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光通信の非線形性
自己位相変調と縮退四光波混合は同じ物理現象だとどこかで見たことがありますが本当ですか?本当だとすると,自己位相変調によって周波数スペクトル形状が変化する理由がわかりません.
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まずちょっと訂正させてください。 Degenerated ではなくて Degenerate でした。 (DFWMはもう十年以上前にやってたことなので、間違い勘弁してくださいな) >「Nearly(Non?) Degenerated Four Wave Mixing=自己位相変調」 うーん。そういうわけではないのですが。 通常 NDFWMの場合は3つ入力する光の一つの周波数を初めから少し変えておきます。 もう少し詳しく説明しましょうか。 まず非線形光学効果で屈折率が変化するのは、レーザ光を入射すると、 1)光が入射される(光強度0からいきなり一定の光強度に) 2)光強度に応じた屈折率の変化がおき始める。(A) 3)それにあわせて周波数の変調が起きる(ここで自分自身を変調している)(B) 4)光強度に見合った屈折率に到達する。 5)周波数の変調がなくなる。 というのが自己位相変調ですね。 ではDFWMがどうなるか見てみましょう。 1)3つの光が入射する(ポンプ光2つ、プローブ光一つ) 2)上記光により瞬時にして干渉縞が形成される 3)干渉縞の強度にあわせて屈折率の変化がおき始める(A) これは屈折率の格子分布が形成され始めることを意味します。 4)その形成された格子分布により、ポンプ光が回折を起こす。(B) この回折した光はプローブ光の位相共役波となります。 5)屈折率分布が強度に見合ったものになり、安定する 6)位相共役波の強度も安定する。 2つの現象を見ると、 「光強度に応じた屈折率変化がある(A)」 「光強度を形成している入射光がその屈折率の影響を受けている(B)」 という点が同一であるということです。 これが物理的現象が同一という意味です。 自己位相変調で周波数が変化するというのはその結果引き出された結果でしかなくて、自己位相変調では周波数の変化として表れ、DFWMでは位相共役波の発生という形であらわれているに過ぎないということなんですね。 ご理解いただけたでしょうか。
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「縮退」四光波混合(Degenerated Four Wave Mixing)とは、エネルギー的に縮退しているという意味です。 つまり、周波数は全部同じという意味なんですね。 しかし、四光波混合(Four Wave Mixing)は、必ずしも Degenerated ではありません。 Neary Degenerated もあります。 つまり過渡的な応答など位相変調が掛かるときには縮退しませんので、周波数の変化を伴います。 結果自己位相変調と同様に周波数は変化します。 自己位相変調はよくパルスレーザ(研究初期にはルビーレーザが使われました)のチャーピング現象などで見られますが、これらはどれも過渡応答ですから、安定していない状態の時です。 同様にFour Wave Mixingでも過渡応答の時には必ずしもDegenerated(縮退)しているわけではありません。 他にも二光波混合(Two Wave Mixing)があります。こちらの場合は、片方の周波数を少し変調して増幅、減衰させたりしますね。 このときには当然周波数は単一ではなく、縮退していません。 つまり、自己位相変調と縮退四光波混合が同じ物理現象であるという意味は、縮退しているかどうかという視点ではなく、自分自身の光によって非線形屈折率が発生して、自分自身がその影響を受けて変調される点が同じであるという意味なんです。 では。
お礼
お礼が遅くなりました.詳しいご回答ありがとうございます.とても参考になりました. 整理すると「Nearly(Non?) Degenerated Four Wave Mixing=自己位相変調」という認識でよいのですね. まだ「自分自身がその影響を受けて変調される点が同じ」というところが良く理解できていないのですが,つまりは(自己位相変調では自分自身が変調を受けるのは当たり前として)四光波混合でも自分自身が変調を受けるということなのでしょうか.直感的な理解としては四光波混合の過程で吸収が過渡的に変化することによって伝搬速度が変化して,その結果自分自身が位相変調を受けるということなのでしょうか.そちらの専門でないのですがちょうど電磁誘導透過と同じようなイメージを持っています. 四光波混合の場合誘導光が必要ですが,光は過渡状態にあるので,わずかにずれた周波数の光(w1)が存在して,それが異なる周波数(w2)の光に作用する(w2=w+w-w1)のですね.
- tnt
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位相変調を受けると、位相が変わりますが(当然!) その、位相が変化している最中には、 周波数も変わります。 たとえば、(極端な数値を使いますが) 1Hzの信号が位相が0度から10度まで、10秒掛けて遅れるとすると、 1秒あたり1度の遅れの変化を作ります。 ということは、この間、普段361度進む時間で360度すすむことになり、 本来1Hzの信号が、(360/361)Hz、つまり0.9972Hzになることを意味します。 この例では、遅れ10度がそのまま続くとすると、 その間はやはり位相変化が無いため1Hzとなります。 あくまでも位相が変化している間だけ、周波数も変化するのですが、 これが、周波数スペクトラムの変化を招きます。
お礼
早速のご回答ありがとうございます.
補足
つまり,dw=-dφ/dtですね. すこし説明不足だったので補足します. 自己位相変調による周波数スペクトラムの変化の説明としては,非線形分極からスタートして非線形屈折率が時間と共に変化することによって位相変化を受けるので瞬時周波数dwも変化するというのが一般的ですよね. しかし,自己位相変調が縮退四光波混合と同一の物理現象だとすると,縮退四光波混合はエネルギーダイアグラムで考えるとw=w-w+wの過程なので,そうなるとどこにも周波数スペクトラムの変化を招くような物理要素が存在しないような気がします. エネルギーダイアグラムで考えたときに周波数スペクトラムの変化を定性的に説明できるものなのでしょうか?
お礼
お礼が遅くなりました.詳しいご解答ありがとうございます. 少しだけわかってきたような気がします. 3次の非線形項は P_nl=ε_0 χ^(3) : EEE でE1,E2,E3で展開すると色々な位相共役の項がでてきて,項毎にSPM,XPM,FWMに分けられるので,SPMとFWMは明確な区別があるということですね. 上でおっしゃっていることは,FWMでは位相整合が必要だけど,SPMでは必要ない(自分自身だから)のが一番大きな違いということですね? 光ファイバなどを伝送することを考えると,分散があるので(SPMは起きるけどFWMは位相整合が取れないので非常におきにくい)違う現象として区別しなくてはいけないということですね. ただ,例えばあまり考えにくいのですが,例外的にファイバが全波長領域にわたって0分散だとすると(位相整合が合っている状態),SPMもFWMも同じ現象として観測されるような気もしています...