• 締切済み

ハマスを交渉相手としないイスラエル

今回のガザでの紛争で、イスラエルはハマスを交渉相手としない方針だそうですが、イスラエルはこれでどうやって恒久的な休戦・和平を実現させるつもりなんでしょうか? どうしても近衛首相の「爾後国民政府ヲ対手トセズ」を思い出してしまうのですが。

みんなの回答

  • tyr134
  • ベストアンサー率51% (851/1656)
回答No.1

まず、基本的な用語を。 イスラエル国:1948年にユダヤ人によって、パレスチナに建設された国家。国連決議(パレスチナの56.5%の土地をユダヤ国家、43.5%の土地をアラブ国家とし、エルサレムを国際管理とする)を根拠に、一方的に独立を宣言。反発したアラブ側が軍を進め第一次中東戦争となるも、イスラエル側が勝ち建国が既成事実となる。 イスラエルの主な政党:労働党(穏健派)・リクード(保守派)・カディマ(中道:リクードのシャロン首相が飛び出して労働党を取り込み作った政党、現在最有力) パレスチナ自治区:オスロ合意に基づいて定められた、イスラエル南部のエジプト国境に接するガザ地区とヨルダン川西岸につくられた、パレスチナ人の自治区。 現在、ガザ地区をハマスが実行支配し、ヨルダン川西岸をファタハが実行支配している。 パレスチナ暫定自治政府:オスロ合意により、PLOを中心に作られたパレスチナ人の自治政府。現在は、ハマスとファタハの間で主導権争いをして分裂状態にある。 パレスチナ解放機構(PLO):1965年にパレスチナ地域のイスラエルからの開放を求めて設立された組織。当初は「イスラエルを含む民主的・非宗教的な独立国家を樹立することを目標」にしていましたが、後に「イスラエルと共存するヨルダン川西岸地区およびガザ地区でのパレスチナ国家建設」という現実路線をとるようになる。 ファタハ:PLOは幾つかの組織が参加してできた連合組織だが、ファタハはその中でも中心となっている。よって、PLOとファタハほぼ同じ組織を指しているような感じ。 ハマス:1987年に結成された組織で、PLOの和平路線を批判しその活動とは一線を画す。パレスチナにイスラム教原理主義に基づいた、イスラム国家を樹立することを目指す。当初は自治政府に反発していたが、アラファト議長死後、政策を転換し2006年に選挙に初参戦。過半数の議席を得、一度はファタハと挙国一致内閣を築くも、後に決裂。2007年6月にハマスが一方的にガザ地区を武装占拠し、パレスチナ自治政府は事実上の内乱状態となる。 ヒズボラ:1982年に結成されたイスラム教シーア派による武装組織。反欧米・イスラエルの殲滅を掲げている点ではハマスと共通性が見られる。 パレスチナ暫定自治政府にも参加し、議会選挙では1992年8議席、1996年7議席、2000年12議席と年々議席数を増やしている。 主に、レバノンからイスラエルに対してロケット弾による攻撃を加えており、しばしばそれが引き金となってイスラエルがレバノンに空爆を加える口実となっている。 2006年には、イスラエル兵を拉致し、イスラエル軍のレバノン侵攻を招いた。 イランやシリアが援助していると考えられている。 もともと「ハマス」はパレスチナ(PLO)とイスラエルの和平合意がなって、イスラエルをパレスチナ地方から追放することができなくなるのを恐れて作られた抵抗組織です。 つまり、元々和平については「ハマス」は蚊帳の外であり、むしろ邪魔してた存在なんです。 ところが、これではイカンと思ったのか2004年頃からパレスチナ暫定自治政府に彼らが支援する議員を送り込むようになりました。 さらに、ファタハ側はアラファト議長の死による跡取り争いや汚職が重なり人気を失い、イスラエルのシャロン政権が強硬な姿勢で分離壁などを建設した事も伴い、パレスチナの一般民衆(特に貧困層)にハマスの支持が広がりました。 そして、2006年にはハマスが議会選挙で勝ち、大統領はファタハのアッバス議長が、議会はハマスがそれぞれ握るようになりました。(つまり、パレスチナ版ねじれ国会) そこで、いったんは話し合いをして挙国一致内閣を作りましたが、もともとが水と油のような存在なので、決裂。 2007年6月にハマスが(もともと本部を置いていた)ガザ地区を武装占拠したのが、今回の紛争の発端です。 パレスチナ和平にとっていいのは、パレスチナはファタハが、イスラエルは労働党が主導権を握ることなんでしょうが、なかなかそううまくは行かないようですね。 もうすぐ、イスラエルの議会選挙がありますが、その結果如何では、ますます泥沼化しそうです。

bougainvillea
質問者

お礼

丁寧な回答ありがとうございます。 今回のガザ攻撃は明らかに対ハマス戦争なわけで、 イスラエルがパレスチナ政府やファタハとどうこうしても 埒があかないように思います。