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エバース・モス・モデル
バイポーラ・トランジスタに対するエバース・モス・モデルを用いてトランジスタが飽和したときのコレクタ・エミッタ間電圧Vce(SAT)とコレクタ・エミッタ間の飽和抵抗Rcsを求めよ。また、導出過程も示せ。 という問題なのですが分かりません。 教えてください。お願いします。
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Vce(sat) を計算するには飽和電流 Is の値を知る必要がありますが、これは問題文で与えられていますか? 最も簡単なエバース・モル・モデルは下図のように、ベース-エミッタ間とベース-コレクタ間に、ダイオード(▽)と電流源(↓)がそれぞれ入っているものです。 C │↓Ic ┌────┤ Ib→ △ ↑IR ↓αF*IF B ──┼────┤ ▽ ↓IF ↑αR*IR └────┤ │↓Ie E αFはベース接地での順方向電流増幅率、αRは逆方向電流増幅率、IF はベース-エミッタ間の電流、IR はベース-コレクタ間の電流です。この等価回路からコレクタ電流 Ic とエミッタ電流 Ie は Ic = αF*IF - IR --- (1) Ie = IF - αR*IR --- (2) となることは容易に分かります。トランジスタ全体の電流を考えると Ib + Ic = Ie --- (3) ですから、式(1), (2)を式(3)に代入すれば Ib = ( 1 - αF )*IF + ( 1 - αR )*IR --- (4) となります。 一方ベース-エミッタ間電圧(エミッタ基準) Vbe と IF の関係、ベース-コレクタ間電圧(コレクタ基準) Vbc と IR の関係は IF = ( Is/αF )*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } --- (5) IR = ( Is/αR )*{ exp( Vbc/VT ) - 1 } --- (6) で表わされます。Is は飽和電流です。したがって式(5)、(6)を式(4)に代入すれば Ib = ( 1 - αF )*( Is/αF )*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } + ( 1 - αR )*( Is/αR )*{ exp( Vbc/VT ) - 1 } --- (7) 式(5), (6)を式(1)に代入すれば Ic = Is*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } - ( Is/αR )*{ exp( Vbc/VT ) - 1 } --- (8) Vbc = Vbe - Vce なのでこれを式(7), (8) に代入すれば Ib =( 1 - αF )*( Is/αF )*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } + ( 1 - αR )*( Is/αR )*{ exp( (Vbe - Vce)/VT ) - 1 } --- (9) Ic = Is*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } - ( Is/αR )*{ exp( (Vbe - Vce)//VT ) - 1 } --- (10) 式(9), (10)から Vbe を消して Ic を Ib と Vce で表わせば Ic = [ -Is*( 1 - αF*αR ) - αF*Ib + { Is*( 1 - αF*αR ) + αF*αR*Ib }*exp( Vce/VT ) ]/{ αF*( 1 - αR ) + ( 1 - αF )*αR*exp( Vce/VT ) } --- (11) となります。これが Ib を一定としたときの Ic-Vce 特性です。 (飽和領域での Ic-Vce特性) Vce(sat)が、ベース電流 Ib がある値のときの Vce という定義であれば、式(11)を変形して Vce = の形に直して計算するだけです。計算すると Vce = VT*ln[ { αF*( 1 - αR )*Ic + Is*( 1 - αF*αR ) + αF*Ib }/ { αR*( αR - 1 )*Ic + Is*( 1 - αF*αR ) + αF*αR*Ib } ] --- (12) となります( ln は自然対数)。 Rcs =∂Vce/∂Ic です。式(12)を Ic で偏微分すれば ∂Vce/∂Ic = VT*( 1 - αF*αR )*{ ( 2*αF - 1 )*αR - αF }*Is - αF*αR*Ib }/[ { αF*( 1 - αR )*Ic + ( 1 - αF*αR )*Is + αF*Ib }*{ αR*( 1 - αF )*Ic - ( 1 - αF*αR )*Is - αF*αR*Ib } ] となります。 αF = 0.99、αR = 0.1、VT = 26mV、Ic = 20mA、Ib = 0.4mA、Is = 10^(-14) A のとき Vce(sat) = 0.178V、Rcs = 2.60Ω となりました。Is が大きく変化しても値はほとんど変わりませんので Is は無視していいのかもしれません。
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- inara1
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式(5), (6) は突然出てきましたが、これはもともと IF = Ies*{ exp( Vbe/VT ) - 1 } IR = Ics*{ exp( Vbc/VT ) - 1 } で表わされるものを αF*Ies = αR*Ics = Is → Ies = Is/αF、Ics = Is/αR という関係を使って書き直したものです。ANo.2の等価回路と上式は [1] に出ています。 [1] エバース・モル・モデル1 http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/30/30331/30331_7syo.pdf エミッタ電流の方向がANo.2のモデルとは反対ですが Ie を -Ie に置き換えれば結果は同じです。 EM1というのはエバース・モル・モデル1の意味で他に EM2、EM3モデルがあります。
お礼
手計算は結構大変でした。 でもその分よく理解できたと思います。 本当に細かいところまで丁寧に教えて頂きありがとうございました。
- inara1
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考え方は理解できたと思うのでご自分で計算してみてください(手計算はかなり大変です)。飽和抵抗 Rcs は Vce/Ic で定義されているかもしれません(その場合 Rcs = 8.9Ω )。
- inara1
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エバース・モル・モデルには3種類ありますがどのモデルでしょうか。また、飽和電圧Vcesatの定義は何でしょうか(Ic-Vce特性の飽和領域と能動領域の境界という意味でしょうか)。さらに、飽和領域でのコレクタ-エミッタ間の微分抵抗もVceによって変わりますが、どういう条件(Vcesatの半分でのVceでの値とか)での抵抗でしょうか。
補足
3種類もモデルがあるなんて知りませんでした。 すいません、問題にはエバース・モル・モデルとしか書いてなくて図もないのでどのモデルか分かりません。 たぶん公式の導出問題だと思うので、飽和電圧Vcesatの定義とか条件は無視して良いんだと思います。 ちなみに、必要か分かりませんが(2)は αF=0.99、αR=0・1、Vt=26mV,Ic=20mA、Ib=0.4mAの時のVce(sat)とRcsを求めよ。 という問題です。 すいません、よろしくお願いします。
お礼
本当にありがとうございました。 分かりやすい説明でちゃんと理解できました。 もう一度きちんと自分で解きなおしてみたいと思います。 本当にありがとうございました。