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会社法423条2項の推定規定についての質問
- 会社法423条2項は、取締役や執行役が特定の取引に違反した場合、当該取引によって得られた利益を損害の額と推定する規定です。
- 競業取引における損害の有無や責任の所在によって、承認競業取引と未承認競業取引の場合で取締役や会社側の立証責任が異なります。
- ただし、会社法立法者の葉玉氏のブログによれば、任務懈怠と法定義務の違反は同義ではなく、過失に帰すべきかは別の問題とされています。
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428条1項を見れば判るんだけど、「任務を怠った」と「責めに帰することができない事由」と書き分けてるでしょ?この「任務を怠った」が任務懈怠で「責めに帰す」ることができる事由が過失なの。つまり、会社法ではこの二つを区別している。だから表現が違うわけだ。 んで、423条2項は、単なる損害額の推定規定に過ぎない。それ以外のものは推定しない。これは条文上明らか。 そして、423条1項の責任を負うためには、条文上明らかに任務懈怠が必要だけど、356条1項の承認が必要な場合に承認を得ないのは法令違反だから法定義務違反、つまり任務懈怠に当たる。よって、356条1項で必要な承認を得ていないことそれ自体が任務懈怠ということになる。 だけど、428条1項にあるとおり、356条1項2号に該当する取引を自己のためにした場合には「責めに帰することができない事由」があっても責任を負うということの反対解釈から、それ以外の場合にはたとえ423条1項該当の場合でも「責めに帰することができない事由」があれば責任を負わないということになる。 つまり、356条1項の承認を得ていないから任務懈怠だとしてもなお、その任務懈怠が「責めに帰することができない事由」によるものなら過失がないので423条1項の責任は負わない。 ということで、356条1項の承認を得たなら任務懈怠と損害の立証責任は会社が負うが、承認を得ていないなら承認を得ていないことそれ自体が任務懈怠なので承認を得ていないことを会社が立証すればいいし、承認を得ていないことを立証しさえすれば損害は423条2項で推定される。だけど、いずれにおいても過失の有無は別論で、428条1項に該当しない限りは 更 に 過 失 が 必 要。そして、428条1項の規定の仕方からすれば、「責めに帰することができない事由」の立証責任は取締役(または執行役)にあると見るべきだろう(ちょっとここは自信がない。確認する暇もない)。 ということで、「多分」、 ・承認競業取引(356条1項1号該当) 任務懈怠(立証責任は会社側) →立証失敗→責任なし ↓ 立証成功 ↓ 損害(立証責任は会社側) →立証失敗→責任なし ↓ 立証成功 ↓ 過失(「多分」、428条1項反対解釈で過失のないことの立証責任が取締役側にある) →立証成功→責任なし ↓ 立証失敗 ↓ 損害賠償責任 ・未承認競業取引(356条1項1号該当) 任務懈怠(356条1項違反の立証責任は会社側) →立証失敗→責任なし ↓ 立証成功 ↓ 損害(423条2項により損害のないことの立証責任が取締役側) →立証成功→責任なし ↓ 立証失敗 ↓ 過失(「多分」、428条1項の反対解釈で過失のないことの立証責任が取締役側にある) →立証成功→責任なし ↓ 立証失敗 ↓ 損害賠償責任 って感じかな。
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違うな。 過失についても立証責任は会社にあると読むべきだ。ということで、 >>そして、428条1項の規定の仕方からすれば、「責めに帰することができない事由」の立証責任は取締役(または執行役)にあると見るべきだろう(ちょっとここは自信がない。確認する暇もない)。 ではなく、 過失についても立証責任は会社にあるだろう。 に替えるね。 同じく、 過失(「多分」、過失の立証責任は会社にある) →立証失敗→責任なし ↓ 立証成功 過失(「多分」、過失のの立証責任は会社にある) →立証失敗→責任なし ↓ 立証成功 に替える。
お礼
返事が遅れてスミマセン。自分でもしっかり理解できたらお礼を言おうと思ってましたもので。 本当にありがとうございました。 どうも前提として任務を怠ったこと=過失という風な感覚が抜けなくて・・・ 法律の構成は理解できましたが、いまいち過失と任務懈怠をわける立法趣旨はまだまだわかりませんが・・・。過失によらない任務懈怠とか・・・子供を誘拐されて仕方なく競業したとか議決に賛成したとかですかね?でも、利益相反はそうだとしても無過失責任なわけですよね?