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「ネオコン」と「ネオリベ」
いわゆる「ネオコン」と「ネオリベ」は、アメリカにおいては結論として似てくる気がするんですが、厳密に言うとどうなんでしょうか。 私の認識では、 ネオコンは、民族とか宗教、あと国家の伝統や因習を重んじる、アメリカで言えば「自由貿易を基本とした資本主義・市場主義」、ネオリベはスミス主義、(アメリカに限らずで)「自由経済主義、競争原理主義、市場主義」 という感じなんですが。 思想の方向で(要するにレーガンがネオリベ、ラムズフェルドがネオコン、とかいう、誰とかいう問題ではなく、発想や施策の上で)厳密にはどのように違っているのでしょうか。詳しい方いらっしゃいましたらお教え願います。 (思想を知りたいので敢えて「哲学」カテゴリーにしました。ので、政治批判とかではありません。)
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中世まで、人はよく死んでいました。 人間は死ぬのが怖いです。だから『死んだ後に幸福で居たい』 と考えるようになりました。そこでちょうど、聖典に 『こうすれば死後に幸福になれるよ』と書いてあったので 人々はそれを信じることにしました。そこに記載されている 戒律と束縛と階級社会がそのまま肯定されていったのです。 18世紀。宗教が科学・哲学、政治やその他様々な 理由で否定されるようになると『実は宗教って間違ってる?』 という発想が生まれます。つまり、聖典に書かれたことをすれば 効果があると、どうしても立証できないのです。 そこで自由主義が生まれます。『死後の事はわからんから、 生きている間に幸福になるべきだ』という考え方です。 実は、人間は聖典を守るあまり自分で貧乏になろうとしていたの です。それまで貧困に苦しみ、なすすべなく死んでいた人類ですが、 自由主義の出現によりその大部分が救われ、一気に発展しました。 19世紀。共産主義という考え方が生まれます。 『労働によって物は作られる。労働者は最も尊い』としました。 そこで効率の良い労働ができるようにみんなで物造りの機械を共有 しよう。という考え方です。この考え方の上ではとても悪い人が居る ことになります。『働かないのに儲けている人』です。富は労働で 作られるのだから、働いていないのに儲けている、というのは誰かを 騙しているのに違いないのです。 なぜ働かないのに儲けている人が居るのか。当時は完全に解明できて いませんでした。本当に騙しているのかも・・・と考えた人達、 つまり一部のインテリさんや利益を受けるはずの労働者は、 共産主義に傾倒していくことになります。 一方で、この2つの思想を比べてみるとある共通点があります。 自由主義では元手が無くとも働けばお金は手に入るので労働は 素晴らしいです。共産主義では労働そのものが素晴らしいです。 そこで人間の不幸とは、『職を失うことである』と考えられるように なりました。このあたりまでは中学校で習うかも?カンバンぶら下げた おじさんとか。 ここまで前置きです。読み飛ばしても問題ないです。 20世紀。戦争になります。どかーん。 この前後に、ある発想が生まれています。 つまり『投資をすれば仕事を作ることができる』というものです。 つまり、働いていないのに儲けている人、すなわち『投資家』は実は 社会に対して、とてつもない仕事をしていたのです。それはつまり 『仕事を作り出す仕事』でした。投資によって会社が作られ、 機械を買って人を雇う。こうして新たな仕事を作り出していたのです。 この説明を行ったのが新保守主義(ネオコンサバティズム)の人達です。 弁舌でやられっぱなしであった自由主義を"戦闘的に"擁護し 結果、共産主義を打ち破ってしまいます。彼らは続けて 『イデオロギーの終焉』 という考え方の基に経済の仕組みのさらなる解明を行いました。 それまで対立していた共産主義者(左翼)を受け入れつつ、 研究を続けていったのです。 新自由主義(ネオリベラリズム)はこれらの集大成とも言える思想です。 つまり、新保守主義で行われた『国による投資』では非効率的だと 唱えました。一方で、力のある国による介入も効果的であることも 判明しています。だとすれば国の仕事は『投資』ではなく、 本来の自由主義に根ざした『ズルする人間を見張る』役目に絞ったら? と考えたのです。 この考え方から、それまで競争を阻害していた国営企業は民営化され 同時に大企業を保護する為に設置していた数々の規制を撤廃していき ました。自由な競争が奨励され、日本の経済も絶頂期を迎えていくこと になります。 めでたしめでたし。 ・・・・と、ここで終わっていれば良かったのですが、『歴史の終わり』 という考え方を契機に新保守主義は現在の『ネオコン』そのものへと 変わっていきます。つまり、知的で、かつ当事者そのものである民衆に よって統治される民主主義国は新たな対立構造を生まないというもの。 基本的に人間は死ぬのが嫌ですが、国家の指導者が民衆そのものである以上、 戦争も起きないよね、と考えます。 しかしこれは乱暴な言い方をすれば、『民主主義最高!それ以外はダメ!』 というものでもあります。この影響を強く受けたネオコンは思想を 体現する為の組織体となっていました。 つまり、民主主義を広める為の戦争、を始めてしまったのです。 その後の惨状は、広く知られているかと思います。 戦争によって思想が根付くことはほとんどありません。 人間は自分を死に至らしめる存在を、どうしても許せないのです。 ネオコン(初期)は『共産主義に対抗する民主主義・自由主義国の擁護』 ネオリベは『ネオコンによって生まれた、民間に力を持たせる経済思想』 ネオコン(後期)は『"素晴らしい"民主主義・自由主義を広める為の方法論』 で、大体あってると思います。
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>いわゆる「ネオコン」と「ネオリベ」は なんだか、先のJ.S.ミルの質問に酷似している気がするのですが(同じ人じゃないよね?)、まあそこはかとなく答えてみます。前者は言わば自由主義のアンチとしての出自を色濃く持っているのに対し、新自由主義と呼ばれると、彼らはその出自には無関心な眼差しを注いでいるように見受けられる。 思想面でのご質問ですから、まず、そういった違いがありますよとお答えします。 例えば、俗に言う「ネオコン」さんの言説を書いてみましょう。 「法による平等、それについては大切な事だが、働きもせず、勉強もせず、ただ遊んでばかりいるような連中の生活を、『人間は平等だから』という理由で平等視するような考えには憎しみを覚える」というような語りがあります。 僕の見るところ、彼らがどうしてこのように言うかといえば、それは要するに彼らの多くが左翼転向組であり、かつての自由主義に対して(その思想が近しいゆえの)憎悪を抱いていることに由来すると思います。彼らは潜在的に平等主義を嫌い、自由競争による社会の多様化をめざしている。だったら、そういった社会から脱落してゆく人たちはどうするの? というふうに問われると思うのですが、そのときの言説は決まって同じ「型」を持つ。 つまり、そういう弱者に対する配慮は、「宗教的道徳性」よって担保されると仰るのです。要するにそれが「倫理」なのだと、こういうふうに語るのですが、それがかつての自由主義と極めて似通った「型」を持っているのです。 では「ネオリベ」さんについて書いてみましょう。 保守主義という点では前者に同じですが、違っているのは「自由主義」という出自を見ていないという事でしょう。彼らの眼差しは、市場経済へと向けられているのです。 「市場経済」ってどういう事でしょうか。多様性の確保は、社会システムの健全化のためには必須である。これについては、どちらも異存が無いのでしょうけれど、「自由競争」に頼っていては、効果的に機能しないわけです。 なぜなら、「自由競争」から生まれるのは、「価値の違い」ではなく、「同じ価値の格差の違い」だけでしかないからです。競争社会が成立するためには、異なる価値を競り合わせるのではなく、同じ規格、同じ品質、すなわち同じ価値を共有しなければならない。 例えば、貨幣という同一の価値観で社会を均質化し、その量的格差だけを前景化させるような社会です。あるいは、同じ資格、同じ職能という同一の価値観で人々を均質化し、その量的格差(若さや、逞しさなど)だけを前景化させる社会です。 要するに、あなたの一万円と僕の一万円はどちらも「同じ」ですよね、という代替可能性によって成立する社会が競争社会であり、その原理に基づいて、社会に参加する人々もまた、全員が代替可能であるような社会を自由主義は想定しています。 このようななかで、果たして「市場経済」はうまく機能することができるでしょうか。 格差だけがあって、価値観が同一の社会は、生き方の多様性が確保されている社会と呼べるのでしょうか。僕たちは、いったい何に価値観を覚えるのでしょうか。 僕らは同じ価値を持った均質のものに対して価値を覚えるのではなく、そのものの替えがどれほど得難いか、要するにそのものの代替不可能性を基準にして決めるのではないでしょうか。そういった「かけがえのなさ」というものが市場にはあり、価値を正しく見定めることでしか、市場経済は正しく機能しないという見方が、新自由主義には想定されている。 「ネオコン」と「ネオリベ」に違いがあるとすれば、恐らくこういう事だろうと思います。でも、アメリカの新自由主義が果たしてうまく機能しているかどうかは、質問者様ご自身が判定なさる事だと思います。
お礼
ありがとうございます!! 「ミル」ってわかりませんが。。
お礼
なるほど、ネオコンとネオリベは親戚でいいわけですね。 思想に着目するとむしろわかりやすいかもしれません。 ありがとうございました!!