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鏡の反射率の偏光方向依存性
専門が化学なのですが、最近光学、特に光の偏光特性について勉強しています。 フレネルの式などから、p波とs波で反射率が違うということを知りました。 そこで質問なのですが、鏡の反射率も、p波とs波で違ってくると思うのですが、どの程度違うものなのでしょうか? というのも、暗視野顕微鏡を用いて散乱光を見ているのですが、偏光フィルターを通して暗視野像を観察すると、その偏光方向によって観察される光の強度が明らかに違うため、その原因について悩んでいます。 そこで考えた一つの原因が、入射光の偏光方向によって光強度が異なっているのではないか(ハロゲン光源で、途中で反射板を用いて入射しています)ということです。 他にも偏光フィルターの複屈折の影響などがあったりするのかどうかと悩んでいるのですが、アドバイスよろしくお願いいたします。
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まず、顕微鏡の構成を確認して下さい。 偏光観察専用の偏光顕微鏡であれば、照明光を偏光させる為にサンプルと光源の間にひとつの偏光子があり、それとは別にサンプルからの偏光を検出するために対物レンズと接眼レンズの間に別の偏光板(検光子)が配置されています。 この構成の場合、照明光が強く偏光されていますので、どのようなサンプルを観察しても、サンプルからの光は偏光しています。そのため、検光子を回転させれば180°周期で明暗を繰り返し、かつ暗状態はかなり暗くなります。 もし、照明光用の偏光子を使用しておらず、かつ検光子が照明光が通らない位置においているにもかかわらず、照明光が偏光されているのが今回の問題の原因だとすれば、以下の手順で確認できるはずです。 ・サンプルとして面内異方性のない平坦な物を選ぶ (金の蒸着膜が理想的。なければスライドガラスで可) ・出来る限り低倍率(低N.A.)の対物レンズを選ぶ ・明視野モードにする ・上記サンプルを観察し、検光子を回転させる この手順で180度周期の明暗が確認されれば照明光が偏光している可能性が高いでしょう。垂直反射の場合、サンプルに面内異方性が無ければ、照明光が偏光していない限り反射光が偏光することはありません。明視野で低倍率観察というのは垂直反射に近い状況ですので、それを利用した方法です。 もし、偏光子を用いていないのに、照明光が偏光していることが確認できた場合、その原因として鏡は考えられなくはありません。ただ、金属表面での反射で生じる偏光は強くありません。理想的な完全導体では表面反射による偏光は生じません。実際には有限の抵抗のために偏光は生じていますが、水面での反射のように強い偏光はでません。もしお近くに分光エリプソメーターを使える人がいれば、簡単に反射光の偏光度を計算できますので頼んでみれば良いでしょう。私が疑うとすれば、ビームスプリッターです。明視野観察が出来る落射照明顕微鏡の場合、照明光とサンプルからの光を同軸にあわせるためにビームスプリッターが配置されており、照明光はこのビームスプリッターで反射されています。ビームスプリッターの種類によっては強い偏光を生じさせます。 もし、照明光が偏光していないにも関わらず、サンプルからの光が偏光している場合、偏光の原因は 1)斜め反射による偏光 2)サンプルのもつ異方性による偏光 の二つが考えられます。 先に述べたように、垂直反射では本来s波とp波の区別がありませんから、これによって偏光が生じることはありません。暗視野顕微鏡では完全な垂直反射ではありませんから、基板に対し斜めの面で反射された光がフレネルの式にしたがって偏光している可能性も否定はできません。特定の方向の面だけが出ているなら上記のことが起こりえます。しかし、ラフな表面のサンプルなどで、様々な方向の面が混じっていると、反射光にも様々な偏光成分が混入することで全体としては偏光が生じません。このような偏光解消は、本来偏光が観測されるべき斜め観察でも起こる現象です。 最後に残るのは、サンプルが異方性をもつ場合です。この場合では、垂直観察でも偏光が生じています。したがって、明視野でも同様の現象が見られるはずです。化学系とのことなので、観察している対象が棒状の分子からなるもので、かつ分子が配向していればこのような現象が生じておかしくありません。例えば液晶などではこの効果を積極的に利用して観察します。 なお、偏光顕微鏡については、下記のサイトが非常に参考になります。
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- hitokotonusi
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鏡でも反射で偏光が変わります。 一眼レフカメラでは筐体中の鏡で光を反射してファインダーからのぞきます。 この手のカメラではファインダー周辺に露出計があるため、普通の偏光フィルターを使ってしまうと、反射鏡によって偏光状態が変わってしまうため、露出が狂ってしまいます。そのため、一眼レフで偏光フィルターを使う場合は偏光フィルターの直後に1/4波長板をつけて透過光を円偏光にするサーキュラー偏光フィルター(CPL)という物を使います。 カメラ屋さんに行けばPLとCPLの両方のフィルターが置いてあるはずなので、興味があれば見てください。
光は反射するとき鏡に平行な偏光成分が残る、と高校で教わりませんでしたか? 反射面は金属面でも水面でも同じです。
お礼
非常にわかりやすい説明どうもありがとうございます。 入射光は全光です。 なのでアドバイス戴いたとおり、異方性のないサンプルを明視野で観察しながら検光子を回転させたところ、やはり180°周期で明暗が繰り返されました。 入射光が何らかの理由で偏光方向によって強度分布してしまっているか、検光子の透過率が偏光方向によっ違ってしまっているかだと思います。 後者の可能性は、検光子が回転軸に対して垂直になっていないことから、その可能性を考えています。 業者に問い合わせたところ、その傾いている状態が適正状態である、との回答だったのですが、もう少し聞いてみたいと思います。 本当にどうもありがとうございます。