だからです。結論が明らかに間違っている場合には、合格点がつくことはまずありません。 さてさて、役に立つかどうかは分かりませんがオーソドックスに書くという前提で解答例を書いてみます。判例判例言っている人もいますが、この問題の解答を書くにあたっては判例は無視した方が得策です。理由は後述します。 XはAを殴打して鼻から出血させるなど傷害を負わせ、Xの暴行から逃げようとしたAはベランダから転落して死亡している。これは傷害致死罪の構成要件に該当しそうである。 ここで、Aの死亡はXの暴行によるものと言えるか、即ち、Xの暴行という行為とAの死亡という結果との因果関係が問題である。 因果関係を認めるためには、まず条件関係が必要である。条件関係とは、あれなければこれなしという関係であり、もし、Xの暴行がなければ、Aは逃げる必要がなく、当然、ベランダから転落死することもなかったのであるから条件関係はある。 次に、条件関係があるとしても直ちに結果を行為者に帰責することはできない。条件関係だけで因果関係を認めると、広範囲に因果関係を認めることになり、妥当ではない。そもそも、因果関係とは構成要件該当性の問題であり、構成要件が社会通念上、処罰に値する行為を類型化したものであることからすれば、因果関係もまた、社会通念上、結果を行為者に帰責するのが妥当な範囲に限定すべきである。即ち当該行為から当該結果が発生することが社会通念からして妥当と言える場合に因果関係があるとすべきである(相当因果関係説)。 では、いかなる場合に行為と結果の関係を社会通念上相当として刑法上の因果関係があると言えるか、その判断基準が問題である。 この点について、構成要件は一般人を名宛人とする行為規範であることから、一般人が認識しえた事情を判断の基礎とすべきである。また、構成要件は責任類型でもあるから行為者が認識していた事情も基礎とすべきである。そして、両事情を基礎に、当該結果が発生することが社会通念上、あり得る場合に因果関係を認めるべきである。 そこで、AはXの暴行を逃れようとしているのであり、暴行の被害者が逃げようとすることは極当然のことであり、更に逃げる際に、何らかの事情で怪我をしたり場合によっては死に至ることがあることは一般人をして十分予想できることである。であれば、逃げることにより生じた死亡については社会通念上、暴行との因果関係が認められる。 ところで、本問ではAは危険なベランダから逃げずとも他に安全な逃げ道があった。つまり、Aの死亡結果はAの不適切な行動の結果であるのは確かである。すると、Aが危険な行動をとったことがAの死亡結果を招いたものでこの事実は因果関係に影響を与えそうである。しかし、出血し多くの打撃傷を受けてパニック状態にあるAに対して安全な避難経路を適切に選択するだけの冷静な判断を期待することはできない。そのような状態になった被害者が適切とは言えない危険な避難経路を選択する可能性があることは、当然予想できることである。したがって、Aがベランダから逃走するという不適切な避難経路を選択したとしても、それは予想外の異常な事情とは言えず因果関係を否定する理由とはならない。 よってXの暴行から逃げようとしたAがベランダから転落死したことは、社会通念上、十分起りうることが予想できる事態であり、Xの暴行とAの死亡結果との間に因果関係は認められる。 さて、Xの暴行とAの死亡との間に因果関係があるとして、傷害致死罪が成立するためには行為者の主観要素として何が必要かが問題である。 Xに暴行の故意があることは明らかである。では致死結果について過失が必要か。 この点について、過失は要しないと考えるべきである。傷害致死罪は結果的加重犯であり、暴行により死亡という結果が生じることは一般的であるから、暴行を行う者にとって過失があるのが通常であるし、結果的加重犯はそのような結果が生じうることを予見すし回避すべきことを法が義務付けるものと考えるべきだからである。 よって、致死結果についての過失の有無に関わらず、Xには傷害致死罪が成立する。 これは最低限この程度は書くべきだろうという内容だけなので別の説の批判とかは一切していません。これが最良の解答だとは到底言えませんが、最低限必要なことは書いてあると思います。他説の紹介と批判が必要かどうかは、求められる解答の程度によって異なります。
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一回で書き切れなかったので分けました。 他説の批判などは解答用紙が大きいのなら書くべきですが、そうでないなら書く必要などありません。何を書くかは書くべき文字の量との関係で決まるものです。この問題が学部試験の問題であり結構な量の解答を求めているなどと解釈するのは勝手な思い込みにすぎませんね。仮にそうだとしても、質問のための文字数の関係で端折っている可能性だって十分ありますから、そんなことは承知で大まかな筋だけ聞いているのかもしれないわけです。ですから、これ以上の内容が必要かどうかは、解答用紙の大きさで決まる話です。 以上、質問の解答例は、主観面の検討をなおざりにしたせいで結論を間違うという致命的な問題がありますが、基本的な骨格は問題ないです。細かいことを言えば、色々ありますが、文字数に限りもあるので概要だけを書いたのでしょう。ならば、そんなことは殊更に指摘する筋のものではありません。具体的な話をろくに書きもせずにやたら細かいことばかり言われても大きなお世話ですよね。 さて、解答の書き方の順番を簡単に説明しておきます。 まず事実を簡単にまとめて何罪の構成要件に該当しそうかということを述べます。刑法ではこれがないと話になりません。 次に、構成要件の客観面を確定するのですが、暴行という(実行)行為と死亡という結果は明らかなので端折ってしまって構いません。どうしても書きたければ、 「XのAを殴打する行為は暴行であり、傷害致死罪の実行行為性は認められる。また、Aは現に死亡しているので結果も認められる」 とでも書いておけばいいでしょう。でも有体に言えば無駄無用です。下手すれば余事記載でマイナス評価になるかもしれません。「Xの暴行という行為とAの死亡という結果」と書くことで自動的に認定しているので、これで十分です。こんなの論点ではないんですから。 すると後は因果関係の存否が問題になります。問題文にある事情は基本的にすべて考慮するので「ベランダから落ちた」ということだけでなく「他にもっと安全な方法があったのに危険な方法を選択した」ということを考慮しないといけません。すると、因果関係論で典型的な行為後に被害者の不適切な行動が介在した事例であることになります。実は、因果関係論の各説では行為後の介在事情を問題とするいわゆる狭義の相当性については議論が妥当しないという評価があります。ですから、相当因果関係説をとっても、すっきり書くのは結構難しいです。ですから、基礎事情を明らかにしたら後は、そのような事態が起ることは社会通念上相当という判断をいきなりしてしまう方が書きやすかったりします。ここは私自身もどう書くのが最もよいのかという点で迷いのあるところなので、もっとよい書き方があるかもしれません。 ところで、因果関係論について判例を無視しろと言った理由を説明します。判例は条件説という評価もありますが、条件説ではあまりにあっさり終わってしまいすぎますし、条件説ではAの行動の不適切さに対する評価が全く必要ないので問題の事実を全て使い切ることができません。何より、そもそも判例が本当に条件説かどうか自体が怪しいところです。実際には判例は一般的判断基準は示していないのですから。そして、前田先生などが主張する客観的帰属論こそが判例の考えに沿った理論だとしてもこれは説明が厄介すぎます。なので試験解答としては選択しないほうが無難です。だから、判例は無視しろということになるわけです。そしてオーソドックスに相当因果関係説の折衷説か客観説を使っておくのが一番無難なわけです。それでも書きにくいんですが。 こうして客観面を確定した後で最後に主観面の検討をします。 つまり故意または過失の存否のことです。傷害致死罪における故意の内容と致死結果に対する過失の要否という典型的な論点に触れて主観要件を満たすことを認定すれば十分です。因果関係は故意の対象かという論点は必要ありません。なぜなら、傷害致死罪では致死結果について故意を要しないから因果関係もまた故意の内容とはなり得ないからです。 そして最後に成立する犯罪を明示して「問に答え」ます。問題文は「Xにはどのような犯罪が成立するか」なのですから、「Xには傷害致死罪が成立する」で締めなければいけません(更に形式的な話として、答案の最後を明示するために「以上」を付けます)。 なお、法律学では法解釈に争いがあるところは「論点」と言うとか一般的に支持を集めていると考えられる説を「通説」と言うとかいうことは知ってますよね?「争点」という言い方は訴訟において当事者が争っている事実関係のことを指すのが普通です。「定説」なんてまず言いません。おかしな表現は恥をかくだけです。
- e410
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読めば納得とも考えられそうですが… 殺人は殺人をしようと思って、故意にやるわけですから、故意がなければ傷害致死か過失致死です!! 今回は質問中にXの意志がないので、推測となります!! 殺すつもりなら、殺人だし、 まさかそうなるとは…なら殺人ではないです!! 未必の故意とか認識ある過失とか聞いたことあるでしょ?! また他の方も言われてますが、因果関係の論点を含め、判例・学説・法律と様々に意見が違うので、それらを比較し通説を用いながら、反対説も取り入れつつ、より説得力があり納得するように書かなければと思います!! 法学部の方かわかりませんが、有名な判例・判決理由を一度本気で読まれて下さい!!もちろん最高裁まで。 条文もですが、裁判官の回りくどい言い回しに、なぜ?!を思いながら、よく考えると実はそれがスマートで他の可能性を一切排除したベストな言い回しだったりと、気づくはずです!! 多分…。
- hanjikenji
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似たようなケースで被害者が川に飛び込んで溺死したケースで傷害致死とした判例があるよ。
- gadovoa
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こういう問題を質問するということは法学部の学生でしょうか? であれば、これは殺人既遂にはならないことをご存知だと思います。 また法学部であれば、ここでこんな質問をしなくても教授棟に行って 直接聞けばいいようなもんですが。 条件説と因果関係説があるのはご存知だと思いますが、 現在の定説は因果関係説です。 あなたの論理で行けば、単純な条件説にしかみえません。 Xが暴力を振るわなかったらAは死ななかった。 それでは詰めが甘いです。 Xの暴力が直接Aの死を導いたものではありません。 もしそれが成立するなら、 Xがタバコを吸って、そのタバコの煙に喘息発作を起こしたAが ベランダへ出て足を滑らせて落ちても、殺人既遂になりますよね。 これが刑法の問題なら争点が論じられていないので、厳しいです。
- kumap2010
- ベストアンサー率27% (897/3218)
傷害致死罪ですね。 概ねその解答の解釈で合ってますが、傷害行為と死亡結果に因果関係が認められても、意図的にベランダから落としたわけではないので殺意は当然認められず殺人罪は成立しません。 よって傷害致死罪となります。
お礼
遅くなり申し訳ありませんでした。 こんなに詳しく書いてくださり、ありがとうございましたm(__)m まだまだ自分の力不足を感じました;; もう一度考え直してみます。どうもありがとうございました。