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民法の「担保責任」について
民法の「担保責任」について質問があります。 「一部他人物売買」では、買主は売主に対して代金減額請求することができます。 そのときの買主は善意・悪意を問わないとあります。 一方、「数量指示売買」でも同じように、買主は売主に対して 代金減額請求ができるのですが そのときの買主は善意に限るとなっています。 どうしてこのような違いがあるのか理解できません。 まだ民法を勉強し始めたばかりで、分からないことばかりです。 どなたか、こんな自分にも理解できるようにご説明お願いします。
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○全部が他人物である場合を前提に説明します。 まず、他人物売買は民法上有効に成立しますよね(560条)。 他人物売買が有効に成立し、売主はその他人物を取得する義務を負う以上、買主は売買の目的物が他人物であることを知っていても何ら問題がないわけです。 他人物売買においては、買主が目的物が他人に属することを知っているかどうかは重要ではなく、とにかく売主がそれを取得する義務があるということが重要なのです。 (たとえば、スポーツショップにお目当てのスニーカーが店頭に置いていないため、店員にカタログを見せて注文し、その場で代金を支払ったとします。この場合、そのスポーツショップはいまだそのスニーカーを所有していないのですから、メーカーが所有している他人物を売買したことになります。 そして、購入者は店頭にないことを知っているのですから、その商品がメーカーの所有物であることを容易に知りえますね。でも、だからといって購入者は何か非難されるべき理由はあるでしょうか? そのような他人物売買が有効とされている以上、他人物であることを知っていたらいけない、というのはおかしいですよね。) 売主がその他人物を取得しない場合、買主は、「買主はその他人物を取得せよ(さらに売主に引き渡せ)」と請求できます(560条にそう書いてありますよね)。 しかし、売主がその他人物を取得できない場合があります。その場合、売主は目的物を買主に売り渡すことができません。 こうなってしまうと、債務不履行による解除が可能となります(542条)。 ただ、他人物売買の場合もう少し解除の要件を緩めてもよいのではないか、ということで、債務不履行責任の特則として561条が定められたのです。 561条は、売主が当該売買の目的物が他人物であることを知っていたとしても契約解除できる、という規定になっていますね。 ○では、一部が他人物の場合はどうでしょうか。 この場合も、その一部が他人物であることを知っていても、上記と同様、何ら問題ありません。 ですから、売主がその一部の権利を取得できず、よって買主に権利を移転することができなかった場合、解除が可能となるはずです。 しかし、目的物の一部の権利を移転できなかっただけで契約の全部を解除できるというのは、妥当でないことになります(例外的な場合はありますが、省略)。 そこで、その分の代金の減額を認めることで、契約の一部の解除を認めることと同様の効果を生じさせることとしたのです(563条)。 これも債務不履行責任の特則です。 ○では数量指示売買の場合はどうか。 数量指示売買では、その数量が契約の重要な要素となってきます。価格形成の基準になってくるからです。 たとえば、1m2あたり100万円の土地を100m2購入する、という契約であれば、代金は一億円になるわけですが、それはその土地を100m2購入するからですよね。 そして、仮にその土地が90m2しかなかった場合に、買主がこれを知っているということは、買主は「90m2の土地を1億円で購入しよう」と思っていたことになります。 このような買主が減額請求できるとしたら、それはおかしいと思いませんか? このような違いからです。 ようするに、一部他人物売買と、数量指示売買とでは状況がまったく異なるのです。 法律の学習では、字面だけを追わず、その内容を実質的に理解することが大切だと思います。 身近な例を思い浮かべたりするといいかもしれません。 そのような地道な作業を重ねていくことで、抽象的な議論にもついていけるようになると思います。
お礼
身近な例を交え、非常に分かりやすいご説明でした。 本当にこんな自分にでも理解できる説明でした。 まだ勉強し始めたばかりで分からないことばかりですが、tolioさんのおっしゃるように時間はかかりますが地道な作業を重ねて学習を進めていきたいと思います。 本当にありがとうございました。