不貞行為対セックスレス

質問

法律の勉強をしていて、向学のための質問です。
不貞行為はもちろん、セックスレスも離婚原因となります。では、このような事例では、どちらの過失が大きくなるのでしょうか？

甲（男）と乙（女）は夫婦（結婚２年目、子供なし）だが、甲の求めにも関わらず、乙はセックスを拒否し続け１年が経つ。
甲は性欲が抑えられなくなり、同じ職場の丙（女）と不倫関係になり、数回男女の関係になった。
甲の不倫を乙が知り、乙は甲に離婚を求めるとともに、甲及び丙に慰謝料２００万をそれぞれ請求した。

一方、甲も１年という長期間に渡りセックスを拒否されたことを理由に、慰謝料の相殺を主張した。

前提として、甲乙間に暴力、暴言などのＤＶはない。甲乙間のセックスレスは互いのセックスについての価値観の違い（乙は淡白である）であり、乙は身体的には健康であり、セックスに支障はない。

甲のセックスレスの主張により、慰謝料が相殺または減額されるのでしょうか？

また、別の事例として、甲の不倫がなく、甲が乙にセックスレスを理由として離婚及び慰謝料を請求した場合、どれくらいの慰謝料が取れるのでしょうか？

回答No.1

law_amateur

ちょっと極端に分類しますと，不貞は夫婦関係に対する明らかな裏切り行為であって，弁解の余地のない行為です。これに対してセックスレスは，夫婦の理解と協力で解決できる問題です。

　まあ，実際には，そんな単純な問題ではありませんが，両者の間には，基本的に大きな違いがあるといえます。

　離婚慰謝料については，確かに不法行為による損害賠償と考えられますので，「過失」を考え泣けばならないのですが，一般には，故意過失を含めて「有責性」という言い方をします。

　この言葉を使うと，セックスを拒否した配偶者よりも，不貞を働いた配偶者の方が有責性が一般には高いということになります。

　次に，慰謝料の額の問題ですが，夫婦の一方が不貞に走った原因に，他方のセックス拒否があるとすると，それは，慰謝料の額に反映されて減額事由とされる「可能性がある」とはいえます。

　しかし，離婚慰謝料の額の算定は，交通事故のように，けがの程度と入通院期間でおおよそ決まるというようなものではなく，夫婦関係の一切の事情が考慮されますので，いくら減額されるかを客観的に示すことはできません。

　これは，離婚原因がどのような場合でも同じことで，一般的に不貞があれば高くされる，という程度のことはいえますが，不貞が原因のケースが他のケースよりも必ず高いなどとはとてもいえないことです。

　要するに，裁判になれば，すべての事情が考慮されて，裁判官の裁量で決まる，としかいえないのです。